結論から言うと、介護職員の給料は国の施策で少しずつ上がる方向です。中心となるのが「処遇改善加算」(職員の賃上げ用に事業所へ上乗せ支給されるお金)です。2024年6月には、それまで3つに分かれていた加算が1つに一本化されました。この記事は、自分の手取りに加算がどう関係するか知りたい介護職の方に向けて書いています。処遇改善加算のしくみ、賃上げ施策の変遷、現行の加算区分や算定要件、2026年6月の臨時改定までを、2026年7月時点の最新情報で解説します。
記事でわかること
この記事でわかること
- 介護職員の賃上げを支える処遇改善加算とは何か
- 2024年2月からの「処遇改善支援補助金」(月6,000円相当)の内容
- 2024年6月に一本化された「介護職員等処遇改善加算」のしくみ
- 加算区分(2026年6月から6区分)と算定要件(3種類)
- 加算率の引き上げと2024年度/2025年度のベースアップ
- 2026年6月の臨時改定(加算率引き上げ・対象拡大)の内容
介護職員の給料は上がる?処遇改善加算という後押し
介護職員の給料は、国の賃上げ施策によって上がる方向で制度が整えられています。その中心が「処遇改善加算」です。これは職員の賃金改善を目的に、介護報酬へ上乗せして事業所へ支払われるお金のしくみです。事業所はこの加算を、基本給や手当、一時金として職員に還元するよう義務づけられています。
つまり処遇改善加算は、職員の給料を直接引き上げるための制度です。受け取った加算の配分方法は、事業所ごとに計画を立てます。計画書と実績報告書を都道府県へ提出する必要があり、賃金改善に確実に使われるしくみです。介護の資格と給料の関係をあわせて知りたい方は、ホームヘルパーの資格と仕事内容も参考になります。
介護職員の賃上げ施策の変遷
介護職員の賃上げ施策は、これまで何度も見直されてきました。流れを押さえると、現行制度の位置づけが理解しやすくなります。変遷は次のとおりです。
- 当初:「介護職員処遇改善加算」のみ。
- その後:経験や技能のある職員へ重点配分する「介護職員等特定処遇改善加算」が追加。
- 2022年(令和4年)10月:収入を月額9,000円相当引き上げる「介護職員等ベースアップ等支援加算」が創設され、加算は3種類に。制度が複雑になり、事務負担の大きさが課題に。
- 2024年(令和6年)2月~5月:報酬改定までのつなぎとして「介護職員処遇改善支援補助金」を実施。
この補助金は、介護職員の収入を2%程度(月額平均6,000円相当)引き上げるためのものです。ベースアップ等支援加算を取得済み、または取得見込みの事業所が対象でした。物価高に対応する臨時的な措置という位置づけです。そして2024年6月、これらの加算を整理・統合する大きな見直しが行われました。
2024年6月に一本化された「介護職員等処遇改善加算」
2024年6月から、従来の3つの加算が新しい「介護職員等処遇改善加算」として一本化されました。対象は「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」の3つです。それぞれが持っていた要件を組み替え、加算I/II/III/IVの4区分に整理されています。
一本化のねらいは2つあります。複雑だった制度をわかりやすくすることと、事業所の事務負担を軽くすることです。あわせて加算率が引き上げられました。令和6年度に+2.5%、令和7年度に+2.0%のベースアップ(基本給などの底上げ)につながる設計です。なお、急な変更を緩和するため、令和6年度末(2025年3月31日)までは経過措置として加算V(1~14)も設けられていました。これは期限を区切った暫定的な区分です。従来制度と新制度の主な違いは次のとおりです。
| 項目 | 従来(~2024年5月) | 新制度(2024年6月~) |
|---|---|---|
| 加算の数 | 3加算に分かれていた | 1つに一本化 |
| 区分 | 加算ごとに別々の区分 | 加算I~IVの4区分(2026年6月から6区分に再編) |
| 加算率 | 従来の水準 | 引き上げ(最大で従来比+) |
| 事務負担 | 3加算分の申請が必要 | 申請様式が一本化され軽減 |
加算区分(2026年6月から6区分)と算定要件
介護職員等処遇改善加算は、要件の満たし方に応じた区分に分かれます。2024年6月の開始時は加算I~IVの4区分でした。2026年(令和8年)6月からは加算I・IIに「イ」「ロ」が設けられ、Iイ/Iロ/IIイ/IIロ/III/IVの6区分に再編されています。「ロ」は、ケアプランデータ連携システムの活用など生産性向上に取り組む事業所向けの上乗せ区分です。加算率はサービスの種類によって異なります。たとえば訪問介護では最大28.7%(加算Iロ)で、改定前の最大24.5%からさらに引き上げられました。
算定にあたっては、大きく次の3種類の要件を満たす必要があります。区分ごとに求められる要件の範囲が変わります。
| 要件 | 主な内容 |
|---|---|
| キャリアパス要件 | 任用要件・賃金体系の整備、研修の実施、昇給のしくみ、改善後の賃金額、介護福祉士等の配置など(区分が上がるほど多くの要件が必要) |
| 月額賃金改善要件 | 受け取った加算の一定割合以上を、基本給や毎月決まって支払われる手当で改善すること |
| 職場環境等要件 | 入職促進、資質向上、両立支援、心身の健康管理、生産性向上、やりがいの醸成など6区分の取り組み |
