あん摩マッサージ指圧師とは? 仕事内容・資格の取り方について分かりやすく解説

あん摩マッサージ指圧師

料金をいただいて「マッサージ」を仕事にできるのは、あん摩マッサージ指圧師という国家資格を持つ人だけです。整体師やリラクゼーションセラピストは国家資格ではありません。マッサージを仕事にしたいなら、まずこの違いを知っておきましょう。

この記事では、2026年6月時点の最新情報にもとづいて、あん摩マッサージ指圧師の資格内容や取り方、年収を整理します。整体師・鍼灸師・柔道整復師・理学療法士といった似た資格との違いも表で解説します。

この記事でわかること

  • あん摩マッサージ指圧師がどんな国家資格で、どんな仕事をするのか
  • なぜ「マッサージ」を名乗れるのが国家資格者だけなのか
  • 資格の取り方(養成施設・視覚特別支援学校で3年以上→国家試験)
  • 直近の国家試験(第33回・2025年実施)の合格率
  • 整体師・鍼灸師・柔道整復師・理学療法士・セラピストとの違い
  • 年収の目安と、介護分野(機能訓練指導員)を含む働き方

マッサージ師(あん摩マッサージ指圧師)とは

「マッサージ師」の正式な国家資格名は、あん摩マッサージ指圧師(手技で身体の不調を整える専門職)です。「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」にもとづく国家資格です。手や指を使った手技で、肩こり・腰痛・体内循環の悪化といった慢性的な不調の改善を目的に施術を行います。

名前のとおり、この資格には大きく3つの手技が含まれます。あん摩は身体の中心から末端へ「押す・もむ・なでる」手技です。マッサージは末端から中心へ向けて血液やリンパの流れを促す手技です。指圧は手のひらや指でツボを垂直に押す手技です。あん摩マッサージ指圧師は、これらを組み合わせて一人ひとりの状態に合わせた施術を行う、東洋医学系の専門職といえます。

この資格には、ほかにも大きな特徴があります。医師の指示がなくても独立して施術でき、自分の治療院を開ける開業権を持つ点です。医師の同意があれば、施術料の一部に健康保険を適用できるケースもあります。

「マッサージ」を名乗れるのは国家資格者だけ

料金をいただいて「マッサージ」を業として行えるのは、あん摩マッサージ指圧師の国家資格を持つ人に限られます。これは前述の法律で定められたルールです。無資格者がマッサージを業として行うことは認められていません。

一方、街でよく見かける整体師やリラクゼーションセラピストは国家資格ではありません。整体やリラクゼーションには法律上の公的な資格制度がなく、必須となる国家資格も存在しません。そのため、民間スクールの認定資格や独学でも名乗れます。

施術の目的も、治療というより「身体のバランスを整える」「疲労回復」「リラクゼーション」が中心です。健康保険も適用されません。

つまり、同じように身体に触れる仕事でも、「マッサージ」「あん摩」「指圧」「はり」「きゅう」「柔道整復」といった行為は、それぞれの国家資格を持つ人だけが業として行えると法律で線引きされています。これから手技の仕事を目指すなら、まず「国家資格かどうか」を確認しましょう。

資格の取り方

あん摩マッサージ指圧師になるには、決められた教育を受けたうえで国家試験に合格する必要があります。独学だけで資格を取ることはできません。次の3ステップを踏むのが基本です。

  1. 養成施設または視覚特別支援学校などで3年以上学ぶ。高校卒業などの受験資格を満たした人が、厚生労働大臣または文部科学大臣が認定・指定する養成施設(専門学校・大学など)、あるいは視覚特別支援学校(盲学校)で、3年以上にわたって必要な知識と技術を修得します。
  2. 国家試験を受験する。養成課程を修了(または修了見込み)すると、国家試験の受験資格が得られます。あん摩マッサージ指圧師国家試験は年1回実施されます。
  3. 合格して名簿に登録する。国家試験に合格し、あん摩マッサージ指圧師名簿に登録されることで、はじめて資格者として施術を行えるようになります。

養成施設には、昼間部・夜間部のある専門学校や大学などがあります。解剖学・生理学といった基礎医学から東洋医学、実技まで幅広く学びます。視覚に障害のある方が学べる視覚特別支援学校(盲学校)の課程があるのも、この資格の歴史的な特徴のひとつです。

国家試験の合格率

直近の国家試験の合格率は87.2%でした。第33回あん摩マッサージ指圧師国家試験(令和7年・2025年実施、2025年3月合格発表)の結果は、厚生労働省の発表によると次のとおりです。

  • 受験者数: 1,160人
  • 合格者数: 1,011人
  • 合格率: 87.2%

あん摩マッサージ指圧師国家試験の合格率は、近年おおむね80%台後半で推移しています。養成施設でしっかり学んでいれば十分に合格を狙える水準です。

ただし、これはあくまで3年以上の養成課程を修了した受験者の合格率です。受験資格を得るまでの学習自体に時間と費用がかかるため、計画的に準備を進めましょう。

似た資格との違い

「マッサージ師」と混同されやすい職種は数多くあります。国家資格かどうか、開業できるか、保険が使えるか。この3つを基準に整理すると、それぞれの違いがはっきりします。下の表で比較してみましょう。

