介護のデジタル人材とは、ICTやAIを使って現場の課題を解決する人材です。これからの介護現場では欠かせない存在になります。この記事は、デジタル人材を目指す職員や施設の管理者に向けた内容です。デジタル化(介護DX。デジタル技術で業務を変えること)が必要な理由、現場で役立つツール、スマート介護士などの資格、求められるITスキルを2026年7月時点の最新情報で解説します。
記事でわかること
この記事でわかること
- 介護業界でデジタル化(介護DX)が必要不可欠な理由
- 介護のデジタル人材に求められる役割とITスキル
- 現場で役立つチャットツール/Web会議システム/表計算ツール
- スマート介護士など介護×ITに関する民間資格
- デジタル人材を目指すうえでの進め方と注意点
介護業界でデジタル化が必要不可欠な理由とは
介護業界のデジタル化は、深刻な人材不足を乗り越えるために欠かせません。背景には、次の3つの課題があります。
- 介護人材の不足
- 職員の負担増大
- 業務効率の悪化
厚生労働省の資料「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」では、2040年度に約280万人の介護職員が必要とされています。現状からの大幅な確保が課題です。この人材不足を乗り越えるためにも、現場のデジタル化は避けて通れません。
ICTやAIを活用すれば、記録や情報共有の効率が上がります。職員一人ひとりの負担も軽くなります。働きやすい職場になれば離職率の低下も期待できます。人が担っていた一部の作業をデジタル技術で補えば、限られた人員でも質の高いケアを続けやすくなります。
こうした背景から、介護業界のデジタル化は人材不足の解決に欠かせません。介護現場でのAI活用については介護AIの記事もあわせてご覧ください。
介護のデジタル人材に求められる役割とは
デジタル人材とは、デジタル技術を使って新しい仕組みや価値を生み出す人材です。ITの幅広い知識をもとに、自分たちの現場に最適な技術を選び、課題の解決策を導きます。
注意したいのは、デジタル人材の仕事が新しいツールの導入そのものではない点です。大切なのは業務全体を見直すことです。「業務効率の向上」や「ケアの質の改善」という目的を見据えて、本当に必要なツールを選びます。
公益財団法人介護労働安定センターの「令和4年度 介護労働実態調査」によると、介護労働者の平均年齢は約50歳でした。介護業界にはデジタルネイティブではない世代も多く、ITツールへの抵抗感やPCスキルのばらつきが課題になりがちです。
こうした課題を乗り越えるには、次のような取り組みが求められます。
- 小さく始める「スモールスタート」で進める
- 職員へ丁寧に説明し、理解を促す
- 定期的な研修を行う
つまり介護のデジタル人材には、ITの専門知識だけでなく、現場の職員のスキルや業務を踏まえて仕組みを組み立てる柔軟性も欠かせません。
デジタル人材に求められるITスキル
デジタル人材に必要なスキルは、次の5つに整理できます。
| スキル | 内容 |
|---|---|
| 基本的なPC操作 | 文字入力/ファイル管理/メールなど日常業務の基礎 |
| クラウドツールの活用 | チャット/Web会議/クラウド表計算などの理解と運用 |
| 情報セキュリティ | 個人情報の取り扱い/情報漏洩リスクへの配慮 |
| 課題発見・改善の視点 | 現場の困りごとを整理し、適したツールを選ぶ力 |
| 周囲を巻き込む力 | 導入時に職員へ説明し、定着まで支援する姿勢 |
デジタル人材になる上で知っておきたいツール
まず押さえたいのは、取り組みやすい3つの基本ツールです。チャットツール、Web会議システム、クラウド表計算ツールが挙げられます。いずれも特別な専門機器ではなく、すぐ始められます。順に紹介します。
チャットツール
情報共有には、業務用のチャットツールがおすすめです。介護現場では情報の正確さが利用者の命に関わることもあり、スピーディで正確な情報交換が求められます。一方で、2交代制や3交代制の施設では、職員全員が集まって申し送りをする機会が減りがちです。
