就労継続支援A型とB型の違いを早見表で解説|雇用契約・賃金・対象・年齢

就労継続支援A型とB型の最大の違いは「雇用契約の有無」です。A型は事業所と雇用契約を結び、最低賃金以上の給与が出ます。B型は雇用契約を結ばず、作業の成果に応じた「工賃」を受け取ります。

この一点を押さえると、対象になる人も、年齢のしくみも、受け取るお金の額も、すべて筋が通って見えてきます。この記事は、利用を考える当事者やご家族と、障害福祉の現場で働く支援者の双方に向けて、A型とB型の違いを早見表でまとめます。

どちらを利用するか、どちらで働くかの判断軸まで、実務目線で整理します。安心して読み進めてください。

就労継続支援A型とB型の違い 早見表

結論から言うと、A型は「雇用されて働く場」、B型は「体調に合わせて作業に取り組む場」です。まず全体像を早見表で押さえてください。各項目の根拠は、このあとの章で順に解説します。

項目 就労継続支援A型 就労継続支援B型
雇用契約 あり(労働者として働く) なし
受け取るお金 賃金(最低賃金以上) 工賃(成果に応じた額)
全国平均(月額) 91,451円(令和6年度) 24,141円(令和6年度)
主な対象 雇用契約を結んで働ける人 雇用契約を結ぶのが難しい人
年齢 原則18歳以上65歳未満 年齢の上限なし(18歳以上が基本)
労働時間 比較的長め(事業所により異なる) 短時間から柔軟に調整できる
適用される法律 労働基準法など労働関係法令 適用されない(福祉サービス)

金額は全国平均で、事業所や地域、本人の働く時間で大きく変わります。あくまで目安です。次の章から、A型とB型それぞれの中身を見ていきます。

就労継続支援A型とは

就労継続支援A型は、雇用契約を結んで働く障害福祉サービスです。一般企業などで働くのは難しいものの、支援があれば雇用契約に基づいて働ける人が対象です。利用者は「労働者」として扱われ、最低賃金以上の賃金を受け取ります。

仕事の内容は、パソコン入力やデータ作業、カフェや店舗での接客、食品の製造、清掃など事業所によってさまざまです。雇用契約があるため、労働基準法など労働関係の法令が適用され、雇用保険や社会保険の対象になることもあります。

厚生労働省「令和6年度工賃(賃金)の実績について」によると、A型の全国平均賃金は月額91,451円でした。前年度より上がっていますが、フルタイム勤務とは限らないため、実際の額は働く時間で変わります。働く側から見たA型は、福祉の枠組みの中で雇用に近い経験を積める場と言えます。就労継続支援A型の仕事内容は、別記事でも詳しく整理しています。

就労継続支援B型とは

就労継続支援B型は、雇用契約を結ばずに作業へ取り組む障害福祉サービスです。年齢や体力、障害の特性から雇用契約を結んで働くのが難しい人が対象です。利用者は労働者ではなく、作業の成果に応じた「工賃」を受け取ります。

体調に波がある人でも、短時間から無理なく通えるのが大きな特徴です。仕事は、軽作業や手工芸、農作業、袋詰め、リサイクル作業など多岐にわたります。自分のペースで作業し、生活リズムを整えたり、A型や一般就労へのステップにしたりする人もいます。

同じく厚生労働省の令和6年度の実績では、B型の全国平均工賃は月額24,141円でした。工賃は事業所の生産活動の利益から支払われるため、賃金より低くなる傾向があります。なお制度上、利用者1人あたりの平均工賃は月額3,000円を下回ってはならないと定められています。就労継続支援B型の工賃のしくみは、関連記事でも掘り下げています。

項目別に見るA型とB型の違い

早見表で挙げた項目を、ここから一つずつ掘り下げます。なぜそうなっているのか、理由まで分かると判断がぶれません。

雇用契約の違い

違いの出発点は雇用契約です。A型は事業所と雇用契約を結び、利用者は労働者になります。B型は雇用契約を結ばず、福祉サービスの利用者として作業に取り組みます。この一点から、お金の種類も、適用される法律も、働き方のすべての差が生まれます。まずこの軸を覚えてください。

賃金と工賃の違い

A型で受け取るのは「賃金」、B型で受け取るのは「工賃」です。A型は雇用契約があるため、都道府県ごとの最低賃金以上が保証されます。B型は雇用契約がないため最低賃金の対象外で、事業所の生産活動の利益から工賃が支払われます。令和6年度の全国平均は、A型が月額91,451円、B型が月額24,141円でした。金額に差があるのは、雇用かどうかという土台が違うためです。

