介護派遣の健康診断は誰が実施する?費用・時期・対象になる勤務条件を解説

介護派遣で働くときの健康診断は、就業先の施設ではなく雇い主である派遣会社が実施し、費用も派遣会社が負担します。自己負担で受ける必要はありません。ただし、勤務時間が短い場合は法律上の対象から外れることがあります。

この記事では、派遣会社と施設のどちらが健康診断を用意するのかを整理します。対象になる勤務条件、受けるタイミング、夜勤がある場合の回数までまとめました。派遣で働き始める前に確認しておきたい内容です。

介護派遣の健康診断は派遣会社が実施する

結論として、一般的な健康診断の実施義務は派遣会社(派遣元)にあります。根拠は労働者派遣法第45条です。この条文で、労働安全衛生法上のどの義務を派遣元と派遣先が負うかが振り分けられています。

理由は、健康診断が「雇用している労働者」に対する雇い主の義務だからです。介護派遣では、雇用契約を結ぶ相手は施設ではなく派遣会社です。そのため、施設で働いていても健康診断は派遣会社が手配します。

健康診断の種類 実施する側 費用を負担する側
雇入時健康診断 派遣会社 派遣会社
定期健康診断(1年ごと) 派遣会社 派遣会社
特定業務従事者の健康診断(夜勤など) 派遣会社 派遣会社
特殊健康診断(有害業務) 就業先の施設(派遣先) 就業先の施設

特殊健康診断は、有機溶剤や特定化学物質などを扱う有害業務が対象です。作業環境を管理しているのは施設側なので、実施義務は施設にあります。介護の現場業務では該当しないことが多く、通常は派遣会社の健診だけを受けることになります。

対象になるかは「勤務時間」で決まる

健康診断の対象は「常時使用する労働者」です。雇用形態ではなく、次の2つを両方満たすかで判断されます。

  • 契約期間の定めがない、または1年以上の契約である(更新で1年以上続いている場合も含む)
  • 1週間の労働時間が、フルタイムで働く人の4分の3以上である

フルタイムが週40時間なら、週30時間以上が目安です。フルタイムに近い介護派遣であれば、ほぼ対象に入ります。なお、比較する対象は雇い主である派遣会社の基準で判断されます。

週2~3日勤務は対象外になることがある

2分の1以上4分の3未満(週20時間以上30時間未満が目安)の場合、実施は「望ましい」とされるだけで義務ではありません。2分の1未満だと法律上の根拠がなくなります。

週1や日勤のみといった短時間の働き方を選ぶ場合は、健康診断が受けられるかを派遣会社に確認しておくと安心です。実務では、義務の対象外でも自社の制度として実施している派遣会社もあります。

夜勤があると条件が変わる

深夜業を含む業務は「特定業務」に当たります。この場合、上の1つ目の条件は「1年以上」ではなく「6ヶ月以上」で判断されます。短期の契約でも対象になりやすいということです。

さらに、労働時間の条件を満たさない短時間勤務でも、夜勤に常態的に従事するなら対象になるという解釈が示されています。根拠となる労働安全衛生規則第45条が、労働時間の多寡ではなく「業務に常時従事する労働者」を対象としているためです。ここでいう常態とは、深夜業(午後10時から午前5時)が週1回以上または月4回以上という目安で判断されます。

費用は派遣会社が負担する

法律で義務づけられた健康診断の費用は、事業者が負担します。派遣会社が指定する医療機関で受ける形が一般的で、立て替えが必要な場合は後から精算されます。

一方で、受診にかかった時間の賃金については扱いが分かれます。一般的な健康診断は業務との直接の関連が薄いとされています。そのため賃金を支払うかは労使の取り決めに委ねられます(行政通達では支払うことが望ましいとされています)。時給が出るのか、無給の扱いになるのかは派遣会社ごとに違うため、事前に聞いておくとよいでしょう。

受けるタイミングは「就業前」と「1年ごと」

雇入時健康診断

雇い入れるときに実施する健診です。就業開始の前後に案内されます。顔合わせが終わって就業日が決まったあたりで、派遣会社から受診の連絡が来る流れが多いです。

すでに健康診断を受けている人には省略の規定があります。受診から3ヶ月を経過していない健康診断の結果を書面で提出すれば、その項目は省略できます。前職の健診結果や自治体の検診結果が手元にあれば、派遣会社に相談してみてください。

