この記事は、スタッフに制度を噛み砕いて伝える立場の介護・福祉の管理者やリーダーに向けたものです。育児・介護休業法の2025年(令和7年)改正について、「いつから・誰が対象・何をすべきか」を施行日順に整理します。読み終えれば、自施設で何を案内すべきかが分かります。
育児・介護休業法は、仕事と育児・介護の両立を支える法律です。2022年(令和4年)に続き、2025年にも大きな改正が行われました。2026年7月時点の最新情報で解説します。
記事でわかること
この記事でわかること
- 育児・介護休業法とはどんな法律か
- 2022年(令和4年)改正の3段階施行のおさらい
- 2025年(令和7年)4月施行のポイント
- 2025年(令和7年)10月施行のポイント
- 介護休業・介護休暇など仕事と介護の両立に使える制度
育児・介護休業法とは?
育児・介護休業法は、労働者が仕事と育児・介護を両立できるよう、育児休業や介護休業などの制度を定めた法律です(正式名称:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)。少子高齢化が進むなか、「子育てのために仕事を辞めざるを得ない」「家族の介護で離職してしまう」といった事態を防ぐことを目的としています。
近年は、男性の育児参加や介護離職防止に向けて、ほぼ毎年のように見直しが続いています。なかでも2022年(令和4年)と2025年(令和7年)の改正は内容が大きく、介護・福祉の現場で働く人が押さえておきたいポイントが多くあります。
まずは2022年(令和4年)改正のおさらい
2022年改正は、次の3段階で施行されました。2025年改正を理解する前提として、まず振り返ります。
| 施行時期 | 主な内容 |
|---|---|
| 2022年4月 | 育休を取りやすい雇用環境の整備を義務化。本人や配偶者の妊娠・出産を申し出た人への個別周知・意向確認を義務化。有期雇用労働者の取得要件を緩和。 |
| 2022年10月 | 産後パパ育休(出生時育児休業)を創設。子の出生後8週間以内に4週間まで取得でき、2回に分割も可能。通常の育児休業も2回まで分割取得が可能に。 |
| 2023年4月 | 従業員数1,000人超の企業に、育児休業等の取得状況の年1回公表を義務化。 |
この改正で、男性が育児休業を取りやすい仕組みが整いました。
2025年(令和7年)4月施行のポイント
4月施行分の柱は、子の看護等休暇の拡大、残業免除の対象拡大、育休取得状況の公表義務の拡大、介護離職防止の周知義務化、新しい給付金の新設です。2025年改正は2024年(令和6年)に成立し、2025年4月1日と2025年10月1日の2段階で施行されました。まず4月施行分から見ていきます。
子の看護休暇が「子の看護等休暇」に
「子の看護休暇」が「子の看護等休暇」へ名称変更され、内容も拡大しました。対象となる子の範囲が、これまでの「小学校就学前」から「小学校3年生修了まで」に広がりました。取得理由にも、従来の病気・けが・予防接種・健康診断に加え、感染症に伴う学級閉鎖等や入園(入学)式・卒園式が加わりました。日数はこれまでどおり、年5日(子が2人以上は年10日)です。
残業免除(所定外労働の制限)の対象拡大
残業を免除してもらえる「所定外労働の制限」の対象が広がりました。対象の子が、「3歳未満」から「小学校就学前」に拡大されています。あわせて、3歳未満の子を育てる人がテレワークを選べるよう、事業主が措置を講じる努力義務(実施するよう努める義務)も設けられました。
育休取得状況の公表義務が「従業員300人超」に
育児休業の取得状況の公表義務の対象が広がりました。これまでの「従業員1,000人超」から「従業員300人超(301人以上)」へと拡大されています。
介護離職を防ぐための周知が義務に
介護に直面した労働者への支援が強化されました。介護に直面した旨を申し出た労働者に対し、介護休業や両立支援制度・申出先・介護休業給付金を個別に周知し、利用意向を確認することが義務になりました。さらに、労働者が40歳前後(40歳に達する年度など)になったタイミングで、こうした制度を情報提供することも義務化されています。研修や相談窓口の設置といった雇用環境の整備も求められます。なお、介護のためのテレワーク導入は努力義務です。
出生後休業支援給付・育児時短就業給付の新設
雇用保険から支給される新しい給付金も2025年4月に始まりました。
- 出生後休業支援給付金:子の出生直後の一定期間に、本人と配偶者の両方が14日以上育児休業を取得した場合、最大28日間、休業前賃金の13%が上乗せされます。育児休業給付金の67%と合わせて給付率は80%です。社会保険料免除などをふまえると、手取りで実質10割相当になる仕組みです。
- 育児時短就業給付金:2歳未満の子を育てるために時短勤務をする人に、時短中に支払われた賃金額の10%が支給されます。
2025年(令和7年)10月施行のポイント
10月施行分の柱は、柔軟な働き方を実現するための措置です。3歳から小学校就学前の子を育てる労働者について、事業主は次の5つから2つ以上を選んで導入する義務があります。労働者は、導入された措置の中から1つを選んで利用できます。
- 始業時刻等の変更(フレックスタイム制または時差出勤)
- テレワーク等(月10日以上、時間単位の取得も可)
- 保育施設の設置運営等(ベビーシッターの手配・費用負担を含む)
- 養育両立支援休暇の付与(年10日以上、時間単位の取得も可)
- 短時間勤務制度(原則1日6時間を含む)
あわせて、これらの措置についての個別周知・意向確認も義務づけられました。妊娠・出産の申出時などに、本人の働き方の希望を聴き取り配慮することも求められます。
仕事と介護の両立に使える制度
介護・福祉で働く人自身が、家族の介護に直面することも少なくありません。育児・介護休業法には、介護と仕事を両立するための制度が定められています。
| 制度 | 内容 |
|---|---|