対象者の違い

A型は、雇用契約を結んで働ける人が対象です。就労移行支援を使ったが就職に結びつかなかった人や、企業を離職して現に雇用関係がない人などが想定されています。B型は、年齢や体力の面で一般企業での雇用が難しい人、50歳に達している人、障害基礎年金1級を受けている人などが対象です。どちらにも当てはまらない場合は、就労アセスメント(本人の得意なことや配慮が必要な点を事前に把握する評価)で課題を確認したうえで利用します。

年齢の違い

A型は原則18歳以上65歳未満という年齢のしくみがあります。B型には年齢の上限がなく、18歳以上であれば年齢を問わず利用できます。体力や年齢の面で雇用が難しくなった人を受け入れる役割があるためです。長く働き続けたい人にとって、B型は選択肢として残りやすいと言えます。

労働時間の違い

A型は雇用契約があるため、比較的長めの労働時間で働く事業所が多めです。B型は雇用契約がない分、短時間から柔軟に調整でき、体調に合わせて通えます。週に数日、1日数時間からという通い方もできるため、無理なく続けやすいのがB型の利点です。

当事者がどちらを利用するか

利用先として選ぶなら、判断軸はシンプルです。「雇用契約を結んで働きたいか」「体調に合わせて作業したいか」で分かれます。本人の状態と希望に当てはめてください。

  • 支援があれば雇用契約に基づいて働ける → A型
  • 収入をできるだけ確保したい → A型(最低賃金以上)
  • 体調に波があり、短時間から無理なく通いたい → B型
  • 年齢の上限を気にせず、長く通い続けたい → B型
  • まずは生活リズムを整え、いずれ就職を目指したい → B型から段階的に

迷ったら、まず見学や体験を申し込み、作業内容や通いやすさを確かめてください。利用には市区町村の窓口での手続きが必要です。お住まいの自治体の障害福祉担当や相談支援専門員に相談すると、候補を絞りやすくなります。一般企業への就職を本格的に目指す段階では、就労移行支援が次の選択肢になります。

支援者がどちらで働くか

障害福祉の支援者として働く場所を選ぶなら、「支援のスタイル」で見るのがおすすめです。同じ就労支援でも、A型とB型では現場で求められる関わり方が変わります。

視点 A型 B型
主な役割 雇用管理と作業支援の両立 体調に合わせた個別の作業支援
意識する軸 生産活動の収支・労働時間の管理 本人のペース尊重・工賃向上
向いている人 就労に近い支援に関わりたい人 じっくり寄り添う支援をしたい人
関わる場面 労務管理・実績スコアの管理 生活リズムや体調面のサポート

令和6年度の報酬改定では、A型は生産活動の収支や平均労働時間などをスコアで評価するしくみが強まりました。B型は平均工賃月額が高いほど基本報酬が上がるしくみです。求人を比べるときは、給与だけでなく、事業所がどんな支援方針を掲げているかも確認してください。就職後の定着を支える就労定着支援にも目を向けると、支援の全体像がつかめます。

よくある誤解とNG

A型とB型は混同されやすく、思い込みで動くと利用後や就職後に困ります。代表的な誤解とNGを挙げます。

  • 「B型でも最低賃金がもらえる」と思い込む → B型は雇用契約がなく工賃。最低賃金の対象外
  • 「A型はいつでも誰でも入れる」と考える → A型は原則65歳未満で、雇用契約を結べる人が対象
  • 「工賃と賃金は同じもの」と混同する → 賃金(A型)は労働の対価、工賃(B型)は成果に応じた額
  • 「B型は年齢制限で利用できなくなる」と決めつける → B型に年齢の上限はない
  • (支援者)給与だけで求人を選ぶ → 支援方針や報酬改定への対応も必ず確認

とくに多いのが、賃金と工賃の混同です。雇用契約があるかどうかで受け取るお金の性格が変わると押さえておくと、本人やご家族への説明でも迷いません。収入面が不安なときは、障害年金など他の制度と組み合わせて生活を支える視点も大切です。

まとめ

就労継続支援A型とB型の違いは、雇用契約の有無に集約されます。A型は雇用契約あり・最低賃金以上の賃金、B型は雇用契約なし・成果に応じた工賃です。この軸から、対象者・年齢・労働時間・適用される法律のすべての差が生まれます。

令和6年度の全国平均は、A型が月額91,451円、B型が月額24,141円でした(厚生労働省「令和6年度工賃(賃金)の実績について」)。利用するなら「雇用で働くか、体調に合わせて作業するか」、支援者として働くなら「支援のスタイル」を軸にすると判断しやすくなります。それぞれのサービスの全体像は、障害福祉サービス図鑑でも一覧で確認できます。

障害福祉の現場で働くイメージがつかめたら、次は実際の求人を見て条件を比べてみましょう。求人を探す→ https://www.ekaigotenshoku.com/kyujin/list / 仕事や転職の悩みをLINEで相談する→ https://page.line.me/176cntkd