資格・職種 国家資格か 主な仕事の内容・目的 健康保険の適用
あん摩マッサージ指圧師 国家資格 あん摩・マッサージ・指圧の手技で慢性的な不調を改善。開業権あり 医師の同意があれば一部適用
鍼灸師(はり師・きゅう師) 国家資格 はり・きゅうでツボを刺激し自然治癒力を高める。開業権あり 医師の同意があれば一部適用
柔道整復師 国家資格 骨折・脱臼・捻挫・打撲などのケガに対し整復・固定で機能回復を図る。開業権あり 一部適用
理学療法士 国家資格 医師の指示のもと、運動療法や物理療法でリハビリを行う。開業権なし 医療・介護保険の対象
整体師 国家資格ではない 身体のバランス調整・疲労回復・健康維持が目的 適用なし(全額自己負担)
リラクゼーションセラピスト 国家資格ではない リラクゼーションや癒やしを目的とした施術 適用なし(全額自己負担)

ポイントは3つです。あん摩マッサージ指圧師・鍼灸師・柔道整復師は開業権を持つ国家資格です。理学療法士は国家資格ですが、医師の指示のもとで働き開業権はありません。そして整体師・リラクゼーションセラピストは国家資格ではありません

柔道整復師についてはくわしく柔道整復師の仕事や資格を解説した記事で、理学療法士については理学療法士の仕事内容や資格を解説した記事でそれぞれ紹介しています。なお、似た名前で役割が違う資格という意味では、管理栄養士と栄養士の違いを解説した記事も参考になります。

年収・働き方

あん摩マッサージ指圧師の年収は、働く場所や雇用形態によって幅があります。厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査では、一定規模以上の施設に勤めるあん摩マッサージ指圧師等の平均年収はおおむね470万円台です。一方、求人サイトの掲載データを集計した平均では年収380万円台が目安です。施設の規模や地域、経験によって差が出るのが実情です。

主な働き方には、次の3つがあります。

  • 治療院・整骨院などでの勤務や独立開業。開業権を活かして自分の治療院を構える人も多く、経験を積んで独立を目指すキャリアも描けます。
  • 訪問医療マッサージ。在宅で過ごす高齢者や身体の不自由な方の自宅を訪問し、医師の同意のもとでマッサージを行う働き方です。高齢化が進むなかで需要が伸びている分野です。
  • 介護施設での機能訓練指導員。デイサービスなどの介護施設で、利用者の身体機能の維持・向上を目的とした訓練を担当します。

とくに介護分野とのつながりは深いものがあります。あん摩マッサージ指圧師は、介護施設に配置される「機能訓練指導員」(利用者の身体機能を保つ訓練を担う職員)になれる資格のひとつです。機能訓練指導員になれるのは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師(准看護師)・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師、および一定の実務経験を持つはり師・きゅう師に限られます。手技の専門性を介護の現場で活かせるため、安定して働きたい人にとって魅力的な選択肢です。

身体ひとつでできる仕事であり、年齢を重ねても長く続けやすいのも、この資格の働き方の特徴です。

目指す前に知っておきたい現実と選択ミスの回避

「手技で人を助けたい」という思いだけで進むと、入学後に「想像と違った」と感じることがあります。後悔しないために、目指す前に確認したい現実を整理しました。

進路を決める前のチェックリスト

  • 養成施設は3年以上通う必要がある。学費と通学時間を確保できるか
  • 解剖学・生理学など医学系の学習量が多い。座学が続く点に納得できるか
  • 整体・リラクゼーションは無資格でも名乗れる。国家資格が本当に必要な進路かを見極める
  • 独立開業か勤務か、訪問か施設か。どの働き方を目指すかで学校選び(昼間部・夜間部)も変わる

似た資格との選び方のミスを防ぐ

「マッサージで開業したい」のか「リハビリの専門職になりたい」のかで、選ぶ資格が変わります。開業して自分の治療院を持ちたいなら、開業権のあるあん摩マッサージ指圧師や鍼灸師が向きます。医療機関でリハビリを担いたいなら理学療法士が選択肢です。「とりあえず手技の仕事」と曖昧なまま進むと、開業権の有無や保険適用の範囲で後から後悔しがちです。前掲の比較表で、目指す働き方に合う資格かを確認してから進路を決めましょう。

取得後のキャリアと収入の現実

資格を取れば自動的に高収入になるわけではありません。勤務先や雇用形態で年収には幅があります。安定を重視するなら、介護施設の機能訓練指導員として常勤で働く道があります。収入の上限を伸ばしたいなら、経験を積んで独立開業や訪問医療マッサージへ広げる道があります。高齢化で訪問需要が伸びている分野でもあるため、介護分野とのつながりを意識すると長く働きやすくなります。

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参考(一次情報)

まとめ

あん摩マッサージ指圧師は、「マッサージ」を業として行える唯一の国家資格です。養成施設や視覚特別支援学校で3年以上学び、年1回の国家試験に合格して取得します。直近の第33回(2025年実施)の合格率は87.2%と高水準でした。

整体師やリラクゼーションは国家資格ではありません。一方、あん摩マッサージ指圧師は開業権を持ち、医師の同意があれば保険適用の施術もできます。さらに、介護施設の機能訓練指導員にもなれるため、治療院・訪問医療マッサージ・介護分野と、活躍の場が広いのも大きな魅力です。手技で人の身体を支える仕事に興味がある方は、国家資格としてのあん摩マッサージ指圧師を検討してみてください。

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