認知症ケア専門士とは、一般社団法人日本認知症ケア学会が認定する民間資格です。認知症ケアにたずさわる人の知識・技術と倫理観を、一定水準以上に保つことを目的としています。この記事は、資格の取得を検討する介護・看護職の方に向けた内容です。受験資格・試験内容・受験料・合格基準・更新のしくみ・上位資格・取得のメリットを、2026年7月時点の最新情報で解説します。
記事でわかること
この記事でわかること
- 認知症ケア専門士とは何か、民間資格としての位置づけ
- 受験資格(過去10年間で3年以上の認知症ケア実務経験)
- 第1次試験(Web試験・4分野)と第2次試験(論述)の内容
- 受験料と合格基準
- 5年ごとの更新(30単位)の手続きと更新料
- 上位資格「認知症ケア上級専門士」と、取得のメリット
認知症ケア専門士とは?
認知症ケア専門士とは、一般社団法人日本認知症ケア学会が認定する民間資格です。国家資格ではありませんが、認知症ケア分野では広く知られています。認知症ケアにたずさわる人の自己研鑽と生涯学習の機会を提供することを目的に設けられました。新しい知識・技能を身につけ続けることを資格維持の条件とするため、取得後も学び続ける必要がある更新制の資格です。
認知症ケア専門士は、特定の職種でなければ取れない資格ではありません。介護職員・看護職員・生活相談員・ケアマネジャーなど、認知症ケアにかかわる人なら職種を問わず目指せます。介護福祉士やケアマネジャーなどの資格がなくても、後述する実務経験の条件を満たせば受験できます。よく似た名称の資格に、より入門的な認知症介助士があります。認知症ケア専門士は実務経験が必須で、試験の範囲も広い、より専門性の高い資格です。
認知症ケア専門士の受験資格
認知症ケア専門士の受験で最も重要な条件は、実務経験です。日本認知症ケア学会の受験要項では、受験資格を次のように定めています。
認知症ケアに関連する施設・団体・機関等において、試験実施年の3月31日より遡って過去10年間に、3年以上の認知症ケアの実務経験を有する者。
ポイントを整理すると、次のとおりです。
- 実務経験を証明する施設・団体・機関等は、認知症専門である必要はありません。
- 経験職種や職務内容にも制限はなく、認知症ケアにたずさわっていれば対象になります。
- 複数の所属先での経験を合算して3年以上とすることもできます。
- 介護福祉士・介護支援専門員などの資格の有無は問われません。
- 年齢制限はありません。
- ボランティア経験や実習は実務経験に含まれません。
申請時には、所定の様式「認知症ケア実務経験証明書」が必要です。所属する(した)機関・団体に作成してもらい、提出します。なお、受験資格を満たさない人や、満18歳以上で経験が不足している人向けには、入門的な「認知症ケア准専門士」認定試験も用意されています。
認知症ケア専門士の試験内容(第1次・第2次)
認知症ケア専門士の認定試験は、第1次試験(Web試験)と第2次試験(論述)の2段階で行われます。第1次試験の全分野に合格した人だけが、第2次試験に進めるしくみです。
第1次試験(Web試験・4分野)
第1次試験は、パソコンやタブレットを使いインターネット上で受験するWeb試験です。五者択一形式で、次の4分野から出題されます。第22回(2026年度)の第1次試験は、2026年7月12日(日)に実施されます。
- 認知症ケアの基礎
- 認知症ケアの実際I:総論
- 認知症ケアの実際II:各論
- 認知症ケアにおける社会資源
各分野はそれぞれ50問・試験時間60分で実施され、合否は分野ごとに判定されます。出題内容は、学会が監修する公式テキスト「認知症ケア標準テキスト」の第1巻~第4巻に準じています。合格した分野は、合格年から5年間有効です。その期間内であれば再受験の必要はありません。
年度ごとの試験日程・申請期間や4分野の勉強法は、認知症ケア専門士の資格の取り方で詳しく解説しています。
第2次試験(論述)