連絡を取りやすいよう、プライベート用のチャットアプリを業務に使う施設もあります。しかし私用と業務でツールを分けないと、情報漏洩のリスクが高まります。業務用チャットツールなら、安全かつ正確に情報を共有できます。グループチャットを使えば、利用者の日々の状況を素早く共有でき、書類のやり取りや管理も簡単です。
代表的なものに、Chatwork(チャットワーク)/Slack(スラック)/LINE WORKS(ラインワークス)があります。それぞれの特徴は次のとおりです。
- Chatwork:目的別のグループチャットを作りやすい
- Slack:フロアごとに鍵付きチャンネルを設けるなど整理に向く
- LINE WORKS:普段のLINEに近い感覚で使え、新しいツールに抵抗がある職員でも使いやすい
Web会議システム
会議の運用にはWeb会議システムが役立ちます。介護現場では、利用者の容体が急変して予定外の対応に追われることが日常的にあります。固定メンバーが決まった場所に定期的に集まる会議は、現場では運用が難しいこともあるでしょう。
Web会議システムなら、インターネットにつながったPCやスマートフォンがあれば、どこからでも参加できます。会議室へ移動する時間を短縮でき、在宅勤務の職員や多様な勤務形態にも柔軟に対応できます。代表的なツールは、Zoom/Microsoft Teams/Google Meetなどです。
クラウド表計算ツール
業務管理や情報共有には、Googleスプレッドシートなどのクラウド型表計算ツールが便利です。クラウド上で編集・保存できるため、PCだけでなくスマートフォンからも使えます。複数人が同時に編集した内容は自動で保存され、情報共有のスピードが大きく上がります。
特に便利なのがアクセス権限の設定です。編集できる職員を限定し、他の職員は閲覧やコメントだけといった運用ができるため、安全に情報を扱えます。インターネット環境があれば低コストで導入できるので、まず手軽に業務管理を始めたい事業所に向いています。
こうしたツールに加え、見守りセンサーや介護ロボットなどの機器も現場で広がっています。詳しくは介護ロボットの記事や介護IoTの記事もご覧ください。
介護×ITに関する資格「スマート介護士」
デジタル人材の知識を体系的に学ぶなら、「スマート介護士」という資格が代表的です。介護現場でロボットやセンサーなどの先進技術を活用し、業務の効率化やサービス品質の向上を図る知識を学べます。
スマート介護士は、社会福祉法人善光会のサンタフェ総合研究所が主催する民間資格です。ICTや介護ロボットの導入・活用時に役立つ内容を学べます。資格区分は、入門向けの「Starter」、基礎レベルの「Basic」、上位の「Expert」の3つです。いずれもオンラインで受験できます(区分や受験方法は時期により変わる場合があるため、最新情報は主催団体の公式情報をご確認ください)。
デジタル化が進む介護施設が増えるなか、こうした知識を持つ職員は、現場の課題解決で活躍できる貴重な人材になります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 資格の種類 | 民間資格 |
| 主催 | 社会福祉法人善光会 サンタフェ総合研究所 |
| 区分 | Starter / Basic / Expert |
| 受験方法 | オンライン |
| 学べる内容 | 介護ロボット・ICTの導入/活用に関する知識 |
介護のデジタル人材を目指すメリットと課題
デジタル人材を目指すことには多くのメリットがありますが、意識しておきたい課題もあります。両面を整理しておきましょう。
| メリット | 課題・注意点 |
|---|---|
| 人手不足対策につながる | 導入・運用にコストがかかる |
| 記録や情報共有の負担を軽減できる | 職員間でITスキルに差がある |
| キャリアの幅を広げられる | 個人情報・セキュリティへの配慮が必要 |
| ケアの質の向上に貢献できる | ツール導入が目的化しないよう注意が必要 |
大切なのは、デジタル技術の導入自体をゴールにしないことです。あくまで利用者により良いケアを届け、職員が働きやすくなることが目的です。この視点を持ち続けることが、デジタル人材として信頼される第一歩になります。
