介護職の給料は、働く施設の形態で月3万円以上変わります。結論から言うと、夜勤のある入所系(特養・老健・有料)と訪問介護が高め、日中だけのデイ(通所介護)は低めの傾向です。この記事では厚生労働省の最新調査をもとに、施設形態別の平均給与を比較表で整理します。「どこなら稼げるか」を3分で判断したい求職者・転職検討者向けの内容です。
記事でわかること
施設形態別 介護職の平均給与 早見表(令和6年)
まず全体像です。下の表は厚生労働省「令和6年度 介護従事者処遇状況等調査」の数字をもとにしています。月給・常勤の介護職員の平均給与額(基本給+手当+一時金)で、処遇改善加算を取得している事業所が対象です。
| 施設形態(略称) | 平均給与(月額) | 夜勤 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 介護老人福祉施設(特養) | 361,860円 | あり | 入所系で最高水準。重度ケアが中心 |
| 特定施設(有料老人ホーム等) | 361,000円 | あり | 特養と並ぶ高水準。施設差が大きい |
| 介護老人保健施設(老健) | 352,900円 | あり | 在宅復帰支援。リハ職と協働 |
| 訪問介護(ホームヘルプ) | 349,740円 | 原則なし | 登録制も多く働き方の幅が広い |
| 介護医療院 | 330,030円 | あり | 医療ニーズの高い長期療養 |
| 通所リハビリ(デイケア) | 319,310円 | なし | リハ目的。日中中心 |
| 小規模多機能型居宅介護 | 305,220円 | あり | 通い・泊まり・訪問を一体提供 |
| 認知症対応型共同生活介護(グループホーム) | 302,010円 | あり | 少人数。認知症ケアに特化 |
| 通所介護(デイサービス) | 294,440円 | なし | 日中のみ。家庭と両立しやすい |
全体の平均は338,200円です。特養と通所介護では月約6.7万円の差があります。年収に換算すると80万円前後の開きです。給料だけで職場を選ぶなら、この差は無視できません。
注意点を1つ。これは平均値で、同じ形態でも法人や地域で上下します。額面の数字なので、手取りはここから税・社会保険料が引かれます。詳しくは後半の「よくある誤解」で補足します。
入所系(特養・老健・介護医療院・有料)が高い理由
結論、入所系は夜勤があり、夜勤手当が月給を押し上げるからです。24時間体制で利用者を支えるため、夜勤回数に応じた手当が乗ります。
特養(介護老人福祉施設)
平均361,860円で、入所系の中でも最高水準です。要介護3以上の重度の方が中心で、身体介護の比重が高い職場です。社会福祉法人の運営が多く、賞与や退職金の制度が整っている傾向があります。
有料老人ホーム等(特定施設)
平均361,000円と特養に並びます。ただし施設ごとの差が大きいのが特徴です。高級志向のホームでは給与水準も高く、サービス内容も幅広くなります。求人票では基本給と手当の内訳まで確認しましょう。
老健(介護老人保健施設)
平均352,900円です。在宅復帰を目指すリハビリ中心の施設で、理学療法士など多職種と協働します。医療・リハの知識が身につきやすく、ケアの幅を広げたい人に向きます。特養との違いは「在宅復帰が目的か、生活の場か」という役割の差です。
介護医療院
平均330,030円です。医療ニーズの高い方の長期療養を担います。入所系の中では平均がやや低めですが、医療的ケアの経験を積める点が魅力です。
通所系(デイサービス)が低めな理由
結論、デイは夜勤がなく、その分の手当が乗らないからです。通所介護(デイサービス)の平均は294,440円で、全形態で最も低くなっています。
ただし「低い=悪い」ではありません。日勤のみで生活リズムが整い、土日休みの事業所も多いためです。家庭や育児と両立したい人には働きやすい選択肢です。給料より勤務時間を優先したい人に向きます。
同じ通所でも、リハビリ目的の通所リハビリ(デイケア)は319,310円とやや高めです。リハ職との連携や機能訓練の専門性が反映されています。
訪問系(ホームヘルプ)の特徴
結論、訪問介護は349,740円と入所系に迫る水準です。常勤の月給・常勤者で見ると意外に高い形態です。
