この記事は、介護の資格を取りたいが受講費用が気になる方に向けて、教育訓練給付金の仕組みと使い方を解説します。教育訓練給付金とは、雇用保険に加入している(していた)方が指定講座を受けたとき、受講費用の一部が国から戻ってくる制度です。介護分野では、初任者研修や実務者研修、介護福祉士の養成課程、ケアマネジャー関連など幅広い講座が対象になります。この記事で押さえられるのは、次の4点です。
- 制度の仕組み
- 3区分の給付率と上限
- 介護資格での使い方
- 申請の流れ
給付には3つの区分があり、2024年10月には給付率が大きく拡充されました。2026年7月時点の最新情報で解説します。
記事でわかること
この記事でわかること
- 教育訓練給付金とは何か(制度の目的)
- 3区分(一般/特定一般/専門実践)の給付率と上限
- 2024年10月の給付率拡充のポイント
- 介護分野で対象になりやすい講座と区分の目安
- 受給要件(雇用保険の加入期間など)
- 申請の流れと受講前に必要な手続き
- あわせて使える教育訓練支援給付金と教育訓練休暇給付金
教育訓練給付金とは
教育訓練給付金とは、支払った受講費用の一部がハローワークから戻ってくる制度です。働く方の能力開発やキャリア形成を支援するため、厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講・修了したときに支給されます。雇用保険の制度の一つで、在職中の方だけでなく、離職して一定期間内の方も対象になります。
介護業界は人材の確保が課題で、資格取得を後押しするこの制度は心強い味方です。これから介護の仕事に就きたい方や、働きながら上位資格をめざす方に役立ちます。対象講座は全国に幅広くあり、介護関連の研修や養成課程も多く指定されています(出典:厚生労働省「教育訓練給付金」)。なお、給付の対象は入学金と受講料が中心で、受験費用や交通費などは対象外です。
教育訓練給付金の3区分と給付率
教育訓練給付金は、講座の専門性やキャリアアップへの効果に応じて、次の3区分に分かれます。区分によって、給付率と上限額が大きく異なります。
- 一般教育訓練給付金:比較的取り組みやすい講座が対象
- 特定一般教育訓練給付金:速やかな再就職やキャリア形成に役立つ講座が対象
- 専門実践教育訓練給付金:中長期的なキャリア形成に資する専門性の高い講座が対象
2024(令和6)年10月1日以降に受講を開始した場合、特定一般と専門実践の給付率が引き上げられました。区分ごとの給付率と上限額は次のとおりです。
| 区分 | 給付率(受講費用に対して) | 上限額 |
|---|---|---|
| 一般教育訓練 | 20% | 年間10万円 |
| 特定一般教育訓練 | 40%+資格取得・就職で10%(合計最大50%) | 合計で年間25万円 |
| 専門実践教育訓練 | 受講中50%+資格取得・就職で20%+賃金5%以上アップで10%(合計最大80%) | 年間最大64万円(3年で最大192万円) |
いずれも給付額が4,000円を超えない場合は支給されません。次の章で、それぞれの区分をくわしく見ていきます。
一般教育訓練給付金(給付率20%)
一般教育訓練給付金は、受講費用の20%(上限10万円)が修了後にまとめて支給される区分です。介護分野では、介護職員初任者研修などが指定される場合があります。手続きが比較的シンプルで、受講前のキャリアコンサルティングなどの事前手続きが不要な点が特徴です。
特定一般教育訓練給付金(最大50%に拡充)
特定一般教育訓練給付金は、速やかな再就職やキャリア形成に効果が高い講座が対象です。2024年10月の拡充により、給付率が引き上げられました。受講費用の40%(上限20万円)に加え、修了から1年以内に資格を取得し就職などをすると10%(上限5万円)が追加されます。合計で最大50%(上限25万円)になります。介護分野では、実務者研修などが含まれることがあります。この区分は、受講開始前にキャリアコンサルティングと受給資格の確認が必要です。
専門実践教育訓練給付金(最大80%に拡充)
専門実践教育訓練給付金は、3区分のなかで最も手厚い給付を受けられる区分です。中長期的なキャリア形成に資する専門性の高い講座が対象になります。給付の流れは次のとおりです。
- 受講中:受講費用の50%(年間上限40万円)が6か月ごとに支給
- 修了後:資格を取得して就職などをすると20%を追加(合計70%)
- 賃金アップ時:2024年10月以降の受講開始で、修了後の賃金が開始前より5%以上アップすると10%を上乗せ(合計最大80%)
上限額は、年間64万円(3年で最大192万円)です。介護福祉士の養成課程やケアマネジャー関連の課程などが対象になりやすい区分です。この区分も、受講開始前にキャリアコンサルティングと受給資格の確認が必要です。
介護分野で対象になりやすい講座
介護の資格・研修の多くが、教育訓練給付金の対象に指定されています。どの区分に該当するかは講座や実施機関ごとに異なるため、あくまで目安として整理すると次のようになります。
| 講座・資格 | 該当しやすい区分の目安 |
|---|---|
| 介護職員初任者研修 | 一般 / 特定一般 |
| 介護福祉士実務者研修 | 一般 / 特定一般 |
| 介護福祉士の養成課程 | 専門実践 |
| ケアマネジャー(介護支援専門員)関連 | 一般 / 専門実践 |
| 喀痰吸引等研修 | 一般 など |
同じ「実務者研修」でも、実施するスクールがどの区分で指定を受けているかで給付率が変わります。実務者研修は介護福祉士の国家試験を受けるために必要な研修でもあり、費用を抑えてステップアップしたい方に向いています。くわしくは実務者研修の記事もご覧ください。対象講座かどうかは、厚生労働省の教育訓練講座検索システムで確認できます。