現場でデジタル化を進める手順と失敗回避
ツールを選んだ後につまずくのは、たいてい導入の進め方です。良いツールでも、現場に合わなければ使われずに終わります。スモールスタートの手順と、よくある失敗の避け方を整理します。
スモールスタートの進め方
いきなり全館・全業務に広げず、小さく試して広げるのが定着の近道です。
- いちばん困っている業務(記録・申し送りなど)を一つに絞る
- 無料プランや1フロアだけで試し、効果と使い勝手を確かめる
- 使いやすかった点・つまずいた点を職員から聞き取る
- 手順書を1枚にまとめ、苦手な職員にも個別にフォローする
- うまくいった事例を共有し、他フロア・他業務へ広げる
よくある失敗と回避のポイント
| よくある失敗 | 回避のポイント |
|---|---|
| 導入が目的化し、使われなくなる | 「どの業務をどれだけ楽にするか」を先に決める |
| ITが苦手な職員が取り残される | 1枚の手順書と個別フォローで差を埋める |
| 私用アプリで情報共有してしまう | 業務用ツールに一本化し、ルールを周知する |
| 多機能すぎて使いこなせない | 最初は1機能に絞り、慣れてから広げる |
導入の目的は、利用者により良いケアを届け、職員が働きやすくなることです。小さく始めて職員を巻き込む進め方が、定着と負担軽減につながります。介護現場の生産性向上の動向は、厚生労働省の介護・高齢者福祉のページもあわせてご確認ください。
あわせて読みたい
まとめ
介護のデジタル人材を目指すなら、まず基本ツールから始め、資格で知識を補うのが近道です。業務用チャットツールやWeb会議システム、クラウド表計算ツールは、特別な準備がなくても始めやすく、スモールスタートに向いています。さらにスマート介護士のような資格で知識を体系的に学べば、現場の課題解決に大きく貢献できます。
今後予測される人材不足を乗り越えるためにも、介護業界のデジタル化は止まりません。ITの知識を備えた人材の必要性は、これからますます高まっていきます。
介護業界の求人を探す / 介護の求人を見る
LINEで気軽に相談する / LINEで相談する
e介護転職は、株式会社ベストパーソンが運営する、介護と福祉に特化した求人情報サイトです。
介護・福祉の求人情報を専門に扱う求人・転職サイトのため、介護・福祉の求人を探しやすいのが特徴です。
掲載求人件数は業界最大級で、全国の求人を取り扱っています。
介護・福祉に特化しているので、職種検索(介護職、ケアマネージャー、看護師、生活相談員、児童発達支援管理責任者、サービス管理責任者など)、サービス種類検索:介護(特養ホーム、有料老人ホーム、デイサービス、グループホーム、訪問介護など)・福祉の障害児/障害者支援関連(放課後等デイサービス、障害者就労支援など)、雇用形態での検索(正社員はもちろん、短時間パート、日勤のみ、夜勤のみなど)と充実しており、あなたに合った求人を探せます。
当サイトは、パソコンだけではなく、スマートフォンでも利用できます。これからの高齢化社会を支える業界で、是非あなたの力を発揮できる職場を見つけて下さい。
e介護転職に掲載している求人情報
- 介護職・ヘルパー
- サービス提供責任者
- 介護支援専門員
- 看護師
- 生活相談員
- 作業療法士
- 理学療法士
- 管理栄養士・栄養士
- 福祉用具専門相談員
- 福祉住環境コーディネーター
- 管理職
- 広報・営業職
- 介護事務・事務
- 送迎ドライバー
- 保健師
- 看護助手
- 言語聴覚士
- 医療事務
- 保育士
- 主任介護支援専門員
- 機能訓練指導員
- 相談員
- 訪問入浴オペレーター
- サービス管理責任者
- 児童発達支援管理責任者
- 児童指導員
- 調理職
- 支援員
- あん摩マッサージ指圧師
- 計画作成担当者
- 移動介護従事者(ガイドヘルパー)
- 居宅介護従事者
- 重度訪問介護従事者
- 行動援護従業者
- 相談支援専門員
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 視能訓練士
- 技師装具士
- 手話通訳士
- 歩行訓練士
- その他



