介護のニュースについて紐解いていくべく記事の執筆を担当させていただきつつ、ブログの運営と主任介護支援専門員の二足の草鞋で活動も継続中、居宅ケアマネとして奮闘中の
【公式】ケアマネ介護福祉士(【公式】ケアマネ介護福祉士 (@BWm7LDaUhfW1TPC) / X)と申します。
ご好評いただいているため、連載2年目に突入!!
ご感想をお待ちしております。
そんな連載26回目はコチラの記事について考えていきましょう⇩⇩
厚生労働省は18日、有料老人ホームの安定的な運営の確保に向けた事業者への指導を徹底するよう求める通知を、全国の自治体へ発出した。【Joint編集部】
東京都足立区など全国4ヵ所の有料老人ホームで介護職員が一斉に辞め、サービスを受けられなくなった入居者が急な転居を余儀なくされる事態が起きたことを受けた措置。介護保険最新情報のVol.1321で関係者へ周知した。
厚労省は通知で、体の衰えた高齢者らの心身の健康や日々の生活を守っていく観点から、「有料老人ホームは安定的かつ継続的な運営が当然に確保されるべき」と改めて強調。全国の自治体に対し、「入居率や資金計画、収支、職員配置など、事業の継続性に関することを聞き取り、当初の事業計画との乖離がある場合は、専門家への相談を促すなど注意を喚起し、改善を働きかけること」と求めた。
あわせて、今回問題になった有料老人ホームが開設から1年ほどの施設だったことにも言及した。
「開設後1年以内の、一定の入居が進んだと考えられる時期にも立入調査を行い、事業計画に沿って運営されているかを確認するなど、立入調査の実施時期の見直しを」と要請。「このような事案が発生したことは誠に遺憾。更なる指導の徹底を」と呼びかけた。
施設の職員が一斉退職の闇
ヤフーニュース等にも持ち上がっているのでおそらくここの話かなっていう所ではありますが…。
全国に複数展開されている住宅型有料老人ホーム「ドクターハウス ジャルダン」の一斉閉鎖問題。
これが今回の厚労省が異例の通達をする引き金だったのでしょう。
介護施設の職員が一斉退職するっていうこと自体は以前もチラホラありました。
その際にも残った職員がケアに当たりつつ利用者さんの新たな行先を決めるっていうのが定番の流れでした。
ただ、今回は大きな問題として複数施設だった事。
母体の代表自体が雲隠れし音信不通…。
運営会社の一方的な閉鎖通知により、利用者さんがいる状態だがその進退や入居者への保障、出入り業者への保障が一切わからない状況。
職員の給料も未払いがずっと続いているっていう状態で職員も残る理由がないっていう状況ですね。
ネットで検索すると有料老人ホームのドクターハウスというところが一番に上がってくるのですが全然違うところで迷惑しています。
誤解のないようにお願いしますっていう文章を掲載しているくらいですね。
同じ名前の全く関係のない施設があって、しかもネット検索のトップに上がってきてしまう…。
こんな不運なことがあるのかと同情してしまいます…。
それでも医療依存度が高い利用者さんは特別養護老人ホーム等に入ることは不可能。
こういった場所が必要不可欠なのは間違いない…。
その中で、費用も安いこういった場所に利用者さんが転居してしまうのも致し方ない部分ではありますね。
激安を売りにしているサ高住の仕組み
今回話題になっているサ高住に限らずですが、激安を売りにしているサ高住の仕組みを簡単に説明していきましょう。
通常のサ高住は【公式】ケアマネ介護福祉士が働いているエリアで家賃、光熱費、食費を足して10万円~15万円。
そこに介護費用や雑費を足して15万円~20万円前後がアベレージ。
基本的にサービス付き高齢者向け住宅は住宅扱い。
高齢者が一人暮らしで、シェアハウス的な仕組みで光熱費を一定額支払うっていう所。
食事に関しても三食、高齢者向けのレストランで食べているようなシステムです。
多くのサービス付き高齢者向け住宅が施設内や超近隣にデイサービスやホームヘルパーの事務所があるのでそこを利用することが可能っていう建付けになっています。
一人暮らしの三食外食と考えれば月額費用にも納得いくでしょう。
それに加えてデイサービスやヘルパーの介護費用も払うとなれば+3万円前後が最終的な利用料金となる形ですね。
故に東京の一人暮らしで三食外食となればもちろん【公式】ケアマネ介護福祉士の働いているエリアより物価や地価が高いでしょうから費用も高騰するでしょう。
実際、東京都足立区のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の相場は、入居一時金が平均で13.9万円、中央値で14.1万円、月額利用料が平均で20.0万円、中央値で18.5万円。
