介護の夜勤は、1回16時間前後の2交代制が主流です。休憩は労働基準法で決まっており、労働8時間超なら60分以上が必要です。夜勤手当は1回4,000円~8,000円程度が目安で、施設によって差があります。
この記事は、これから介護の夜勤で働く人・検討中の人に向けた完全ガイドです。2交代と3交代の違い、16時間夜勤のスケジュール例、明けの過ごし方まで整理しました。読み終えるころには、自分に合う夜勤の働き方を判断できるはずです。
記事でわかること
介護の夜勤の基本|2交代制と3交代制の違い
結論から言うと、介護施設の夜勤はほとんどが2交代制です。日本医労連の2024年介護施設夜勤実態調査(労働政策研究・研修機構の紹介ページ)では、2交代制を導入する施設が88.4%でした。まずは2つの勤務形態の違いを押さえましょう。
2交代制:1回16時間前後の長い夜勤が主流
2交代制は、1日を日勤と夜勤の2つに分ける形です。夜勤は夕方16時30分ごろに始まり、翌朝9時30分ごろに終わります。拘束時間は16~17時間で、途中に休憩と仮眠を挟みます。
同調査では、2交代夜勤を行う施設の84.8%が16時間以上の勤務でした。1回の負担は大きい一方、出勤回数が少なく済む働き方です。シフト上は「夜勤入り」と「明け」で2日分と数えるのが一般的です。明けの翌日が休みになる組み方が多く、連休のように使えます。
1日8時間の原則を超えるため、多くの施設は1か月単位の変形労働時間制(月の合計で労働時間を調整する仕組み)でシフトを組んでいます。
3交代制:8時間ごとに交代する夜勤
3交代制は、日勤・準夜勤・深夜勤の3つに分ける形です。準夜勤は16時ごろから深夜0時すぎまで働きます。深夜勤は0時ごろから朝9時ごろまでの勤務です。
1回の勤務は8時間程度で、体への負担は比較的軽くなります。ただし出勤回数が増え、生活リズムは細切れになりがちです。病院や一部の大規模施設で採用されています。
2交代制と3交代制の比較表
| 項目 | 2交代制 | 3交代制 |
|---|---|---|
| 夜勤の時間帯の例 | 16:30~翌9:30(16時間前後) | 準夜勤16:00~翌0:30/深夜勤0:00~9:00 |
| 1回の実働時間 | 14時間前後+休憩約2時間 | 7~8時間+休憩45~60分 |
| 夜勤回数の目安 | 月4~5回 | 月8回程度(準夜・深夜の合計) |
| 仮眠 | 休憩内で仮眠を取る施設が多い | 仮眠なしが基本 |
| 夜勤手当の目安 | 1回4,000円~8,000円程度 | 1回3,000円~5,000円程度 |
| 向いている人 | 出勤回数を減らしてまとめて働きたい人 | 1回の負担を軽くしたい人 |
「宿直」と「夜勤」の違い
夜勤と似た言葉に「宿直」があります。両者は労働基準法上の扱いがまったく異なるため、混同は禁物です。
夜勤は、夜間に行う通常の労働です。労働時間・休憩・割増賃金のルールがすべて適用されます。
宿直は、緊急時に備えて泊まるだけの当番勤務です。定期的な見回りや電話の取り次ぎ程度で、ほとんど労働がない状態が前提になります。労働基準監督署長の許可を受けた場合にだけ認められる例外的な勤務です(労働基準法41条)。
介護施設の夜勤は、コール対応や排泄介助が続く通常の労働です。「宿直だから手当は少額でよい」という扱いにはなりません。求人票では、宿直と夜勤のどちらの募集なのかを必ず確認しましょう。
夜勤の休憩・仮眠は労働基準法でどう決まっている?