第1次試験の4分野すべてに合格すると、第2次試験に進めます。第2次試験は、第1次試験の合格発表時に送付される事例問題(3題)に対する論述試験です。作成した答案を、第2次試験の申請期間内に他の書類とともに提出します。なお、以前は論述に加えて面接試験も行われていましたが、現在は面接試験は中止されています。
認知症ケア専門士の受験料
認知症ケア専門士の受験にかかる費用は、次のとおりです。第2次試験の受験料は、第1次試験(4分野すべて)に合格した後に必要になります。
| 項目 | 金額(税込) | 備考 |
|---|---|---|
| 受験の手引(願書) | 1,000円 | 受験者1人につき1部必要 |
| 第1次試験 受験料 | 1分野3,000円 | 4分野すべて受験で12,000円 |
| 第2次試験 受験料 | 8,000円 | 第1次試験合格後に必要 |
第1次試験は分野ごとに受験料がかかります。4分野をまとめて受験する場合は12,000円です。これに加えて、公式テキストや受験対策講座を利用する場合は、別途その費用がかかります。
認知症ケア専門士の合格基準
認知症ケア専門士の合格基準は、第1次試験と第2次試験で次のように定められています。
- 第1次試験:各分野で正答率70%以上を満たすこと。4分野すべてに合格すると第2次試験に進めます。
- 第2次試験:次の5つの要件をすべて満たすこと。
- 適切なアセスメントの視点を有している
- 認知症を理解している
- 適切な介護計画を立てられる
- 制度および社会資源を理解している
- 認知症の人の倫理的課題を理解している
第1次試験は分野ごとに70%以上という明確な基準があり、しっかり対策すれば十分に合格をねらえます。一方で4分野すべてに合格する必要があります。苦手分野をつくらず、はば広く学習しておくことが大切です。
認知症ケア専門士の更新(5年ごと・30単位)
認知症ケア専門士は更新制の資格で、有効期間は5年間です。資格を維持するには、認定期間中(5年間)に30単位以上を取得する必要があります。単位は、日本認知症ケア学会が主催する講座や、学会が認定する団体が開催する講座などへの参加で取得します。そのうえで、更新申請期間内に必要書類を提出し、更新料10,000円を納めれば更新できます。
更新の流れを整理すると、次のとおりです。
- 5年間の認定期間中に、学会の学術集会や研修会などで30単位以上を取得する。
- 更新申請期間内に、所定の書類を提出する。
- 更新料10,000円を納める。
取得して終わりではなく、学び続けることが前提の資格です。認知症ケアの知識は制度改正や研究の進展とともに更新されていきます。更新制は、現場で役立つ知識を保ち続けられるしくみといえます。
上位資格「認知症ケア上級専門士」
認知症ケア専門士の上位資格として、認知症ケア上級専門士があります。ケアチームのリーダーやアドバイザーの育成を目的とした資格です。認知症ケアやケアマネジメントについて、指導・助言を行える人材を認定します。
認知症ケア上級専門士を目指すには、おおむね次の条件を満たす必要があります。
- 認知症ケア専門士としての経験が3年以上あること
- 所定の単位を取得していること
- 認知症ケア上級専門士研修会を修了していること
- 学術集会・研修会等での演題発表・事例報告、または機関誌等での論文・事例発表のいずれかの経験があること
認知症ケア上級専門士を取得すれば、チームのリーダーや地域のアドバイザーとして活躍できる可能性が高まります。介護現場でのキャリアアップを考えるなら、介護福祉士の上位資格にあたる認定介護福祉士とあわせて、進路の選択肢として知っておくとよいでしょう。
認知症ケア専門士を取得するメリット
認知症ケア専門士を取得する主なメリットは、次のとおりです。
- 専門知識・技術が体系的に身につく:認知症の基礎から社会資源まではば広く学ぶため、現場での対応の引き出しが増えます。
- 職場での評価につながりやすい:認知症ケアの専門性を示す資格として、施設によっては資格手当や役割の付与につながることもあります。
