この記事は、介護・リハビリの現場でADL評価に関わる方に向けたものです。バーセルインデックス(BI)の10項目と点数表、点数の目安、FIMとの違い、介護報酬での使われ方が分かります。BIは、日常生活動作(ADL)の自立度を点数化する評価指標です。「どの項目を何点で評価するの?」「FIMと何が違う?」という疑問に、2026年7月時点の情報で答えます。
記事でわかること
この記事でわかること
- バーセルインデックス(BI)とは何か
- 評価する10項目と点数表(100点満点)
- 点数の目安・解釈のしかた
- FIM(機能的自立度評価表)との違い
- 2024年度介護報酬改定でのBIの活用(ADL維持等加算・LIFE)
バーセルインデックス(BI)とは?
バーセルインデックス(Barthel Index、BI)とは、日常生活動作の自立度を10項目で点数化する評価指標です。日常生活動作(ADL:Activities of Daily Living)とは、食事や移動、排泄など毎日の基本動作を指します。1965年にアメリカで、マホーニーとバーセルが発表しました。合計100点満点で、点数が高いほど自立度が高いことを表します。
特別な道具は使いません。観察や本人・家族への聞き取りで、短時間に評価できます。そのため、世界共通のADL評価法として、医療・介護・リハビリの現場で広く使われています。
バーセルインデックスの10項目と点数表
バーセルインデックスは、次の10項目を5点刻みで採点します。配点は項目で異なります。「移乗」と「歩行(移動)」だけが最高15点です。「整容」と「入浴」は最高5点で、残りの6項目は最高10点です。
| 項目 | 配点段階 | 満点 |
|---|---|---|
| 食事 | 10 / 5 / 0 | 10 |
| 移乗(ベッドと車椅子の間) | 15 / 10 / 5 / 0 | 15 |
| 整容(洗面・歯磨き・整髪など) | 5 / 0 | 5 |
| トイレ動作 | 10 / 5 / 0 | 10 |
| 入浴 | 5 / 0 | 5 |
| 歩行(平地の移動) | 15 / 10 / 5 / 0 | 15 |
| 階段昇降 | 10 / 5 / 0 | 10 |
| 更衣(着替え) | 10 / 5 / 0 | 10 |
| 排便コントロール | 10 / 5 / 0 | 10 |
| 排尿コントロール | 10 / 5 / 0 | 10 |
| 合計 | 100 |
採点は、動作の状況に応じて段階的につけます。たとえば歩行の項目では、次のように判定します。
- 杖などを使って45m以上を自力で歩ける:15点
- 介助や見守りがあれば歩ける:10点
- 歩行はできないが車椅子で移動できる:5点
- 全介助:0点
バーセルインデックスの点数の目安
合計点は、自立度の大まかな目安として解釈します。よく使われる区切りは次のとおりです。
- 100点:ADLがほぼ自立している状態。
- 85点以上:おおむね自立、または軽い介助で生活できる。
- 60点前後:部分的に自立。介助が必要かどうかの境目とされることが多い。
- 40点前後:多くの動作に介助が必要。
- 0~20点:全介助に近い状態。
ただし、これらの区切りは現場で広く使われている一般的な目安です。点数の境目には諸説あります。あくまで状態を把握するための目安として活用しましょう。
バーセルインデックスとFIMの違い
BIとあわせて、FIMもADL評価でよく使われます。FIM(機能的自立度評価表)とは、介助量を細かく把握する評価法です。両者の違いを整理しました。
| 項目 | バーセルインデックス(BI) | FIM |
|---|---|---|
| 評価の視点 | 「できるADL」(能力)が中心 | 「しているADL」(実際の生活)が中心 |
| 項目数 | 10項目(運動のみ) | 18項目(運動13+認知5) |
| 評価段階 | 各項目2~4段階(0/5/10など) | 全項目7段階(1~7点) |
| 合計点 | 0~100点 | 18~126点 |
| 認知面の評価 | 含まない | 含む(理解・記憶など) |
| 特徴 | 簡便・短時間で分かりやすい | 詳細で、介助量を細かく把握できる |
大まかに言えば、BIは「簡単・スピーディー」、FIMは「詳細・きめ細かい」のが特徴です。簡便さを重視する場面ではBIを使います。認知面も含めて細かく評価したい場面ではFIMを使う、と使い分けられています。
介護報酬でのバーセルインデックスの活用
バーセルインデックスは、介護報酬の制度のなかでも役割を担っています。代表例がADL維持等加算とLIFEです。
ADL維持等加算
ADL維持等加算とは、利用者のADLを維持・改善できた事業所を評価する加算(報酬の上乗せ)です。一定期間の成果を見る「アウトカム(成果)評価」にあたります。通所介護や特定施設、特別養護老人ホームなどが対象です。このADLの測定に、バーセルインデックス(100点満点)が用いられます。利用開始月と、その6か月後の2回測定し、その変化(ADL利得)をもとに評価します。
