公認心理師とは? 仕事内容、資格取得のメリットについて分かりやすく解説

公認心理師

この記事は、心理や福祉の仕事を目指す方に向けたものです。公認心理師の仕事内容、活躍する分野、なり方(受験資格)、臨床心理士との違い、給料が分かります。公認心理師は、2017年に誕生した日本で初めての心理職の国家資格です。「どんな資格?」「臨床心理士と何が違う?」という疑問に、2026年7月時点の最新の試験データで答えます。

なお、検索では「公認心理士」と書かれることもあります。しかし、正式名称は「公認心理師」(師)です。「士」ではない点に注意しましょう。

この記事でわかること

  • 公認心理師とは何か(根拠法と定義)
  • 仕事内容(法律が定める4つの行為)と活躍する5分野
  • 臨床心理士との違い(国家資格と民間資格)
  • 公認心理師になるには(受験資格ルートと最新の試験データ)
  • 給料・年収の目安

公認心理師とは?

公認心理師とは、日本で初めての心理職の国家資格です。公認心理師法(2015年成立・2017年9月全面施行)にもとづきます。保健医療・福祉・教育などの分野で、心理学の専門知識と技術をもって、心の支援を必要とする人やその関係者を支える専門職を指します。

大きな特徴は「名称独占資格」(資格者だけがその名前を名乗れる資格)である点です。資格を持たない人が「公認心理師」と名乗ったり、名称に「心理師」の文字を使ったりすることは法律で禁止されています。違反すると30万円以下の罰金が科されます。一方で、心理支援そのものを資格者だけしか行えない「業務独占」ではありません。この点も押さえておきましょう。

公認心理師の仕事内容(4つの行為)

公認心理師法は、公認心理師が行う業務として4つを定めています。本人だけでなく、その家族や関係者まで支援の対象としている点が特徴です。具体的には次のとおりです。

  1. 心理状態の観察・分析(心理的アセスメント):支援を必要とする人の心理状態を観察し、その結果を分析する。
  2. 本人への相談・援助:支援を必要とする人に対して、相談に応じ、助言・指導その他の援助を行う。
  3. 関係者への相談・援助:家族や周囲の関係者に対して、相談に応じ、助言・指導その他の援助を行う。
  4. 心の健康教育・情報提供:心の健康に関する知識を広めるための教育や情報提供を行う。

公認心理師が活躍する5つの分野

公認心理師は、幅広い分野で活躍しています。代表的なのが次の5分野です。福祉分野でも、心理職として多くの公認心理師が働いています。

  • 保健医療:病院・クリニックの精神科や心療内科などで、心理検査やカウンセリングを担当。
  • 福祉:児童相談所、障害者・高齢者の福祉施設、地域の相談支援機関などで心理的支援を行う。
  • 教育:学校のスクールカウンセラー、教育相談機関などで子どもや保護者を支える。
  • 司法・犯罪:少年鑑別所、刑事施設、家庭裁判所などで対象者の心理的支援に関わる。
  • 産業・労働:企業の健康管理室やEAP(従業員支援プログラム)などで働く人のメンタルヘルスを支援。

公認心理師と臨床心理士の違い

もっとも大きな違いは、資格の種類です。公認心理師は国家資格、臨床心理士は民間資格です。両資格で行える業務はほぼ重なっており、両方を取得している人も少なくありません。おもな違いを整理しました。

項目 公認心理師 臨床心理士
資格の種類 国家資格(公認心理師法) 民間資格(日本臨床心理士資格認定協会)
独占性 名称独占(業務独占ではない) 名称独占(業務独占ではない)
資格の更新 更新なし(生涯有効) 5年ごとの更新が必要

公認心理師になるには

公認心理師になるには、受験資格を満たして国家試験に合格し、登録を受けます。受験資格には複数のルート(区分A~G)があります。これから目指す場合の基本は、次のルートです。

大学+大学院ルート(区分A)― 現在の主流

これから目指す人のもっとも一般的なルートです。まず4年制大学で必要な科目(25科目)と心理実習を修めて卒業します。さらに大学院で必要な科目(10科目)と心理実践実習を修めて修了します。

大学+実務経験ルート(区分B)

4年制大学で必要な科目を修めて卒業します。そのあと、法律で定められた施設(認定プログラム施設)で2年以上の実務経験を積むルートです。認定された施設の数は限られています。