| 介護休業 | 対象家族1人につき通算93日まで、3回まで分割して取得できる。 |
| 介護休暇 | 年5日(対象家族が2人以上は年10日)まで。1日または時間単位で取得できる。 |
| 介護休業給付金 | 雇用保険から、休業開始時賃金日額の67%相当額が支給される。 |
ここでいう「要介護状態」とは、負傷・疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態です。要介護認定を受けていることは必須ではありません。なお2025年4月からは、勤続6か月未満の労働者を労使協定で介護休暇(子の看護等休暇も同様)の対象から除外する仕組みが廃止され、入社直後でも取得できるようになりました。
介護休業は、自分がつきっきりで介護する期間というより、ケアマネジャー選びや施設探し、在宅環境の整備など、介護の体制を整えるための準備期間として使うのが、国も想定している活用法です。2025年改正で会社からの制度案内が義務になりました。「言い出しにくくて使えなかった」という状況も、改善が期待されます。
事業所として対応漏れを防ぐ自己点検チェックリスト
2025年改正は、事業主に新たな義務を多く課しています。介護・福祉の事業所では、対応漏れが行政指導や職員からの不信につながりかねません。自施設で何が済んでいて何が未対応かを、次のチェックリストで点検しましょう。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 就業規則の改定 | 子の看護等休暇の対象拡大(小3まで・取得理由追加)を反映したか |
| 柔軟な働き方の措置 | 3歳~就学前向けの5つの措置から2つ以上を選び導入したか(10月施行) |
| 介護の個別周知 | 介護に直面した人・40歳前後の人への制度周知と意向確認の仕組みを整えたか |
| 公表義務の該当確認 | 従業員300人超の場合、育休取得状況の年1回公表に対応したか |
| 相談窓口・研修 | 両立支援の相談窓口設置や研修など、雇用環境の整備を進めたか |
スタッフから「自分は何が使えるのか」と聞かれたときは、子の年齢・介護の有無・雇用形態の3点を確認すれば、案内すべき制度が絞れます。たとえば「3歳の子がいる」なら柔軟な働き方の措置、「親の介護が始まった」なら介護休業と給付金の周知が該当します。制度を正しく案内できる管理職の存在は、職員の安心と定着につながります。改正の詳細や様式は、厚生労働省の育児・介護休業法の案内ページもあわせてご確認ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 2025年改正でいちばん大きな変更は何ですか?
A. 育児面では、3歳から小学校就学前の子を育てる人への「柔軟な働き方を実現するための措置」(2つ以上の導入義務)の新設と、子の看護等休暇への拡大が大きな変更です。介護面では、介護に直面した労働者や40歳前後の労働者への制度の個別周知・情報提供が義務化されました。
Q. 介護休業給付金はいくらもらえますか?
A. 雇用保険から、休業開始時の賃金日額の67%相当額が、対象家族1人につき93日を限度に支給されます。給付の上限額は毎年見直されるため、利用時に最新額の確認をおすすめします。
Q. パート・有期雇用でも介護休業は取れますか?
A. 一定の要件を満たせば取得できます。労使協定で対象外と定められている場合などを除き、有期雇用労働者の取得要件は近年緩和されています。まずは勤務先や窓口に確認してみましょう。
Q. 職員から「介護休業を取りたい」と相談されたら、管理者は何から始めればよいですか?
A. まず対象家族の状態(2週間以上の常時介護が見込まれるか)と取得希望期間を確認し、介護休業給付金・介護休暇など利用できる制度を個別に周知します。93日の範囲内で3回まで分割できる点も伝え、「今すぐ全期間休む」以外に「体制を整える期間として少しずつ使う」選択肢があることを説明すると、本人の不安が和らぎます。
Q. 就業規則の改定が済んでいるか不安なときはどう確認しますか?
A. 子の看護等休暇の対象拡大(小学校3年生修了まで・取得理由の追加)、柔軟な働き方の措置(2つ以上導入)、介護の個別周知の仕組みの3点が就業規則や社内規定に反映されているかを確認します。未対応が見つかった場合は、上表のチェックリストを使って優先順位をつけ、社会保険労務士など専門家に相談するのも有効です。
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まとめ
育児・介護休業法は、仕事と育児・介護の両立を支える法律で、2022年(令和4年)と2025年(令和7年)に大きく改正されました。2025年は4月と10月の2段階で施行されています。主な内容は次のとおりです。
- 子の看護等休暇への拡大、残業免除・育休取得状況公表の対象拡大(4月)
- 出生後休業支援給付・育児時短就業給付の創設(4月)
- 介護離職防止のための周知義務化(4月)
- 柔軟な働き方の措置の新設(10月)
介護・福祉で働く人にとっても、自分や同僚が制度を使う場面で役立つ知識です。最新の金額や詳細は、厚生労働省の公式情報もあわせてご確認ください。
「家庭の事情に合わせて働ける職場を探したい」「両立支援に理解のある介護・福祉の職場を知りたい」という方は、お気軽にご相談ください。
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参考(一次情報)
- 厚生労働省「育児・介護休業法について」(2025年改正の内容・リーフレット・規定例)
- 厚生労働省「職場における子育て支援」(両立支援制度・給付の案内)
※本記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。法改正・給付額などの最新情報は厚生労働省などの公式情報をご確認ください。
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