【2026年8月】介護施設の食費・居住費が引き上げ|補足給付見直しの対象と実務

本記事は2026年6月19日時点の公開情報に基づいています。制度は今後変わる可能性があります。最新・正式な内容は必ず厚生労働省の発表をご確認ください。

2026年(令和8年)8月1日から、介護保険施設やショートステイを利用する低所得者を対象とした補足給付(特定入所者介護サービス費)が見直され、食費と居住費の金額が一部引き上がります。特養・老健・介護医療院・短期入所(ショートステイ)の管理者、相談員、請求担当の方にとっては、料金表や重要事項説明書の見直し、利用者・ご家族への説明が必要になる場面です。本記事では、何が・いくら変わるのか、対象になる利用者の見分け方、施設としてやっておくとスムーズなことを、できるだけやさしく整理しました。

まず結論(おさえておきたい3点)
  • 2026年8月1日から、補足給付の対象となる一部の低所得者(主に第3段階①・②)について、食費が日額30〜60円、居住費が日額100円(一部を除く)引き上がります。食費の基準費用額も1日1,445円→1,545円に上がります。
  • 影響を受けるのは「負担限度額認定証」を持つ方です。第4段階(一般の方)や、認定証をお持ちでない方の料金は今回の見直しでは変わりません。
  • 施設側は、8月分の請求に向けて料金表・重要事項説明書・契約書・請求システムの単価を確認し、対象者への説明を準備しておくと8月以降がスムーズです。

そもそも補足給付(特定入所者介護サービス費)とは?

補足給付とは、所得の低い方が介護保険施設やショートステイを利用するとき、食費・居住費の負担が重くなりすぎないよう、一定の上限額を超える分を介護保険から給付する仕組みです。正式名称を「特定入所者介護(予防)サービス費」といい、現場では「補足給付」と呼ばれることが多い制度です。

仕組みとしては、国が定める標準的な費用である「基準費用額」と、その方が実際に負担する上限である「負担限度額」との差額を、介護保険が施設へ支払います。対象になるのは、世帯全員が市町村民税非課税であることなどの所得要件と、預貯金額の要件を満たす低所得の方です。

この給付を受けるには、利用者ご本人が市町村に申請して「介護保険負担限度額認定証」の交付を受けている必要があります。つまり、施設側から見ると「負担限度額認定証を持っている方=補足給付の対象者」と考えると分かりやすいでしょう。対象施設は、介護老人福祉施設(特養)、介護老人保健施設(老健)、介護医療院、そして短期入所(ショートステイ)です。

2026年8月から何が・いくら変わる?

厚生労働省は2026年5月29日付の「介護保険最新情報 vol.1506」で、令和8年8月1日からの見直し内容を周知しました。食費・居住費の負担限度額・基準費用額の引上げは、令和8年厚生労働省告示第88号等にもとづく決定事項です。主な変更点は次のとおりです。

食費の引き上げ

  • 基準費用額:1日1,445円 → 1,545円(+100円、月額換算で約4.7万円)
  • 負担限度額(食費):第3段階①・②の方について、日額30〜60円引き上げ。施設入所の場合、第3段階①は650円→680円、第3段階②は1,360円→1,420円となります。

居住費の引き上げ

第3段階②に該当する方を中心に、居住費が日額100円引き上がります(一部の部屋タイプを除く)。具体的には次のとおりです。

  • 多床室(特養等):430円 → 530円
  • 従来型個室(特養等):880円 → 980円
  • 老健・介護医療院等、ユニット型個室など:1,370円 → 1,470円

食費と居住費の両方が引き上がる方の場合、負担増は日額で最大160円程度、30日換算で月4,800円程度になり得ます。なお、居住費の引上げには例外があり、「その他型」「療養型」の老健や「II型」の介護医療院の多床室(療養室の床面積が1人あたり8平方メートル以上に限る)などの取扱いがあります。ご自身の施設のどの部屋がどう変わるかは、対象者ごとに必ず確認してください。

所得段階の判定基準(第2段階)の見直し(※こちらは検討中)

あわせて、第2段階の所得基準(年金収入額+合計所得金額)を、従来の80.9万円以下から82.65万円以下へ見直す予定とされています。ただしこの基準額の改正について、厚労省は「現在改正作業中であり、追って通知を発出する」としており、関係者への事前周知の段階です。食費・居住費の金額引上げ(決定済み)とは扱いが異なる点に注意してください。