経過措置・現任者ルートは終了

制度の開始当初は、経過措置がありました。すでに心理職として働いている人向けの現任者ルート(区分G)などです。しかし、現任者ルートは第5回試験(2022年)をもって終了しています。これから資格を取得する場合は、原則として大学+大学院ルートが基本です。

最新の国家試験データ

直近の第9回試験は2026年(令和8年)3月1日に行われました。受験者2,400人・合格者1,441人・合格率60.0%でした。近年の合格率の推移は次のとおりです。

回(実施年) 受験者数 合格者数 合格率
第7回(2024年) 2,089人 1,592人 76.2%
第8回(2025年) 2,174人 1,454人 66.9%
第9回(2026年) 2,400人 1,441人 60.0%

公認心理師の登録者数は、累計で増え続けています。2025年3月末時点で73,743人(約7万4千人)に達しました(参考:厚生労働省「公認心理師」)。

公認心理師の給料・年収の目安

公認心理師の年収は、おおむね年収400万円前後とされることが多いです。勤務先の分野や雇用形態によって幅があります。一般に、司法・犯罪分野や産業・労働分野は比較的高めです。保健医療・福祉・教育分野は、300万円台が中心といった傾向があります。

なお、公認心理師は厚生労働省の賃金統計で独立した職種として集計されていません。そのため、これらはあくまで参考値です。常勤・非常勤の別や経験によっても変わります。目安としてご覧ください。

これから目指す人の進路選びと失敗回避

公認心理師でつまずきやすいのは、進路ルートの取り違えです。結論から言うと、現任者ルートはすでに終了しており、今から目指すなら原則として大学+大学院ルートが基本です。社会人が働きながら短期間で取得する近道は、現在ほとんどありません。学費と修学年数を見込んだ長期計画が前提になります。

進学前の自己点検チェックリスト

  • 大学で必要な25科目と心理実習を履修できる学部か
  • 大学院は公認心理師対応の課程か(対応していない大学院もある)
  • 区分Bの実務経験ルートは認定施設が少ない点を理解したか
  • 学費・期間(おおむね6年)を見込んだ資金計画があるか

よくある失敗は、心理系の学部に入れば自動的に受験資格が得られると考えることです。大学のカリキュラムが公認心理師の必要科目に対応していない場合、卒業しても受験資格を満たせません。進学先を決める前に、その大学・大学院が公認心理師の養成課程に対応しているかを必ず確認しましょう。

分野別の働き方・年収の現実

公認心理師は名称独占であり、業務独占ではありません。資格があれば仕事が約束されるわけではない点を押さえておきましょう。年収はおおむね400万円前後ですが、分野で傾向が分かれます。

分野 働き方・年収の傾向
司法・犯罪/産業・労働 常勤求人があり、比較的高めの傾向。
保健医療・福祉・教育 300万円台が中心。非常勤・掛け持ちも多い。

スクールカウンセラーなどは非常勤が多く、複数の職場を掛け持ちする働き方も珍しくありません。臨床心理士とのダブルライセンスや、福祉現場での常勤など、安定して働ける場を早めに見据えると進路を描きやすくなります。

よくある質問(FAQ)

Q. 「公認心理士」と「公認心理師」はどちらが正しいですか?

A. 正式名称は「公認心理師」(師)です。「公認心理士」(士)は誤った表記なので注意しましょう。

Q. 公認心理師と臨床心理士はどちらを取るべきですか?

A. 公認心理師は国家資格、臨床心理士は民間資格です。業務内容は重なる部分が多く、両方を取得している人もいます。これから目指すなら、まず国家資格である公認心理師を軸に検討するとよいでしょう。

Q. 働きながら公認心理師になれますか?

A. 現任者ルートは2022年の第5回試験で終了しました。現在は大学+大学院ルートが基本です。これから目指す場合は、計画的な進学が必要です。

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まとめ

公認心理師とは、2017年に誕生した日本初の心理職の国家資格です。保健医療・福祉・教育・司法犯罪・産業労働の5分野で心の支援を担います。臨床心理士が民間資格であるのに対し、公認心理師は国家資格である点が大きな違いです。これから目指すには、大学+大学院ルートが基本です。直近の第9回試験の合格率は60.0%でした。心理の専門職として、福祉の現場でも活躍が広がっています。

「心理や福祉の仕事に就きたい」「資格を活かせる職場を探したい」という方は、お気軽にご相談ください。

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参考(一次情報)

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※本記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。試験日程・合格率・制度などの最新情報は公式情報をご確認ください。