2024年度(令和6年度)の介護報酬改定では、要件が見直されました。上位区分である加算(II)の算定に必要なADL利得の基準が、「2以上」から「3以上」に引き上げられています。
なお、2026年(令和8年)6月の臨時報酬改定は、処遇改善加算の引き上げが中心でした。ADL維持等加算のしくみと要件は、2024年度改定の内容が引き続き適用されています。
科学的介護情報システム「LIFE」
LIFEとは、厚生労働省が運営する科学的介護情報システムです。全国の介護事業所からADLや心身の状態、ケア内容のデータを集めて分析し、現場にフィードバックする仕組みを指します。ADL維持等加算をはじめとするLIFE関連加算では、ADLデータの提出にバーセルインデックスが使われます。BIは、科学的根拠にもとづく介護(科学的介護)を進めるうえでも欠かせない指標です。なお、LIFEの運営は国民健康保険中央会(国保中央会)へ移管される予定です。移行期限は2026年7月31日で、この移管にともない電子証明書の取得が必要になります。提出担当者は移行スケジュールを事前に確認しておきましょう。
バーセルインデックスのメリットと注意点
バーセルインデックスには、メリットと注意点があります。両面をまとめました。
- メリット:特別な道具が不要で、約5~10分と短時間で評価できる。点数化されるので変化を数値で追え、本人や家族にも分かりやすい。
- 注意点:簡易な評価のため、動作の細かな質や介助の詳細までは把握しにくい。自立度の高い人どうしでは点数差が出にくい面もある。
BI測定とADL維持等加算でよくある失敗と自己点検
ADL維持等加算は、BIの測定や提出のミスが減算・返還につながります。「測ったつもり」を防ぐため、現場でつまずきやすい点を整理しました。
| ありがちな失敗 | 回避のポイント |
|---|---|
| 評価者によって点数がばらつく | 採点基準を職員間でそろえる。判定例(歩行15/10/5/0など)を共有しておく |
| 「できるADL」と「しているADL」を混同 | BIは「できるADL」が中心。普段の様子と分けて記録する |
| 測定の時期がずれる | 利用開始月と6か月後の2回を確実に。測定月をあらかじめ予定に入れる |
| LIFEへの提出漏れ・期限超過 | 提出スケジュールを担当者と二重で管理する |
部下に説明するときは、次の順で伝えると伝わります。「なぜ測るか(加算の根拠)」「いつ測るか(開始月と6か月後)」「どう測るか(採点基準)」の3点です。下のチェックリストで自施設を点検してください。
- BIの採点基準を、評価する職員全員が同じ理解で運用しているか
- 利用開始月と6か月後の測定日を、もれなく予定化しているか
- 加算(II)はADL利得「3以上」(2024年度改定)が必要と把握しているか
- LIFEへのデータ提出の期限と担当を決めているか
要件の解釈に迷うときは、自己判断で進めず、厚生労働省 介護・高齢者福祉(介護・高齢者福祉のページ)や保険者(自治体)に確認しましょう。返還や減算は、思い込みでの算定から起こりやすいためです。
よくある質問(FAQ)
Q. バーセルインデックスは何点満点ですか?
A. 100点満点です。10項目を5点刻みで採点し、点数が高いほど自立度が高いことを表します。
Q. 何点だと介助が必要ですか?
A. 60点前後が部分自立と全介助の境目の目安とされることが多いです。ただし、これは一般的な目安です。実際の支援は、点数だけでなく利用者の状態を総合的に見て判断します。
Q. バーセルインデックスとFIMはどちらを使えばよいですか?
A. 簡便さを重視するならBI、認知面も含めて詳細に評価したいならFIMが向いています。目的や現場の方針に応じて使い分けられています。
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まとめ
バーセルインデックス(BI)とは、ADLの自立度を10項目・100点満点で評価する指標です。簡便で短時間に評価でき、点数で変化を追えるのが強みです。FIMと比べると項目が少なくシンプルで、初めての人にも扱いやすい評価法です。2024年度の介護報酬改定で見直されたADL維持等加算や、科学的介護システム「LIFE」でも活用されています。介護現場で押さえておきたい指標です。
「介護やリハビリの現場で働きたい」「経験を活かせる職場を探したい」という方は、お気軽にご相談ください。
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参考(一次情報)
- 厚生労働省「介護報酬」(報酬改定・ADL維持等加算の原典資料)
- 厚生労働省「介護・高齢者福祉」(介護制度全般の一次情報)
※本記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。介護報酬・制度などの最新情報は公式情報をご確認ください。
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