その中で、事件となったサ高住は入居一時金が10万6000円。
月額の利用料が12万9663円…。
相場よりも入居金が4万円ほど安い。
月額料金に至っては10万円前後安いっていう所。
入居金や月額利用料金は前払いの金額によって大きく動くので何とも言えませ
んが明らかに地域でみると安いのは間違いないですね。
他の所より安いけど、そこには大きなカラクリがあります。
医療型を歌うサ高住の闇
今、精神科訪問看護領域でも大きな問題になっていますが、医療型を歌うサ高住の闇がここで大活躍します。
普通の所より費用が安いサ高住ですが、医療型と名を打って医療依存度が高い方を次々入居へと導きます。
そして、自社の訪問看護ステーションが介入し、医療保険にて儲けを出します。
基本的に難病や特別な指示を受けた患者さんに関しては一定額
(2500円or5000円or1or2or3万円)
の上限で医療保険による訪問看護が受け放題…。
毎日のように訪問看護を利用し、利益を生み出す。
利用者さんの負担は一定額…。
この制度を利用して儲けられる分、月々の家賃を下げられるという形をとっています。
今回の話題になっているドクターハウス ジャルダンも同様に訪問看護ステーションの職員を募集していたのでこの制度を利用していることは明白です。
一見すると、利用者さんの負担も少ないし、事業所も安定経営できるシステムですがもちろん原資は税金です。
むしろ通常のサ高住よりも介護保険、医療保険と両方の報酬を取れる分余計に潤っている所が多く、最近のサ高住トレンドになってきている印象です。
もちろんデメリットもあり難病を抱えていたり、医師からの特別な指示を頂いている利用者さんの寿命はもちろん猛烈に短いことが多い。
利用者さんの獲得状況が悪ければ普通のサ高住とは違い、看護師も雇い入れているうえに家賃も低く設定しているので赤字のスピードは速いです。
キャッシュアウトが早くて事業停止の可能性…
今回のケースについても一年間の間に「ドクターハウス ジャルダン」は
横浜市の本郷台(23年7月開設34戸)
足立区の入谷(23年10月開設187戸)
千葉市の寒川(2023年12月開設167戸)
北九州市の若戸(24年2月149戸)
の4か所を開設。
4カ所をほぼ同時開設で、建設費だけでも相当の資金を借り入れていて、支払額も莫大だったことでしょう。
これに加え、人件費を含めたランニングコストもおそらくとんでもない金額…。
通常のサ高住を運営する人員に加え、ある程度医療行為が行いやすい環境や設備への投資だけでなく訪問看護ステーションの設立や運営に関わる人件費…。
どう考えても2011年創業の資本金100万円だった会社が1年でこの建設ラッシュを成り立たせていけるとは考えられないですね。
どこから資金調達してきたかもふしぎなくらいの印象です。
銀行等の公的機関が貸し付けてくれる気がしないのですが、建設した建物を担保にどこかエンジェルさん的な所からお金を借りて次の建物でも建設したのかなって思ってしまうくらいの資金繰り…。
そのうえで入居者さん集めに失敗すれば大きな赤字…。
すごいスピードで資金がなくなって経営者さんが雲隠れしてしまったんでしょうね。
ただ、経営者としてはこの規模の融資を受け続けられる能力というのは本当にすごいことで目を見張るものはあるのですが…。
責任を果たすという意味合いではどうかと思いますが…。
残された利用者さんの数を見ても明らか…
ニュース記事を見ても、定員187人の入谷にある施設が翌日から90人の入居者さんが取り残されていると報道されている…。
つまり、半分しか入居していなかったということですもんね…。
1年間で新しい施設の部屋が埋まらない…。
正直なところ、1年間で満杯にならないっていうのはすでに建設の時点で大きく作り過ぎたか、職員が集まらなかったか、集客が全くできなかったかのどれかでしょう。
どの理由にしても建設前の市場調査でその辺の見通しが甘かったのでしょう。
その後も次々新しい施設を建設…。
普通なら一旦ストップしそうなものですけど、もしかしたら赤字を補うために新しい施設を建設して儲けようとしたのか…。
あるいは建設費用の一部を赤字に補填するため次々建設せざる負えなかったのか。
あまり考えたくはありませんが、そもそも倒産ありきで次々建設したのかっていうくらいの勢いですね。
ずさんな施設運営にたまらず厚労省も注意喚起
ずさんな施設運営で多くの利用者さんやその家族、そこで働く従業員に多大な不利益を被らせ、そのまま雲隠れ…。
雲隠れしたおかげで資産があるのかないのかもわからない状態のため、利用者さんやご家族への一時金返還ができるのか出来ないのかも決まらない。
そこで働いていた職員への給与も公的機関が建て替えして払うのか、それとも残っている資産で払うのかも全く決まらない。
