介護施設の種類と選び方 完全ガイド|8タイプの違い・費用・働き方を一覧で解説

介護施設は大きく「公的施設」「民間施設」「在宅系サービス」の3つに分かれます。同じ「老人ホーム」でも、対象となる要介護度や費用、働き方は施設タイプで大きく違います。この記事は、入居先を探す家族と、介護職として働く場所を選ぶ人の両方に向けて、主要8タイプの違いと選び方を一覧でまとめます。

介護施設の全体像と早見表

結論から言うと、介護施設は「運営主体」と「対象となる要介護度」で見分けると整理しやすくなります。費用が抑えやすい公的施設は要介護度が高い人が中心、選択肢が広い民間施設は自立から重度まで幅があります。まず全体像を早見表で押さえてください。

タイプ 区分 主な対象 費用感(月額の目安) 特徴
特別養護老人ホーム(特養) 公的 原則 要介護3以上 約8万~15万円 長期入居・費用が安い・待機が出やすい
介護老人保健施設(老健) 公的 要介護1以上 約8万~16万円 在宅復帰が目的・リハビリ中心・原則3~6か月
介護医療院 公的 要介護1以上で長期療養が必要 約10万~20万円 医療と介護を一体提供・看取りにも対応
介護付き有料老人ホーム 民間 自立~要介護(施設による) 約15万~30万円以上 24時間体制の介護を施設内で提供
住宅型有料老人ホーム 民間 自立~軽中度が中心 約12万~25万円 介護は外部サービスを選んで利用
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) 民間(賃貸) 自立~軽度が中心 約10万~25万円 賃貸住宅+見守り・生活相談
グループホーム 地域密着 認知症の要介護1以上 約12万~18万円 少人数(1ユニット5~9人)で共同生活
ケアハウス(軽費老人ホーム) 公的(軽費) 原則60歳以上・自立~軽度 約7万~18万円 低額で生活支援・一般型と介護型がある

費用は地域・居室タイプ・所得で大きく変わります。あくまで目安として見てください。次の章から各タイプを順に解説します。

特別養護老人ホーム(特養)

特養は、在宅生活が難しい重度の要介護者が長く暮らすための公的施設です。対象は原則として要介護3以上で、費用が抑えやすい点が最大の特徴です。地方自治体や社会福祉法人が運営し、終身利用を前提にした「生活の場」として位置づけられています。

入所は原則要介護3以上ですが、認知症で日常生活に支障があるなど、やむを得ない事情がある場合は要介護1~2でも特例入所が認められます。費用は居室タイプで差があり、多床室で月8万円台、ユニット型個室で月12万円台が一つの目安です(食費・居住費を含む)。所得が低い人には負担限度額の制度(補足給付)があります。

特例入所は特別養護老人ホームの特例入所に係る指針(厚生労働省)、費用の基準は介護保険施設の負担限度額(補足給付)の資料(厚生労働省)で確認できます。働く側から見た特養は、生活支援と身体介護が中心で、夜勤を含むチームケアの経験を積みやすい職場です(特養の仕事内容は別記事で解説しています)。

介護老人保健施設(老健)

老健は、退院後に在宅復帰を目指してリハビリを受ける公的施設です。対象は要介護1以上で、入所期間は原則3~6か月と短めに区切られます。医師が常勤し、理学療法士などのリハビリ職が配置されている点が特養との大きな違いです。

位置づけは「治療を終えたが自宅にすぐ戻るのは不安」という人の中間地点です。費用は月8万~16万円程度。在宅復帰が前提のため、長期の住まいとしては使いにくい点に注意してください。

制度上の役割は介護老人保健施設(健康長寿ネット・厚生労働省所管団体)で確認できます。働く側にとっては、リハビリ職や看護師と連携する機会が多く、医療寄りの介護を学べる環境です。老健の費用や在宅復帰の仕組みは別記事でも整理しています。

介護医療院

介護医療院は、長期にわたる医療と介護を一体で提供する公的施設です。対象は要介護1以上で、日常的な医学管理や看取りが必要な人が中心です。2024年3月末で廃止された介護療養型医療施設の受け皿として整備が進みました。

人員体制によりI型とII型に分かれ、I型はより手厚い医療ケア、II型は比較的状態が安定した人を想定しています。費用は月10万~20万円程度で、医療管理の度合いによって変わります。たんの吸引や経管栄養など、医療的ケアが必要な人の長期療養先として選ばれます。

