視能訓練士とは? 資格の取り方・仕事内容について分かりやすく解説

この記事は、眼科医療の専門職に興味がある方や、検査・リハビリ分野での進路を考えている方に向けたものです。視能訓練士とは何かを、仕事内容・なり方・国家試験の合格率・年収・将来性まで解説します。2026年7月時点の最新情報でまとめました。

視能訓練士(ORT)は、医師の指示のもとで目の検査や視機能の訓練を行う、眼科医療の専門職です。

この記事でわかること

  • 視能訓練士とはどんな国家資格か
  • 視能訓練士の4つの仕事内容
  • 視能訓練士になるためのルート
  • 国家試験の最新の合格率・受験者数
  • 年収の目安と、需要・将来性

視能訓練士とは?

視能訓練士(ORT:Orthoptist)とは、視能訓練士法(1971年制定)にもとづく国家資格です。厚生労働大臣の免許を受け、医師の指示のもとで、両眼視機能に障害のある人への回復のための矯正訓練と、それに必要な検査を行います。あわせて、医師の指示のもとで眼科に関するさまざまな検査(眼科検査)を行うことも認められています。

視能訓練士は名称独占資格でもあります(資格を持つ人だけが「視能訓練士」を名乗れる仕組みで、資格がない人がまぎらわしい名称を使うことは禁じられています)。眼科医療を、検査と訓練の専門家として支える存在です。

視能訓練士の仕事内容(4つの分野)

視能訓練士の業務は、大きく次の4つの分野に分けられます。

分野 主な内容
視能矯正 斜視や弱視に対する視能訓練、両眼視機能・眼位・眼球運動の検査。
視能検査 視力・屈折・眼圧・視野の検査、眼鏡やコンタクトレンズの処方に関わる検査、眼底や前眼部の撮影など。
健診(検診)業務 3歳児健診や就学時健診、生活習慣病予防健診などでの目の検査と、眼の病気の早期発見。
ロービジョンケア 視機能が低下した人のQOL改善支援。拡大鏡・遮光眼鏡・拡大読書器などの選定や、視覚リハビリの連携。

散瞳薬を使う検査や眼底写真の撮影など、一部の行為は医師の具体的な指示が必要です。なお、採血は視能訓練士の業務には含まれません。

視能訓練士になるには?

視能訓練士になるには、指定の養成校で学んだうえで国家試験に合格する必要があります。受験資格を得るルートは、主に次の2つです。

  • 高校卒業後、3年以上のルート:大学・短大・専門学校など、視能訓練士の養成課程(3年以上)で学ぶ。
  • 大学・短大などで2年以上学んだ後のルート:指定科目を履修したうえで、1年以上の養成所で学ぶ(1年制の専門学校など)。

養成校は全国に大学・短大・専門学校あわせておよそ30校あります。理学療法士や言語聴覚士などと同じく、医療系国家資格を目指す進路のひとつです。理学療法士言語聴覚士などのリハビリ・検査系の資格に興味がある方は、あわせてご覧ください。

視能訓練士国家試験の合格率

視能訓練士国家試験は、毎年2月に厚生労働省が実施します。最新の第56回(2026年2月実施)の結果は次のとおりです。

  • 受験者数:804人
  • 合格者数:773人
  • 合格率:96.1%(新卒のみでは98.5%)

直近の合格率の推移は下表のとおりで、近年は90%台後半の高い水準です。

回(実施年) 合格率(全体)
第53回(2023年) 89.3%
第54回(2024年) 95.2%
第55回(2025年) 96.8%
第56回(2026年) 96.1%

合格率が高いのは、養成校でしっかり学んだ人が受験するためです。とはいえ、出題範囲は基礎医学から視能検査・視能訓練まで幅広いため、養成課程での学習の積み重ねが欠かせません。

