「訪問介護は派遣では働けない」と聞いたことはありませんか。結論からいうと、訪問介護は派遣で働けます。派遣が法律で禁止されているのは訪問看護などの医療関係業務であり、訪問介護は対象外だからです。
ただし、施設の介護職と大きく違う点が1つあります。訪問介護は無資格では働けず、介護職員初任者研修以上の資格が必須です。
この記事では、訪問介護の派遣を検討している方に向けて解説します。法律上の位置づけ、必要な資格、登録ヘルパー(直接雇用のパート)との違い、働く前に知っておきたい注意点が分かります。
記事でわかること
結論:訪問介護は派遣で働ける
労働者派遣法では、派遣で働かせてはいけない業務(派遣禁止業務)が定められています。具体的には次の5つです。
- 港湾運送業務
- 建設業務
- 警備業務
- 医療関係業務(病院等での医師・看護師の業務など)
- 士業(弁護士・社会保険労務士など)
利用者の自宅で身体介護や生活援助を行う訪問介護は、介護保険法にもとづく介護サービスです。この5つのどれにも当てはまりません。つまり法律上、派遣スタッフが訪問介護の仕事に就くことに問題はありません。実際に派遣会社にも訪問介護の求人はあります。
「派遣NG」のイメージは訪問看護との混同
「訪問系は派遣で働けない」というイメージは、訪問看護との混同から生まれています。看護師が行う医療関係業務は、病院や診療所だけでなく「医療を受ける人の自宅」も原則として派遣禁止の場所に含まれます。そのため訪問看護への派遣は、紹介予定派遣や産休・育休の代替など一部の例外を除いてできません。
| サービス | 派遣で働けるか | 理由 |
|---|---|---|
| 訪問介護(身体介護・生活援助) | 働ける | 介護サービスであり派遣禁止業務に該当しない |
| 訪問看護 | 原則働けない | 医療関係業務は利用者宅でも派遣禁止(例外あり) |
ただし資格は必須|無資格では訪問介護に入れない
訪問介護は利用者の自宅に1人で入り、判断もケアも自分で行う仕事です。そのため施設の介護と違い、資格のない人は訪問介護員として働けません。派遣であってもこのルールは同じです。
訪問介護員として働ける主な資格・研修は次のとおりです。
- 介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)
- 介護福祉士実務者研修
- 介護福祉士
- 生活援助従事者研修(掃除・調理など生活援助のみ従事可)
- 看護師・准看護師・保健師(初任者研修が免除される扱い。都道府県への申請など手続きが必要な場合あり)
これから資格を取る方は、受講時間や費用の違いを初任者研修と実務者研修の比較記事で確認してみてください。
無資格の場合は施設派遣からスタートする
無資格・未経験の方は、まず無資格OKの求人がある施設派遣(特養・有料老人ホームなど)から始めるのが現実的です。派遣会社の資格取得支援を使って初任者研修を修了すれば、訪問介護への道が開けます。
派遣で訪問介護を選ぶメリット
同じ訪問介護でも、直接雇用のパートではなく派遣を選ぶメリットは主に4つあります。
- 時給が直接雇用のパートより高めに設定される傾向がある
- 働く曜日・時間を派遣契約で決めるため、契約外の業務や残業が発生しにくい
- 雇用主は派遣会社なので、シフト減やキャンセルによる収入変動の影響を受けにくい
- 職場が合わない場合、派遣会社の担当者に相談して就業先を変えられる
訪問先で困りごとがあっても、事業所に直接は言いにくいものです。派遣会社経由で伝えられる仕組みは、1人で動く訪問介護では心強い存在です。派遣という働き方全体の利点は介護派遣で働くメリット7つで詳しく解説しています。
働く前に知っておきたい注意点
一方で、訪問介護の派遣には次の注意点があります。
求人数は施設派遣より少ない
訪問介護は1人で利用者宅を回る仕事のため、事業所側は勤務が安定する直接雇用を優先する傾向があります。施設派遣と比べると求人数は少なめで、エリアによっては選択肢が限られます。社員登用を前提とする紹介予定派遣の形で募集されるケースもあります。複数の派遣会社に登録して募集を待つ工夫が必要です。
単発・1日だけの働き方は原則できない
労働者派遣法では、雇用期間が30日以内の「日雇派遣」が原則禁止されています。訪問介護に限らず、派遣は一定期間の契約で働く仕組みです。ただし、次のいずれかに当てはまる方は例外として単発の派遣でも働けます。
- 60歳以上の方
- 雇用保険の適用を受けない昼間学生
- 本業の年収が500万円以上で、副業として働く方
- 世帯年収が500万円以上で、主たる生計者ではない方
例外に当てはまらない方がすきま時間に単発で働きたい場合は、派遣ではなくスキマバイトアプリなど別の選択肢を検討しましょう。
同じ事業所で働けるのは最長3年
派遣には、同じ事業所の同じ部署で働けるのは最長3年までという「3年ルール」があります。長く同じ利用者を担当し続けたい方は、直接雇用への切り替えも視野に入れておきましょう。詳しくは介護派遣の3年ルール解説をご覧ください。
登録ヘルパーとの違いを比較
訪問介護で非常勤として働く場合、派遣のほかに「登録ヘルパー」という直接雇用の働き方があります。違いを表で整理します。
| 項目 | 派遣 | 登録ヘルパー(直接雇用) |
|---|---|---|
| 雇用主 | 派遣会社 | 訪問介護事業所 |
| 給与の支払い | 派遣会社から時給で支払い | 事業所から支払い(訪問1件ごとの時給が中心) |
| 収入の安定性 | 契約した時間分が基本のため安定しやすい | キャンセルや件数の増減で変動しやすい |
| 働き方 | 契約した曜日・時間でまとめて勤務 | 1件ごとの訪問を組み合わせて勤務 |
| 困ったときの相談先 | 派遣会社の担当者 | 事業所のサービス提供責任者 |
収入の安定と第三者への相談しやすさを重視するなら派遣、1件単位で自由に件数を調整したいなら登録ヘルパーが向いています。
訪問介護の派遣求人を探すには
訪問介護の派遣で働く流れはシンプルです。
- 派遣会社に登録し、保有資格と「訪問介護を希望」と伝える
- 紹介された事業所と職場見学(顔合わせ)を行う
- 派遣契約を結び、就業開始
前述のとおり求人数は多くないため、介護に強い派遣会社を2~3社併用すると出会える求人が増えます。資格・訪問経験の有無、希望エリア、働ける曜日を具体的に伝えておくと、募集が出たときに声がかかりやすくなります。
まとめ:資格があれば訪問介護は派遣で働ける
訪問介護は派遣禁止業務ではなく、派遣で働けます。働けないのは訪問看護などの医療関係業務です。ただし訪問介護員には初任者研修以上の資格が必須です。単発勤務ができない・同一事業所は最長3年といった派遣共通のルールもあります。
時給の高さと収入の安定、派遣会社という相談先があることは、1人で動く訪問介護と相性のよい仕組みです。資格をお持ちの方は、選択肢の1つとして検討してみてください。
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