定義や種類は介護医療院とは(厚生労働省 介護医療院公式サイト)で確認できます。働く側から見ると、看護・医療職との協働が日常的で、医療的ケアの実務経験を積める職場です(介護医療院とは何かは関連記事でも解説しています)。

有料老人ホーム(介護付き・住宅型・健康型)

有料老人ホームは、民間が運営する3タイプに分かれます。介護の付き方と退去条件が違うため、ここを取り違えると入居後に困ります。結論として、介護を施設内で完結したいなら介護付き、自立度が高いなら住宅型や健康型が候補です。

介護付き有料老人ホーム

「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設で、24時間体制の介護を施設のスタッフが提供します。介護が重くなっても住み替えずに暮らし続けやすいのが利点です。費用は月15万~30万円以上と幅広く、入居一時金が必要な施設もあります。

住宅型有料老人ホーム

生活支援が付いた住まいで、介護が必要になったら訪問介護などの外部サービスを自分で選んで使います。自由度が高い一方、介護量が増えると外部サービス費がかさむ点に注意してください。自立から軽中度の人が中心です。

健康型有料老人ホーム

食事などの生活サービスが付いた、自立した人向けの住まいです。介護が必要になると契約解除・退去が原則となる点が他の2タイプと決定的に違います。数は少なく、選択肢は限られます。

3タイプの定義は有料老人ホームの類型(厚生労働省の類型区分に基づく解説)が分かりやすく整理しています。働く側では、介護付きは特定施設として介護職の配置が手厚く、住宅型は連携する訪問介護事業所での勤務になるなど、タイプで働き方が変わります(有料老人ホームとは何かは関連記事も参照してください)。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

サ高住は、見守りと生活相談が付いたバリアフリーの賃貸住宅です。高齢者住まい法に基づく登録制度で、自立から軽度の人が中心です。施設というより「住まい」に近く、安否確認と生活相談の提供が必須となっています。

居室は原則25㎡以上で、賃貸契約のため初期費用が抑えやすい点が特徴です。費用は月10万~25万円程度。介護が必要になった場合は外部サービスを利用しますが、介護型(特定施設の指定あり)のサ高住では施設内で介護を受けられます。

制度の詳細はサービス付き高齢者向け住宅の制度(国土交通省)で確認できます。働く側では、見守りや生活相談が中心の事業所と、介護も提供する事業所で業務が異なります(サ高住の仕組みは別記事でも解説しています)。

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)

グループホームは、認知症の人が少人数で共同生活を送る地域密着型の施設です。対象は認知症の診断を受けた要介護1以上で、1ユニット5~9人という家庭的な環境が特徴です。要支援2の人は「介護予防認知症対応型共同生活介護」を利用します。

役割は、なじみの環境で役割を持ちながら暮らし、認知症の進行を緩やかにすることです。費用は月12万~18万円程度。原則として施設のある市区町村に住民票がある人が対象になる点に注意してください。

サービス内容は認知症対応型共同生活介護(健康長寿ネット・厚生労働省所管団体)で確認できます。働く側にとっては、少人数で一人ひとりと深く関わり、認知症ケアの専門性を高められる職場です(グループホームの仕事内容は関連記事でも紹介しています)。

小規模多機能型居宅介護

小規模多機能型居宅介護は、「通い」「訪問」「泊まり」を一つの事業所でまとめて使える在宅系サービスです。月額定額で利用回数に縛られにくく、状態の変化に柔軟に対応できる点が魅力です。住み慣れた地域で暮らし続けたい人に向きます。

1事業所の登録定員は29人以下、通いは1日18人まで、泊まりは1日9人までと小規模です。なじみの職員が3つのサービスを担うため、利用者は安心して使えます。要支援者向けには「介護予防小規模多機能型居宅介護」があります。

仕組みは小規模多機能型居宅介護(健康長寿ネット・厚生労働省所管団体)で確認できます。働く側では、通い・訪問・泊まりを一人で幅広く担当するため、在宅介護を総合的に経験できます。小規模多機能の働き方は別記事でも解説しています。

ケアハウス(軽費老人ホーム)

ケアハウスは、低額で食事や生活支援を受けられる公的な軽費老人ホームです。原則60歳以上で、自立から軽度の人が対象です。軽費老人ホームにはA型・B型・ケアハウス(C型)があり、現在の主流はケアハウスです。