理由は、身体介護の単価が高いことと、サービス提供責任者など役職への道があることです。一方で、登録ヘルパーとして時給で働く人も多く、働き方によって収入の幅が大きい点に注意が必要です。1対1のケアが好きな人、移動を含めて自分のペースで働きたい人に向きます。
認知症対応型(グループホーム)の位置づけ
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の平均は302,010円です。夜勤はありますが、入所系の中では平均が低めです。
理由は、1ユニット9人以下の少人数で、夜勤者の配置人数が抑えられるためと考えられます。とはいえ認知症ケアの専門性は高く、利用者一人ひとりとじっくり向き合えます。大規模施設の慌ただしさが苦手な人に向く職場です。
なぜ給料差が生まれるのか(夜勤・加算・人員)
施設形態で給料が変わる主な理由は3つです。求人を比べるときの着眼点にもなります。
- 夜勤手当:入所系は夜勤があり、1回あたり数千円から1万円超の手当が乗る。回数次第で月収が変わる
- 加算と報酬構造:要介護度の高い人を多く受け入れる形態ほど介護報酬が高く、給与原資が確保しやすい
- 人員配置と職務:身体介護中心か見守り中心かで、求められる負荷と評価が異なる
あわせて押さえたいのが処遇改善手当です。介護職員等処遇改善加算という仕組みで、事業所が取得していれば毎月の手当として給与に反映されます。今回の調査でも95.5%の事業所が取得しており、取得の有無は給与差に直結します。求人票で「処遇改善手当あり」を確認しましょう。夜勤手当の相場や処遇改善手当の中身は、それぞれの解説記事もあわせて読むと理解が深まります。
稼ぎたい人の職場選び(実務アクション)
結論、給料を最優先するなら「夜勤あり・重度ケア中心・処遇改善加算の上位区分を取得」の入所系が近道です。具体的な選び方は次のとおりです。
- 夜勤に入れるか確認する。夜勤回数が月4回以上だと手当の差が大きく出る
- 処遇改善加算の区分を聞く。加算Ⅰなど上位区分は手当が手厚い傾向
- 基本給と手当の内訳を分けて見る。手当頼みの高給は将来の昇給が伸びにくい場合がある
- 賞与・退職金の有無を確認する。社会福祉法人運営の特養などは制度が整いやすい
- 資格手当を確認する。介護福祉士の取得で月の給与が上がる事業所が多い
働き方とのバランスも大切です。夜勤が体力的に難しい時期なら、日勤中心のデイで安定を取り、資格取得で底上げする道もあります。自分の生活と5年後のキャリアを並べて考えましょう。施設形態ごとの役割は、介護施設の種類と選び方をまとめた記事も参考になります。
よくある誤解・NG(額面と手取り・地域差)
給料比較でつまずきやすい点を整理します。
- 誤解1:表の金額がそのまま振り込まれる。実際は額面で、税・社会保険料を引いた手取りは8割前後になる
- 誤解2:全国どこでも同じ。実際は地域区分で介護報酬が異なり、都市部は給与も高めの傾向
- 誤解3:基本給が高い=好条件。手当込みで比べないと判断を誤る。賞与の月数も含めて年収で見る
- NG:1社だけで判断する。同じ特養でも法人差が大きい。複数の求人を並べて比較する
比べるときは「年収(基本給×12+賞与+夜勤手当の年間見込み)」でそろえると公平です。月給の数字だけで飛びつかないことが失敗回避のコツです。
まとめ
施設形態別の平均給与は、特養と有料が最高水準、訪問・老健が続き、デイが最も低いという順でした。差を生むのは夜勤手当・加算・人員配置です。稼ぎたいなら入所系と処遇改善加算の上位区分を狙い、額面でなく年収と手取りで比較するのが近道です。給料・年収の全体像は親記事の完全ガイドで、特養と老健の違いは個別記事で確認すると、自分に合う職場が見えてきます。
本記事の数値は厚生労働省「令和6年度 介護従事者処遇状況等調査結果の概要」(令和6年9月時点・処遇改善加算取得事業所)に基づきます(出典:https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/24/index.html )。
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