- 利用者・家族からの信頼を得やすい:認知症ケアに関する確かな知識を持つ専門職として、安心して相談してもらえる存在になれます。
- キャリアアップの土台になる:上位資格の認知症ケア上級専門士へとステップアップする道も開けます。
認知症の人と接するうえでは、介護度(要介護度)に応じた支援の理解も欠かせません。認知症ケア専門士で学ぶ知識は、こうした制度面の理解とあわせて、日々のケアの質を高めることに直結します。
取得後に資格を活かせる職場と現場での使い方
結論として、認知症ケア専門士は持っているだけでなく、認知症の人が多い職場で活かすほど価値が出ます。どこで、どう使えるかを具体的にイメージしておくと、取得後の動きが変わります。
- 活かしやすい職場:認知症対応型のグループホーム、特別養護老人ホーム、認知症ケアに力を入れるデイサービスや病棟など。
- 現場での役割:BPSD(認知症にともなう行動・心理症状)への対応方針づくり、ケア手順の見直し、後輩への助言役。
- 処遇への反映:施設によっては資格手当や、認知症ケアの担当・リーダーとしての役割付与につながります。
転職を考える場合は、求人票に「認知症ケアの研修体制」「資格手当」があるかを見ると、資格を評価する職場かどうかが分かります。
第1次試験を効率よく突破する進め方
第1次試験は4分野すべてで70%以上が必要です。苦手分野を作らないことが合否を分けます。次の順で進めると対策しやすくなります。
- 公式の「認知症ケア標準テキスト」第1巻~第4巻を分野ごとに通読する。
- 分野ごとに過去の出題傾向を確認し、弱い分野を早めに洗い出す。
- 合格分野は5年間有効なため、計画的に分野を分けて受験することも検討する。
更新(5年・30単位)を失効させないコツ
取得後にもっとも多いつまずきが、30単位の取り忘れによる失効です。資格を無駄にしないために、次を習慣にしましょう。
- 年間の単位ペースを決める:5年で30単位なら、年6単位を目安に学会の研修会へ計画的に参加します。
- 取得単位を記録する:いつ・どの研修で何単位取ったかを控え、申請期間を逃さないようにします。
- 更新料を見込んでおく:更新料10,000円を含め、維持にかかる費用を事前に把握します。
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まとめ
認知症ケア専門士とは、一般社団法人日本認知症ケア学会が認定する民間資格です。認知症ケアにたずさわる人の知識・技術と倫理観を高めることを目的とした、更新制の資格です。受験するには、試験実施年の3月31日より遡って過去10年間に3年以上の認知症ケア実務経験が必要で、職種や保有資格は問われません。試験は、4分野からなる第1次試験(筆記)と、事例3題に対する第2次試験(論述)の2段階です。第1次は各分野70%以上、第2次は5要件すべてを満たすことが合格基準です。受験料は第1次が1分野3,000円(4分野で12,000円)、第2次が8,000円で、受験の手引が別途1,000円かかります。資格は5年ごとの更新制で、5年間に30単位を取得し、更新料10,000円を納めて更新します。さらに上位の認知症ケア上級専門士を目指す道もあり、認知症ケアの専門性を高めてキャリアを広げたい人に向いた資格です。
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参考(一次情報)
- 日本認知症ケア学会 認知症ケア専門士認定試験「第1次試験概要」(Web試験・受験料・合格要件の原典)
- 日本認知症ケア学会 認知症ケア専門士認定試験「第2次試験概要」(論述試験の内容・5つの合格要件の原典)
最終更新:2026年7月
※本記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。受験前に必ず最新の「受験の手引」と公式サイトをご確認ください。
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