教育訓練給付金の受給要件
教育訓練給付金を受けるには、雇用保険の加入状況などの要件を満たす必要があります。主な要件は次のとおりです。
- 在職中の方:受講開始日時点で雇用保険の被保険者であり、支給要件期間が3年以上(初めて利用する場合は1年以上)あること
- 離職した方:離職日の翌日から受講開始日までが原則1年以内で、支給要件期間が3年以上(初めて利用する場合は1年以上)あること
- 前回いずれかの教育訓練給付金を受けてから、原則3年以上の間隔が空いていること
支給要件期間とは、同じ会社などで雇用保険に加入していた期間のことです。要件は区分にかかわらず共通ですが、初めて利用する場合は1年以上に短縮されます。これから介護の仕事を始める方は、ホームヘルパー(初任者研修)から学び始めるのが一般的です。
教育訓練給付金の申請の流れ
申請の流れは区分によって少し異なります。とくに特定一般と専門実践は、受講を始める前の手続きが必要なので注意しましょう。
- 受講前(特定一般・専門実践のみ):キャリアコンサルティングを受け、受講開始日の原則2週間前までに、ハローワークで受給資格の確認の手続きを行います。
- 受講・修了:指定講座を受講し、決められた基準を満たして修了します。
- 支給申請:修了後、必要書類をそろえて、住所地を管轄するハローワークで支給申請を行います。一般教育訓練は修了日の翌日から原則1か月以内が申請期限です。
申請には、受講費用の領収書や修了証明書などが必要です。提出書類は区分によって異なるため、事前にハローワークや受講先で確認しておくと安心です。
あわせて使える教育訓練支援給付金・休暇給付金
専門実践教育訓練を受ける方の一部には、生活費を支える給付金が別に出る場合があります。対象は、一定の要件を満たす45歳未満で離職中の方です。この「教育訓練支援給付金」は、雇用保険の基本手当(いわゆる失業手当)の日額の一定割合を、受講中に受け取れる仕組みです。
この給付金は時限的な措置で、2027(令和9)年3月31日までに受講を開始した方が対象です。給付水準は基本手当日額の60%です(2025年3月31日までに受講を開始した方は80%でした)。失業中の生活費とあわせて、失業手当の仕組みも確認しておくと、受講中の家計の見通しが立てやすくなります。給付率や要件は変更される可能性があるため、利用前に必ずハローワークで最新の内容を確認してください。
在職中の方には、2025年10月に新設された教育訓練休暇給付金もあります。勤務先の制度にもとづき、30日以上連続した無給の教育訓練休暇を取得した場合に、基本手当に相当する額を受け取れる制度です。給付日数の上限は、雇用保険の加入期間に応じて90日~150日です。仕事を辞めずに学び直したい方は、勤務先とハローワークに相談してみましょう。
給付金がもらえない失敗を防ぐチェックリスト
教育訓練給付金は、手続きの順番を間違えると受け取れなくなる制度です。とくに特定一般・専門実践は、受講を始めてからでは間に合わない手続きがあります。申し込み前に、次の点を確認しておきましょう。
| 確認項目 | つまずきやすい失敗 |
|---|---|
| 受講前の事前手続き | 特定一般・専門実践でキャリアコンサルティングや受給資格確認を受けずに受講開始してしまう |
| 講座の指定有無 | 同名の講座でも、そのスクールが指定を受けていないと対象外 |
| 雇用保険の加入期間 | 支給要件期間が足りず対象にならない |
| 申請期限 | 一般は修了日の翌日から原則1か月以内を過ぎて失効 |
| 領収書・修了証明書 | 書類の不備や紛失で申請できない |
もっとも多い失敗は、事前手続きの取りこぼしです。受講開始の原則2週間前までという期限があるため、申し込みと並行して早めに動きましょう。
自分が使える区分の見分け方
どの区分で給付されるかは、講座ごとに決まっています。次の手順で確認すると確実です。
- 受けたい講座名を、厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」で検索する
- 検索結果に表示される区分(一般/特定一般/専門実践)を確認する
- 事前手続きが必要な区分なら、受講前にハローワークへ相談する
給付率や要件は変更されることがあります。利用前に、必ず厚生労働省の「教育訓練給付制度」のページやハローワークで最新の内容を確認してください。
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まとめ
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教育訓練給付金は、介護の資格取得費用の負担を大きく軽くできる制度です。給付率は、一般教育訓練が20%、特定一般教育訓練が最大50%、専門実践教育訓練が最大80%と、区分によって異なります。2024年10月の拡充で特定一般と専門実践の給付がより手厚くなり、初任者研修から介護福祉士の養成課程まで幅広い講座が対象です。受給には雇用保険の加入期間などの要件があり、特定一般・専門実践は受講前の手続きも必要です。利用を考えている方は、受けたい講座が対象か検索し、最新の給付率や要件をハローワークで確認のうえ、計画的にキャリアアップをめざしましょう。
参考(一次情報)
- 厚生労働省「教育訓練給付金」(3区分の給付率・上限額の原典)
- 厚生労働省「教育訓練講座検索システム」(講座ごとの区分・指定状況を検索)
- 厚生労働省「教育訓練休暇給付金」(2025年10月新設の在職者向け給付の原典)
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