児童発達支援・放課後等デイサービスでの保育士の働き方とは?

保育士は、保育園だけでなく児童発達支援や放課後等デイサービスでも需要が高まる国家資格です。障害のある子どもを支える福祉の現場でも、保育士が活躍しています。この記事では、仕事内容や資格の取り方、最新の試験日程・合格率・年収の目安を整理します。福祉領域での働き方まで、2026年7月時点の最新情報で解説します。

この記事でわかること

  • 保育士とはどんな国家資格で、どんな仕事をするのか
  • 保育士資格の2つの取り方(養成校卒業/保育士試験合格)
  • 最新の保育士試験の日程・科目・合格率の目安
  • 保育士の年収の目安と処遇改善の動き
  • 保育士と幼稚園教諭の違い、児童発達支援など福祉領域での働き方

保育士とは?

保育士は、児童福祉法に定められた国家資格です。資格を取得して登録を受けた人だけが「保育士」を名乗れます。就労や療養などの事情で保育ができない保護者に代わり、0歳から就学前までの子どもの保育を行います。

仕事は、食事や排泄、着替えといった身の回りの世話(養護)だけではありません。規則正しい生活リズムをつくり、遊びや活動を通じてコミュニケーションのとり方や協調性、自主性を育てる教育的な役割も担います。子どもの心身の変化を細やかに把握し、成長や発達の段階に合わせて関わる専門職です。

加えて、保護者支援も保育士の大切な役割です。育児相談に応じたり、家庭での子育てを支えたりします。

次のような特徴に当てはまる方は、保育士の適性が高いといえます。

  • 子どもの小さな変化(体調・表情・言葉)に気づき、丁寧に対応するのが得意
  • 複数の子どもを同時に見守りながら、優先順位をつけて動ける
  • 保護者や同僚と密にコミュニケーションを取ることに抵抗がない
  • 行事の準備や制作物づくりなど、体力と細かい作業の両方をこなせる

「子どもと関わる仕事がしたいが体力面が不安」という場合は、後述する児童発達支援・放課後等デイサービスのように、少人数で個別支援に重点を置く現場も選択肢になります。

保育士が働く場所

保育士の職場は幅広く、近年は福祉領域での活躍も増えています。主な就業先は次のとおりです。

  • 保育所(認可保育園)/認定こども園
  • 認可外保育施設、企業主導型保育、院内保育など
  • 乳児院・児童養護施設などの児童福祉施設
  • 児童発達支援・放課後等デイサービスなどの障害児支援

認可を受けていない保育施設については認可外保育園とはの記事もあわせてご覧ください。

保育士と幼稚園教諭の違い

保育士と幼稚園教諭は、根拠となる法律や所管、対象年齢が異なります。どちらも幼い子どもに関わるため混同されやすい職種です。違いを整理すると次のとおりです。

項目 保育士 幼稚園教諭
資格の種類 国家資格(児童福祉法) 教員免許(教育職員免許法)
所管 こども家庭庁 文部科学省
対象 0歳~就学前 おおむね満3歳~就学前
施設 保育所など(児童福祉施設) 幼稚園(教育施設)
就業時間の傾向 開所時間が長く早番・遅番のシフト制が一般的 教育時間中心で長期休暇(夏休み等)がある園が多い

認定こども園は、幼稚園と保育所の機能をあわせ持つ施設です。両方の資格を持つ「保育教諭」が求められる場面が多くなっています。どちらか一方の資格しか持たない場合も、一定期間は保育教諭として働ける経過措置があるため、まずは保育士資格の取得を先に進めても差し支えありません。就業時間の規則性を重視する方は幼稚園教諭、0歳児からの長時間保育に関わりたい方は保育士が向いています。両方の資格を取得すれば、認定こども園を含め働き先の選択肢が広がります。

保育士資格を取得するには

保育士になるルートは、大きく2つあります。どちらの方法でも、取得後に働くには都道府県への保育士登録が必要です。

取得ルート 内容
(1) 指定保育士養成施設を卒業 大学・短大・専門学校など、国が指定した養成校で所定の課程を修めて卒業すると、試験を受けずに資格を取得できる
(2) 保育士試験に合格 養成校を出ていなくても、受験資格を満たして筆記・実技に合格すれば資格を取得できる

保育士試験の受験資格

養成校に通わず試験を受ける場合は、最終学歴によって受験資格の条件が変わります。代表的な例は次のとおりです。

  • 大学・短期大学卒業者/在学者など:学部・学科を問わず受験できる場合が多い
  • 専門学校卒業者:学校教育法に基づく2年以上の課程を修了していれば受験可能
  • 高校卒業者:卒業年月日や実務経験など一定の条件を満たす必要がある

細かい条件は個別の事情で異なります。受験を考えている場合は一般社団法人全国保育士養成協議会のサイトで最新の受験資格を必ず確認してください。

保育士試験の日程と内容

保育士試験は、毎年「前期」と「後期」の年2回行われます。実施するのは、こども家庭庁が指定する全国保育士養成協議会です。筆記試験に合格した人だけが実技試験に進めます。直近の試験の流れは次のようになっています。

区分 筆記試験 実技試験
前期 例年4月ごろ(2日間) 例年6月~7月ごろ
後期 例年10月ごろ(2日間) 例年12月ごろ

2026年(令和8年)は、前期の筆記試験が4月18日・19日、実技試験が6月28日に実施されました。後期は筆記試験が10月24日・25日、実技試験が12月13日の日程です。申請期間は年度ごとに変わるため、出願前に全国保育士養成協議会の公式サイトで確認しましょう。