ケアハウスは介護の有無で「一般型(自立型)」と「介護型(特定施設)」に分かれます。一般型は介護が重くなると住み替えが必要ですが、介護型は特定施設の指定を受けており、施設内で介護を受け続けられます。費用は月7万~18万円程度で、所得に応じて変わる仕組みです。

定義は軽費老人ホーム(A型・B型・ケアハウス)の定義(自治体の福祉用語解説)で確認できます。働く側では、一般型は生活相談が中心、介護型は身体介護も担うなど、型によって業務が変わります。

【入居で選ぶ人向け】要介護度と費用で選ぶ早見表

入居先を探すなら、まず「本人の要介護度」と「出せる費用」の2軸で絞るのが近道です。要介護度が候補施設の対象から外れていると、そもそも入れません。次の早見表で当てはまる行を探してください。

本人の状態 費用を抑えたい 選択肢を広げたい
自立~要支援 ケアハウス(一般型) サ高住/住宅型有料老人ホーム
要介護1~2(認知症あり) グループホーム 介護付き有料老人ホーム/小規模多機能
要介護1~2(在宅復帰したい) 老健 介護付き有料老人ホーム
要介護3以上 特養 介護付き有料老人ホーム/介護型ケアハウス
長期の医療的ケアが必要 介護医療院 介護医療院(I型)

費用は「月額」だけでなく「入居一時金の有無」も合わせて見てください。民間施設は一時金が高額なことがあります。判断に迷ったら、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに相談すると候補を絞りやすくなります。

【働く人向け】施設タイプ別の仕事内容・向いている人・給料傾向

介護職として働く場所を選ぶなら、「身につく経験」と「働き方」で見るのがおすすめです。同じ介護職でも、施設タイプで仕事内容と一日の流れが大きく変わります。給料は処遇改善加算の影響もあり、施設種別だけでなく事業所ごとの差が大きい点を押さえてください。

施設タイプ 主な仕事内容 向いている人
特養 重度者の身体介護・生活支援・夜勤 チームで腰を据えて働きたい人
老健 リハビリ職と連携した在宅復帰支援 医療・リハビリを学びたい人
介護医療院 医療的ケア・看取りを含む介護 医療寄りの介護を深めたい人
有料老人ホーム 入居者の生活支援・接遇重視 丁寧な対応・接客が得意な人
グループホーム 少人数の認知症ケア・生活づくり 一人ひとりと深く関わりたい人
小規模多機能 通い・訪問・泊まりを横断対応 幅広い経験を積みたい人

給料の全体像として、厚生労働省の調査では、処遇改善加算を取得する事業所の介護職員の平均給与は月33万8,200円でした(令和6年度・常勤、手当等を含む)。前年から1万3,960円(4.3パーセント)の増加です。詳しくは令和6年度 介護従事者処遇状況等調査の概要(厚生労働省)を確認してください。施設選びでは、加算の取得状況や夜勤回数、資格取得の支援制度も合わせて比べると失敗しにくくなります(介護職の給料・年収は別記事で詳しく解説しています)。

失敗しない選び方チェックリスト

入居でも就職でも、見学前に条件を整理しておくと判断のブレが減ります。次のチェックリストを使って、候補施設を同じ基準で比べてください。最後にやりがちなNG例も挙げます。

  • 対象の要介護度に本人が当てはまるか(特養は原則要介護3以上など)
  • 月額に何が含まれるか(食費・居住費・介護費・日用品費の内訳)
  • 入居一時金の有無と返還ルール
  • 介護が重くなったときに住み続けられるか、退去条件はどうか
  • 医療的ケア(吸引・経管栄養など)に対応できるか
  • 立地・面会のしやすさ・地域密着型の住所要件
  • (働く人)夜勤回数・人員配置・処遇改善加算の取得状況

よくあるNG例は次のとおりです。費用の安さだけで選び、介護が重くなって退去を求められるケース。健康型有料老人ホームを終身の住まいと思い込むケース。求人の月給だけを見て、夜勤手当や処遇改善加算込みの内訳を確認しないケースです。数字の内訳と「重くなったときどうなるか」を必ず確認してください。

まとめ

介護施設は公的・民間・在宅系に大別され、対象の要介護度・費用・働き方がタイプごとに違います。入居で選ぶなら「要介護度と費用」、働く場所として選ぶなら「身につく経験と働き方」を軸にすると判断しやすくなります。気になるタイプは、各施設の詳しい記事で対象・費用・仕事内容を確認してから、見学や応募に進んでください。

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