ポイントは、一時金だけでなく基本給や毎月の手当による「月額賃金改善」が重視されている点です。毎月の安定した賃上げにつながりやすいしくみです。加算の対象となる職員を目指すなら、実務者研修などの資格取得が一つの目安になります。さらに上位の専門性を高めたい方は、認定介護福祉士といったキャリアの道筋も知っておくとよいでしょう。
加算率の引き上げと2024年度・2025年度のベースアップ
2024年度(令和6年度)の介護報酬改定では、加算の一本化とあわせて加算率が引き上げられました。令和6年度に+2.5%、令和7年度に+2.0%のベースアップに相当する水準を確保するねらいです。2年分の賃上げをあらかじめ加算率に織り込んでいる点が特徴です。事業所が要件を満たして加算を取得すれば、職員の給料を継続的に引き上げる原資になります。
ただし、実際に手取りがいくら増えるかは事業所によって変わります。どの区分の加算を取得し、どう配分するかで差が出るためです。同じ「介護職員」でも、加算Iを取得して基本給を引き上げる事業所と、下位区分にとどまる事業所とでは、賃上げの幅に差が出ます。求人を比較する際は、処遇改善加算の取得状況や賃金体系を確認しておくと安心です。
2026年6月の臨時改定で加算はここまで変わった
2025年度の補正予算による賃上げ支援(介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業)は、2025年12月から2026年5月まで実施されました。報酬改定までのつなぎの役割を果たした補助金です。
これを引き継ぐかたちで、2026年(令和8年)6月から介護報酬の臨時改定が施行されました。改定率は+2.03%で、処遇改善加算の引き上げに重点が置かれています。主なポイントは次の3つです。
- 対象の拡大:「介護職員のみ」から介護従事者全般へ広げ、月額約1万円の賃上げを目指す
- 上乗せ区分の新設:生産性向上などに取り組む事業所向けに加算I・IIへ「ロ」を新設。定期昇給を含め最大で月額1.9万円程度の賃上げを目指す
- 対象サービスの拡大:訪問看護(1.8%)・訪問リハビリテーション(1.5%)・居宅介護支援(2.1%)にも加算を新設
訪問介護の加算率は最大28.7%(加算Iロ)まで引き上げられています。自分の職場がどの区分を算定しているかで賃上げ幅は変わるため、まずは勤務先の取得区分を確認しましょう。最新の確定内容は、厚生労働省や都道府県の公表資料で確認してください。
「加算で給料は上がるの?」に答えるスタッフ説明Q&A
処遇改善加算は、現場のスタッフから質問が多いテーマです。リーダーや管理職が制度を自分の言葉で説明できると、職員の納得感や定着につながります。よくある問いと、答え方の例を整理します。
| スタッフの疑問 | 答え方の例 |
|---|---|
| 加算がつけば自分の給料は上がる? | 「加算は賃金改善に使う決まりです。基本給・手当・一時金のどれで還元するかは事業所の計画で決まります」 |
| なぜ全額が手取りに反映されない? | 「加算は職員全体への配分です。配分方法や対象者の範囲は計画書で定めています」 |
| 正しく使われているか不安 | 「計画書と実績報告書を都道府県へ提出する義務があり、賃金改善に使われる仕組みです」 |
| もっと上げるには? | 「資格取得やキャリアアップで対象や手当が増えます。一緒に道筋を考えましょう」 |
あいまいに答えると不信につながります。配分の考え方を事前に整理し、根拠を示して伝えるのがポイントです。
転職・求人選びで加算の手厚さを見抜くには
同じ介護職でも、加算の取得状況で手取りは変わります。求人を比較するときは、次の点を確認しましょう。
- 処遇改善加算の取得区分(加算Iに近いほど手厚い傾向)
- 加算が基本給・毎月の手当に反映されているか(一時金偏重でないか)
- 賃金体系や昇給のしくみが明示されているか
面接で「処遇改善加算はどの区分を取得していますか」と尋ねるのは自然な確認です。最新の確定内容は、厚生労働省 介護・高齢者福祉のページでも確認できます。
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まとめ
介護職員の給料は、処遇改善加算をはじめとする国の施策によって、上がる方向で制度が整えられてきました。2024年2月からの月6,000円相当の補助金を経て、同年6月には3つの加算が「介護職員等処遇改善加算」として一本化されました。加算率の引き上げにより、令和6年度+2.5%・令和7年度+2.0%のベースアップに相当する水準が確保されました。さらに2026年6月の臨時改定で6区分に再編され、対象の拡大と加算率の引き上げが行われています。実際の手取りは事業所の加算取得状況や配分方針によって変わります。資格取得でキャリアアップを図りつつ、処遇改善に積極的な職場を選ぶことが、給料アップへの近道です。
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参考(一次情報)
- 厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」(2026年6月からの6区分・加算率の原典)
- 厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」(加算の取得率や給与改善の実態データ)
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