今も利用者さんが残っていて、給与が何か月も振り込まれないけど働いているっていう人がわずかながらいる状態。
おそらく近隣施設へ利用者さんと職員さんがワンセットで移動する計画になっているのでしょうが…。
それでも未払いだった給与や一時金の返還は全く白紙の状態。
そもそも難病を患っていたり、終末期の利用者さんが全く知らない施設へ急きょ移動するっていうのは身体的にも精神的にも大きな負担。
単純に住処が変わるというのはせん妄や認知機能の低下リスクが大きく、利用者さんにとって不可逆的な不利益を負う高いリスク以外の何物でもない行為ですからね。
今後は立ち入り検査を行う予定も…
今回の事件を機に厚労省は新設した施設の立ち入り調査を行っていくという方針みたいですね。
これには深い理由があって今回の事件となった住宅型有料老人ホームの認可は厚労省なのですが、サービス付き高齢者向け住宅は国土交通省の管轄…。
立ち入り調査を行えるのはごく一部のケースのみ…。
おそらくサービス付き高齢者向け住宅のほうが今後はこういった事件が増えてくるであろう見込みですが、今回の件を機に、サービス付き高齢者向け住宅の適切な運営状況の観察を行っていってくださいよっていう厚労省から国土交通省への圧力的な話ですね。
なるほど…。
今までサービス付き高齢者向け住宅は国土交通省が認可するけど、結局訪問介護、通所介護、訪問看護とワンセットにすることで儲けを出すシステム…。
それでも国土交通省が管理しているわけで基本的に何か是正勧告をできる立場にはない。
もちろん訪問介護や通所介護等の介護事業もおとなしく集中減算を受け入れていれば基本的にはそれ以上何か言えることはない…。
それが今後はほぼ同意義の在宅型有料老人ホームを厳しく観察することによって、国土交通省がサービス付き高齢者向け住宅の監視をしてもらえる体制を目論める…。
実に悲惨な事件ではありましたが、介護業界としては同じような被害が出ないよう、体制を整える機会になったといえるでしょう。
医療依存型の施設系は次の法改正で確実に沈む…
今回のような事件は珍しく、大々的に全国ニュースにもなりましたが、正直なところ今後はニュースにもならないくらい同様の事件が増えるでしょう。
特に、難病等で利用者負担が上限額で一定であることを利用した医療保険での収益を得るスキームに関しては、つい先日も精神科訪問看護が大々的に話題となった所…。
それも特に法律に反しているわけではなく、正直なところ精神科訪問看護だけでなく医療保険という制度における正当な利益を上げるためのスキーム…。
一方的に精神科訪問看護が責め立てられている状況ではありますが制度的に問題のない状態であるため法改正が進むのは間違いない。
訪問看護ステーションにおける訪問リハビリが厳しくなった背景もあり、ますます訪問看護ステーションへの締め付けは厳しくなることでしょう。
医療保険で収益を上げるタイプの施設に関しては経営できるかできないかのギリギリを攻めた法改正が行われることが予測されます。
在宅での看取りを進めている中、訪問看護の頻回訪問が制限されるのは大きなデメリットではありますが、生涯医療費の8割をご逝去する最後の3年間に使うといわれている日本の医療保険制度…。
その中で看取り期における医療費の抑制は確かに効果テキメンではありますからね。
ホスピス系で働いている職員は自分の施設を当てはめてみたほうがいい
もしこの記事を見ていて、医療依存型の施設で働いている方は自身の施設がどういった状況なのかをしっかりと考えていった方がいいのかもしれませんね。
定期的に行われている医療保険、介護保険の法改正の中で、それに対応した運営ができているのか?
医療依存型のベッドコントロールが必要である中、常に満床を目指せる状況にある施設なのか?
医療保険ありきではなく、介護保険でも収益がある程度担保できるシステム、人員配置になっているのか?
この辺が今後の施設運営において発展していくのか?
それとも、倒産、廃業に向かっていくのかが大きなカギになってくるでしょう。
この記事を書いた【公式】ケアマネ介護福祉士のプロフィール
大規模法人にて、グループホーム、老人保健施設、通所リハビリテーションにて介護職員として従事。
経験を活かしながら介護支援専門員(ケアマネジャー)を取得し8年ほど従事。
その後自身の転居をきっかけに、相談員、介護職員を兼務しながら施設ケアマネとして5年間勤務。中間管理職を経て居宅ケアマネへ転身。
現在は主任介護支援専門員として日々子育てと仕事に全力で奮闘中。同時にブログも運営中。
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