定期健康診断

その後は1年以内ごとに1回受けます。契約が更新されて長く働く場合は、毎年案内されます。

夜勤ありは6ヶ月ごと(年2回)

深夜業などの特定業務に従事する場合は、6ヶ月以内ごとに1回です。年2回受けることになります。ただし胸部エックス線検査と喀痰(かくたん)検査は1年に1回でよいとされています。

夜勤専従で働く人は、この6ヶ月ごとの健診が適用されるかを確認しておきましょう。なお、月4回以上の深夜業に従事している人には別の制度もあります。自分で受けた健康診断の結果を会社に提出できる仕組みです(自発的健康診断/労働安全衛生法第66条の2)。

検査項目は11項目

2026年時点の定期健康診断の項目は次のとおりです。

  • 既往歴・業務歴の調査
  • 自覚症状・他覚症状の有無の検査
  • 身長・体重・腹囲・視力・聴力の検査
  • 胸部エックス線検査/喀痰検査
  • 血圧の測定
  • 貧血検査
  • 肝機能検査(AST・ALT・γ-GT)
  • 血中脂質検査
  • 血糖検査
  • 尿検査
  • 心電図検査

雇入時健康診断はほぼ同じ内容ですが、喀痰検査は含まれません。また、医師の判断による項目の省略ができない点も定期健診と違います。

なお、この項目は2027年4月1日から変わります。改正省令はすでに公布されています(令和8年厚生労働省令第89号)。腎機能を調べる血清クレアチニン検査が追加され、喀痰検査は廃止されます。肝機能検査の名称もAST・ALT・γ-GTに変わります。

血清クレアチニン検査は雇入時健康診断にも追加されます。ただし40歳未満の人については、医師が必要でないと認めれば省略できます。

施設から求められる検便・抗体検査は別扱い

介護の職場では、就業前に検便やウイルスの抗体検査を求められることがあります。これらは労働安全衛生法の健康診断とは別のものです。

検便が労働安全衛生規則で義務づけられているのは、給食業務など調理に従事する人です。しかも雇入れ時と配置替えのときに限られます。介護職員そのものへの検便義務はありません。ただし、施設の感染対策として独自に実施しているケースは多くあります。

また、大規模な調理施設には別のルールがあります。1回300食以上または1日750食以上を提供する施設が対象です(大量調理施設衛生管理マニュアル)。この場合、10月から3月のノロウイルス流行期には調理従事者へ月1回以上の検査が求められます。介護職員として現場業務だけを担う場合、この対象にはなりません。

費用の負担先は、法定健診と違って一律には決まりません。派遣会社が負担する場合、施設が負担する場合の両方があります。就業条件の確認時に、誰が費用を出すのかを聞いておくと後で困りません。

結果に異常があっても働けないとは限らない

健康診断の結果は、就業の可否を決めるための選別ではありません。異常の所見があった場合、会社は医師の意見を聞き、必要に応じて勤務時間の短縮や夜勤回数の削減などを検討します。この事後措置の義務は、派遣会社と施設の双方が負います。

体調に不安があるときは、結果が出た段階で派遣会社の担当者に伝えてください。夜勤を外す、勤務日数を調整するといった配慮につなげられます。無理をして続けるより、早めに相談したほうが働き続けやすくなります。

なお、健康診断の個人票は会社が5年間保存する義務があります。ただし、これは会社側の記録義務であって、自分の手元に結果が残るわけではありません。次の職場で先ほどの3ヶ月ルールを使うためにも、結果票は自分でも控えておくと役に立ちます。

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まとめ

介護派遣の健康診断は、雇い主である派遣会社が実施し、費用も派遣会社が負担します。対象になるかは勤務時間で決まり、正社員の4分の3以上働くなら義務の範囲に入ります。夜勤がある場合は6ヶ月ごとの年2回です。

就業前に確認したいのは3点です。受診の案内が来る時期/受診時間の賃金の扱い/検便などの追加検査の費用負担、これだけ押さえておけば十分です。

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