筆記試験と実技試験の概要

筆記試験は9科目で、すべての科目で原則6割以上の得点が合格の目安です。すべてマークシート形式で出題されます。一度合格した科目は、合格した年を含めて3年間有効です。不合格科目が残っても、次回以降に持ち越して挑戦できます。

筆記試験に合格すると実技試験に進みます。実技は「音楽に関する技術」「造形に関する技術」「言語に関する技術」の3分野から2分野を選んで受験します。それぞれ、課題曲の弾き歌い、指定された場面の絵画表現、物語の素話などが課されます。

試験の難易度・合格率の目安

保育士試験の合格率は、近年おおむね20%台で推移しています。令和6年度(2024年度)の合格率は約26.3%(受験申請者約5.9万人・合格者約1.5万人)でした。数ある国家資格の中ではやさしくありません。それでも、科目合格の3年有効制度を活用し、計画的に勉強を重ねて取得する人も少なくありません。

学習方法は、通信講座・独学・スクール(通学/オンライン)が一般的です。仕事や家事・育児と両立しながら通信講座や独学で進める人も多く、自分の生活に合わせて選べます。

保育士の年収の目安

保育士の収入は、月額およそ27.7万円、賞与を含めた年収換算でおよそ407万円前後が目安です。厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和6年)の「きまって支給する現金給与額」(月27万7,200円)と年間賞与(74万1,700円)によります。勤務先や地域、経験年数によって差があるため、あくまで目安として捉えてください。

区分 目安
月の給与額(平均) 27.7万円前後
年収(平均) 407万円前後

保育士の給与は近年、引き上げが続いています。国の「処遇改善等加算」(職員の賃上げを支える上乗せの公費)などの仕組みによるものです。2025年度(令和7年度)には、3種類に分かれていた処遇改善等加算Ⅰ~Ⅲが一本化されました。事務が簡素になり、事業所の判断で賃上げの配分を決めやすくなっています。こうした処遇改善の動きが、保育士の待遇面を底上げしています。数値や制度は年度ごとに見直されるため、最新の情報を確認することをおすすめします。

福祉領域で活かせる保育士資格

保育士資格は、障害のある子どもを支える福祉の現場でも大きく活かせます。代表的なのが、未就学児を対象とする児童発達支援です。もう一つが、原則小学生から高校生までを対象とする放課後等デイサービスです。どちらも通いで利用する支援サービスで、対象年齢は異なるものの仕事の基本は共通しています。

児童発達支援・放課後等デイサービスでの仕事

これらの現場では、一人ひとりの「個別支援計画」に基づいて支援します。社会生活の基礎づくりや学習の手助け、遊びや相談を通じた関わりを行います。中心になるのは「療育」です。障害の種類や程度、発達段階に応じて専門的に支援します。活動記録の作成や送迎などの業務も担います。詳しくは児童発達支援の仕事の記事も参考になります。

一般的な保育の知識に加えて、障害や病気への理解も求められます。学ぶことは多いですが、小規模で関係を築きやすく、子どもの成長を間近で見守れるやりがいがあります。同じ現場で働く児童指導員とチームを組んで支援にあたることも多くあります。

キャリアアップの道

福祉領域でのキャリアアップとしては、児童発達支援管理責任者(児発管)という職種があります。事業所のリーダー的存在として、個別支援計画の作成や保護者面談、職員指導などを担う役割です。一定の実務経験や研修要件を満たすことで目指せます。保育士の経験を土台に、専門性を高めながらステップアップできる選択肢のひとつです。

自分に合う取得ルートの選び方と試験対策の落とし穴

保育士になるには「養成校卒業」か「保育士試験合格」の2ルートがあります。どちらが向くかは、今の状況によって変わります。働きながら目指すなら、試験ルートでよくある失敗も先に知っておきましょう。

今の状況 向いているルート
高校卒業後すぐ/じっくり基礎から学びたい 養成校。所定の課程を修めれば試験なしで取得できる
働きながら・子育てしながら取りたい 保育士試験。通信講座や独学で生活に合わせて学べる
すでに大学・短大を卒業している 保育士試験。学部を問わず受験できる場合が多い

試験ルートでつまずきやすい点

  • 受験資格の確認漏れ:高卒の方は卒業年月日や実務経験の条件があります。申し込み前に必ず確認を。
  • 9科目を一度に狙って挫折:科目合格は3年有効です。前期・後期を活用し、計画的に分けて受けると続けやすくなります。
  • 実技対策の後回し:筆記合格後すぐ実技です。音楽・造形・言語のうち得意な2分野を早めに決めて練習しましょう。

受験資格や試験日程は年度ごとに変わります。最新情報は全国保育士養成協議会のサイトで確認してください。資格取得後は、保育所だけでなく児童発達支援や放課後等デイサービスなど福祉領域へも活躍の場を広げられます。子ども施策の動向はこども家庭庁の情報も参考になります。

まとめ

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保育士は、子どもの育ちを支える国家資格です。保育所だけでなく、児童発達支援や放課後等デイサービスなど福祉の現場でも需要が高まっています。資格の取得には、養成校を卒業するルートと保育士試験に合格するルートがあります。試験は年2回・科目合格は3年有効と、働きながらでも挑戦しやすい仕組みです。処遇改善も進む今、活躍の場を福祉領域へ広げてみてはいかがでしょうか。さまざまな資格を比較したい方は福祉の資格図鑑もあわせてご覧ください。

参考(一次情報)