視能訓練士の就職先と年収

視能訓練士の多くは、眼科の診療所(クリニック)や病院の眼科、大学病院、検診機関などに勤務します。基本的に夜勤や宿直はなく、働きやすい環境とされています。

年収の目安は、出典によって幅があります。厚生労働省の職業情報サイト「job tag」では、視能訓練士の平均年収は443.6万円とされています(令和7年賃金構造基本統計調査をもとにした値)。一方、求人票ベースでは360万円前後から始まることも多く、施設規模や経験で差があります。統計値は賞与を含み、経験年数の長い層も反映されます。初任時は控えめに見積もっておくと安心です。

視能訓練士の需要・将来性

視能訓練士の需要は、高齢化を背景に高まっています。中途失明の原因の第1位は緑内障(約40.7%)で、40歳以上の有病率は約5%(20人に1人)とされます。白内障・糖尿病網膜症・加齢黄斑変性など、加齢に伴う目の病気の増加も、検査を担う視能訓練士のニーズを押し上げています。

子どもの分野でも、弱視はおよそ50人に1人とされ、視覚の感受性期が終わる前の早期発見が重要です。2022年度から3歳児健診へのスポットビジョンスクリーナー(目の屈折を測る検査機器)導入に国の補助が始まり、視能訓練士が関わることで弱視の発見精度が高まっています。有資格者数は近年およそ2万人台に達しています。ハローワーク求人の有効求人倍率は2.97倍(令和6年度・job tag掲載値)と高く、売り手市場が続いています。

視能訓練士を目指す前に知っておきたいキャリアの現実

視能訓練士は安定した国家資格ですが、進路を決める前に「資格を取った後の働き方の現実」を知っておくと、入学後のミスマッチを防げます。志望理由やイメージだけで養成校を選ぶと、想定とのずれに後で気づくことがあります。次の点を、出願前に自分の希望と照らし合わせてみましょう。

  • 勤務先は眼科が中心:診療所や病院の眼科が主な職場で、活躍の場は眼科領域に絞られる。幅広い診療科を経験したい人は適性を確認する
  • 年収は職場規模で差が出る:求人ベースで360万円前後から始まることもあり、大きく稼ぐより安定志向の働き方に向く
  • 夜勤が少なく両立しやすい:基本的に夜勤・宿直がないため、子育てや家庭との両立を重視する人に向いている
  • 細かい検査が日々の中心:精密な視能検査や訓練が業務の柱。地道な作業を丁寧に続けられるかが定着の鍵になる

進路選びで迷う場合は、理学療法士や言語聴覚士など、ほかのリハビリ・検査系の国家資格とも比べてみると、自分に合う方向が見えやすくなります。資格取得はゴールではなく、その後どんな働き方をしたいかから逆算して選ぶことが、長く続けられる選択につながります。

よくある質問(FAQ)

Q. 視能訓練士と眼科の看護師は何が違いますか?

A. 視能訓練士は、医師の指示のもとで視能検査や斜視・弱視の訓練を専門に行う国家資格です。看護師のような全身の看護やケアではなく、目の検査と視機能の訓練に特化している点が特徴です。

Q. 国家試験の合格率はどのくらいですか?

A. 最新の第56回(2026年)は96.1%でした。近年は90%台後半で推移しており、養成課程で学べば十分に合格を目指せる水準です。

Q. 視能訓練士に夜勤はありますか?

A. 勤務先の多くが眼科診療所や病院の眼科のため、基本的に夜勤・宿直はないとされています。

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まとめ

視能訓練士(ORT)とは、医師の指示のもとで視能検査・視能訓練・健診・ロービジョンケアを行う眼科医療の国家資格です。なるには養成校で学び、国家試験に合格する必要があります。最新の第56回(2026年)合格率は96.1%でした。眼科クリニックや病院を中心に夜勤の少ない働き方ができ、高齢化や小児健診の機器導入を背景に需要も高まっています。目の医療に専門職として関わりたい人にとって、魅力的な選択肢です。

「医療系の専門職として働きたい」「検査やリハビリの分野で経験を活かしたい」という方は、お気軽にご相談ください。

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参考(一次情報)

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※本記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。国家試験・年収などの最新情報は公式情報をご確認ください。