対象になる利用者・ならない利用者の見分け方

もっとも分かりやすい見分け方は、「負担限度額認定証」を持っているかどうかです。認定証をお持ちの方は補足給付の対象であり、今回の見直しで料金が変わる可能性があります。

認定証には利用者負担段階(第1段階〜第3段階②)が記載されています。今回の食費・居住費の引上げは、主に第3段階①・②の方が対象です。第1段階・第2段階の方の金額の扱いは段階や費目によって異なるため、お一人ずつ認定証の段階と部屋タイプを照らし合わせて確認するのが確実です。

  • 対象になりやすい方:負担限度額認定証をお持ちで、段階が第3段階①・②の方
  • 今回の見直しで料金が変わらない方:第4段階(一般の所得の方)、負担限度額認定証をお持ちでない方

新たに第2段階の基準が見直される予定の点については、対象者の段階が変わる可能性もあります。正式な通知が出てから、各市町村の認定結果にもとづいて確認するのが安全です。現時点で個別の利用者へ「段階が変わります」と断定的に伝えるのは避けるのが無難でしょう。

施設・事業者がやること(実務)

8月1日の施行に向けて、次のような準備をしておくと8月以降の請求や利用者対応がスムーズになります。「必ずこうしなければならない」というより、抜け漏れを防ぐためのチェックリストとして活用してください。

料金表・重要事項説明書・契約書の確認

  • 食費・居住費を記載した料金表に、8月からの基準費用額・負担限度額を反映できているか確認します。
  • 重要事項説明書利用契約書に食費・居住費の金額を明記している場合は、改定版の準備や、変更点の説明方法を整理しておきます。書式の変更要否は、各施設の運用や自治体の指導内容にもよるため、必要に応じて保険者(市町村)にも確認すると安心です。

請求システムの単価更新

  • 介護ソフト・請求システムに登録している食費・居住費の単価を8月利用分から更新します。対象者の負担限度額の変更も反映が必要です。
  • 更新のタイミングを誤ると8月分の請求に影響するため、ベンダーの対応スケジュールも早めに確認しておくとよいでしょう。

利用者・ご家族への説明・通知文

  • 対象となる利用者・ご家族へ、いつから・いくら変わるのかを分かりやすく伝える通知文を準備します。負担増の理由(国の制度改正であること)と、具体的な月額の目安を添えると理解を得やすくなります。
  • 金額は段階や部屋タイプで異なるため、「一律いくら上がる」と書かず、お一人ごとの金額を案内するのが親切です。

8月施行までの逆算スケジュール

6月の今から8月1日に向けて、無理のない段取りで進めるための目安です。施設の規模や運用に合わせて調整してください。

  1. 6月(今):介護保険最新情報vol.1506と添付の周知リーフレットで、自施設の部屋タイプ・対象者ごとの新しい金額を確認。負担限度額認定証をお持ちの利用者をリストアップします。
  2. 6月下旬〜7月上旬:料金表・重要事項説明書・契約書の改定案を作成。請求システムのベンダーに更新スケジュールを確認します。
  3. 7月中旬:対象者・ご家族向けの通知文を作成し、説明を開始。請求システムの単価を8月利用分から反映できるよう設定を準備します。
  4. 7月下旬〜8月1日:説明の完了と書類の整備を確認。8月利用分から新しい金額で請求できる状態にしておきます。第2段階の基準見直しは正式通知の発出を待って対応します。

まとめ

2026年8月1日からの補足給付の見直しは、負担限度額認定証をお持ちの低所得者(主に第3段階①・②)の食費・居住費が引き上がるものです。食費の基準費用額は1,545円に、居住費は対象者で日額100円程度上がり、両方が上がる方では月4,800円程度の負担増になり得ます。これらは告示にもとづく決定事項である一方、第2段階の所得基準の見直しは正式通知を待つ段階です。

施設側は、料金表・重要事項説明書・契約書・請求システムの確認と、対象者ごとの金額を踏まえた利用者・ご家族への説明を、7月中に整えておくと8月以降がスムーズです。金額や対象は利用者ごとに異なるため、最終的な判断は厚生労働省の公式情報と各市町村(保険者)の取扱いにもとづいて行ってください。

出典