※本記事は2026年6月17日時点の公開情報に基づきます。制度は整備中で変更の可能性があるため、最新は出典元でご確認ください。
2027年4月、外国人材の受け入れの仕組みが大きく変わります。これまでの「技能実習」を発展的に解消し、新たに「育成就労」という制度がスタートする予定です。介護は外国人材の受け入れが進んでいる分野のひとつ。「いまの技能実習生はどうなる?」「日本語の要件は厳しくなる?」「人が辞めてよそへ移れるようになるって本当?」——そんな疑問を、国の一次情報をもとにできるだけかみくだいて整理します。
- 育成就労制度は2027年(令和9年)4月1日に施行予定。根拠となる改正法はすでに公布され、主務省令・分野別運用方針・運用要領も順次公表されています。
- 技能実習との大きな違いは、目的が「国際貢献」から「人手不足分野の人材育成・確保」に変わること。これにより、一定の要件のもとで本人の意向による転籍(働く先の変更)が新たに認められます。
- 介護は分野ごとの「上乗せ基準」がある分野のひとつ。日本語能力など分野独自の要件が定められる見込みで、詳細は分野別運用方針・運用要領で確認が必要です。
記事でわかること
そもそも育成就労制度とは?(背景)
育成就労制度とは、人手不足の分野で3年間働きながら「特定技能1号」の水準まで人材を育てて確保することを目的とした、新しい受け入れの仕組みです。 これまでの技能実習制度は「技能を母国に持ち帰ってもらう国際貢献」を建前にしていましたが、実態と目的のずれや、外国人の権利保護の面での課題が指摘されてきました。
そこで、2024年(令和6年)6月21日に公布された改正法(入管法等一部改正法/令和6年法律第60号)により、技能実習制度を発展的に解消し、新たに育成就労制度を創設することが決まりました。施行予定日は2027年(令和9年)4月1日です。育成就労を終えて試験に合格すれば、そのまま「特定技能1号」へとステップアップできる、連続性のある制度として設計されています。
技能実習制度とどこが違う?
入管庁の解説をもとに、おもな違いを整理すると次のようになります(細部は政省令・運用要領で確定)。
- 制度の目的:技能実習は「技能移転による国際貢献」。育成就労は「人手不足分野の人材育成・確保」。
- 転籍(働く先の変更):技能実習では本人の都合による転籍は原則不可だった。育成就労では、やむを得ない事情がある場合に加えて、一定の要件を満たせば本人の意向による転籍も認められる。ただし転籍先は同じ業務区分内に限られる。
- 在留区分:技能実習は1号〜3号に区分があったが、育成就労は区分がなく、当初から3年間の「育成就労計画」を作成して認定を受ける。
- 日本語の要件:技能実習では入国時の明確な日本語要件がなかった。育成就労では、就労開始前までに日本語能力A1相当以上の試験合格または相当する講習(100時間以上)の受講が必要。さらに育成期間中に段階的な日本語・技能の目標が設けられる。
- 受け入れ機関・監理団体:技能実習の「監理団体」は、育成就労では「監理支援機関」となり、許可の基準が厳格化される。引き続き関わるには新たな許可が必要。
※「本人意向の転籍」には、直近の受け入れ機関で一定期間(分野ごとに1〜2年の範囲で定める「転籍制限期間」)就労していること、一定水準の技能・日本語能力を身につけていること、転籍先が優良な機関であることなど、複数の条件が設けられています。「自由にいつでも移れる」わけではない点に注意が必要です。
介護分野で特に気をつけたいこと
介護は、育成就労産業分野のなかでも「分野ごとに定める上乗せ基準がある分野」のひとつと位置づけられています(ほかに工業製品製造業・自動車整備・物流倉庫・漁業)。介護特有の事情に応じて、全分野共通のルールに上乗せした要件が定められる見込みです。
日本語要件は他分野より高めに設定される見込み
介護は利用者とのコミュニケーションが安全・ケアの質に直結するため、もともと日本語水準が高く設定されてきた分野です。育成就労でも、就労開始前のA1相当に加え、就労開始後の段階的な目標(1年目・3年終了時の試験)が分野別運用方針で定められます。具体的に求められる試験区分や水準は、分野別運用方針・運用要領・上乗せ基準告示で確認する必要があります。二次情報には「1年目N4・3年目N3相当」といった見込みも見られますが、要件は一次情報で再確認してください。
いまの技能実習生・受け入れ事業所はどうなる?
施行日(2027年4月1日)時点ですでに来日している技能実習生や、2027年3月31日までに技能実習計画の認定申請がなされ、施行日から3か月以内(2027年6月30日まで)に実習を開始する人については、原則として引き続き認定計画にもとづいて技能実習を続けられるとされています。経過措置の詳細は入管庁・機構の資料で確認できます。
事業者が今から準備しておきたいこと
現時点では政省令の整備が進んでいる段階で、受け入れの可否や要件を断定できる状況ではありません。そのうえで、議論の方向性からは次のような備えが考えられます。
- 取引のある監理団体が監理支援機関の許可を取得する予定かを確認しておく(許可の施行日前申請は2026年4月15日から受付開始済み)。
- 育成就労外国人を新規に受け入れる場合は、3年間の「育成就労計画」の作成・認定が前提になる。計画認定の施行日前申請は2026年9月1日から受付予定。
- 本人意向の転籍が認められることで、定着・職場環境づくりの重要性が一段と高まる。賃金・指導体制・生活支援の見直しを早めに検討しておくと、改正後の対応がスムーズになりやすい。
- 分野別運用方針・運用要領・上乗せ基準告示など、介護分野の最新資料を継続的にチェックする。
これらはあくまで方向性の整理であり、個別の受け入れ可否・要件は必ず一次情報と専門家(登録支援機関・行政書士等)に確認のうえご判断ください。
今後のスケジュール(見込み)
- 2024年6月21日:改正法を公布
- 2025年9月30日:主務省令を公布
- 2026年1月23日:基本方針・分野別運用方針を閣議決定
- 2026年2月20日:育成就労制度の運用要領を公表
- 2026年4月15日〜:監理支援機関の許可の施行日前申請の受付開始
- 2026年9月1日〜:育成就労計画の認定の施行日前申請の受付開始(予定)
- 2027年(令和9年)4月1日:育成就労制度の施行(特定技能制度の改正も同日)
まとめ&次にチェックすべきこと
育成就労制度は2027年4月の施行に向けて、関連する省令・方針・要領が着々と整備されています。技能実習との最大の違いは「目的の転換」と、それに伴う「本人意向の転籍の解禁」。介護は上乗せ基準のある分野として、日本語要件などに分野独自のルールが入る見込みです。まずは取引先の監理団体の対応状況を確認し、分野別運用方針・運用要領で介護の具体的な要件を押さえることが、あわてず準備を進める第一歩になります。本サイトでも続報を追っていきます。
出典
- 出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」:https://www.moj.go.jp/isa/applications/faq/ikusei_qa_00002.html
- 出入国在留管理庁「育成就労制度」:https://www.moj.go.jp/isa/applications/index_00005.html
- 外国人技能実習機構(OTIT)「育成就労制度について」:https://www.otit.go.jp/employment_for_skill_development/
- OTIT「育成就労産業分野ごとに定める上乗せ基準がある分野(介護ほか)」:https://www.otit.go.jp/employment_for_skill_development/cat1/
- 厚生労働省「資料2 育成就労制度の概要」:https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001301676.pdf
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