休憩の最低ラインは労働基準法34条で決まっています。長時間の夜勤ほど、休憩を実際に取れるかどうかが体調を左右します。法律の基準と16時間夜勤の実態を分けて見ていきましょう。
休憩は労働6時間超で45分以上・8時間超で60分以上
労働時間が6時間を超える場合は、45分以上の休憩が必要です。8時間を超える場合は、60分以上を労働時間の途中に与えます。根拠は厚生労働省「休憩時間は法律で決まっていますか。」で確認できます。
注意したいのは、法律上の最低限は「8時間超で60分」で頭打ちという点です。16時間働いても、労働基準法が求める休憩は60分のままです。そのため多くの施設は、就業規則で2時間前後の休憩を独自に設定しています。求人票や労働条件通知書で休憩時間の長さを確認しましょう。
仮眠中もコール対応があるなら「労働時間」
休憩は、仕事から完全に離れられる時間でなければなりません。コールを待ちながらの待機は、休憩ではなく労働時間(手待ち時間)です。
仮眠も同じ考え方です。仮眠中でも対応が義務付けられていれば労働時間にあたる、とした最高裁判例があります(大星ビル管理事件・2002年)。
実態として、休憩や仮眠を取りにくい職場もあります。前述の医労連調査では、仮眠室のない施設が32.7%でした。2交代で1人夜勤となる職場も67.1%にのぼります。職場選びでは、夜勤の人数体制と仮眠室の有無まで確認すると安心です。
深夜帯(22時~朝5時)は25%以上の割増賃金
22時から翌朝5時までの労働には、深夜割増が付きます。通常の賃金の25%以上を上乗せすることが法律上の義務です(労働基準法37条)。
深夜割増は、施設が任意で決める夜勤手当とは別の仕組みです。求人票の「夜勤手当」に深夜割増を含むかどうかは施設で異なります。面接や労働条件通知書で内訳を確かめておきましょう。
夜勤1回の流れ|16時間夜勤のタイムスケジュール例
夜勤の業務は、就寝介助・巡回・排泄介助・起床介助が中心です。日勤より職員が少なく、1人で判断する場面が増えます。日勤も含めた介護職の仕事内容の全体像とあわせて見ると、違いがつかめます。
以下は特別養護老人ホームなどでよくある16時間夜勤の一例です。時間配分は施設の種類や人員配置によって変わります。
| 時刻 | 主な業務 |
|---|---|
| 16:30 | 出勤/日勤者からの申し送り(利用者の体調共有) |
| 17:30 | 夕食の配膳・食事介助・服薬確認 |
| 19:00 | 口腔ケア・着替え・就寝介助 |
| 21:00 | 消灯/巡回開始・介護記録の記入 |
| 22:00~翌5:00 | 1~2時間おきの巡回・体位変換・排泄介助・コール対応 |
| 0:00~4:00 | この間に交代で休憩・仮眠(合計2時間程度の施設が多い) |
| 5:00 | 起床介助・洗面・排泄介助 |
| 7:00 | 朝食の配膳・食事介助・服薬確認 |
| 8:30 | 日勤者への申し送り・記録の仕上げ |
| 9:30 | 退勤(夜勤明け) |
ポイントは、忙しさの山場を先に知っておくことです。夕食後の就寝介助と、朝5時からの起床介助が特に立て込みます。深夜帯は見守りと記録が中心ですが、急変や転倒などの緊急対応に備える時間でもあります。
介護の夜勤手当の相場はいくら?(目安)
夜勤手当は法律で金額が決まっておらず、施設ごとの差が大きい手当です。断定はできませんが、調査からおおよその目安は示せます。
日本医労連の2021年介護施設夜勤実態調査では、2交代夜勤の手当は正規職員の平均で1回5,976円でした。3交代は準夜勤3,630円・深夜勤4,325円です。この結果を踏まえると、2交代は1回4,000円~8,000円程度が目安になります。3交代は1回3,000円~5,000円程度が目安です。
仮に手当6,000円で月4回の夜勤に入ると、月24,000円の上乗せです。さらに深夜割増や時間外手当が加わるため、夜勤の有無は月収を大きく左右します。基本給や賞与も含めた全体像は介護の給料・年収の記事で確認できます。
求人を比べるときは、手当の金額だけで判断しないことが大切です。深夜割増を含んだ表示なのか、夜勤回数の上限があるのかで手取りは変わります。
夜勤明けの過ごし方|睡眠・食事・太らない工夫
夜勤を長く続けられるかは、明けの過ごし方でほぼ決まります。ポイントは「寝すぎない仮眠」と「食べすぎない食事」の2つです。今日から使える工夫を紹介します。
睡眠:帰宅後の仮眠は90~120分にとどめる
夜勤明けに夕方まで眠ると、その夜に眠れなくなります。帰宅後の仮眠は90~120分程度で切り上げるのが目安です。そのぶん夜はいつもの時間に就寝し、リズムを戻します。仮眠と夜の睡眠を合わせて、ふだんと同じ睡眠時間を確保する考え方です。
眠りの質を上げる工夫も効きます。遮光カーテンやアイマスクで部屋を暗くしましょう。寝る直前のスマホ操作とカフェインは避けたほうが無難です。
夜勤前の準備も睡眠の一部です。出勤前に1~2時間の仮眠を取ると、深夜帯の眠気がやわらぎます。
食事:夜勤中は軽めに、明けのドカ食いを避ける
夜勤のある生活では「太った」という声が少なくありません。原因の多くは、深夜の間食と明けの高カロリーな食事です。
夜勤中は、おにぎりやスープなど消化の良いものを少量ずつ食べます。菓子パンやスナック菓子を持ち込まないだけでも変わります。明けの食事は軽めにして、揚げ物やラーメンを毎回の習慣にしないことが大切です。
夜勤明けの過ごし方チェックリスト
明けの日にそのまま使えるチェックリストです。いくつ実行できているか数えてみてください。
- 強い眠気があるときは車・バイクの運転を避けた(公共交通機関などを利用)
- 帰宅後の仮眠は90~120分程度で切り上げた
- 遮光カーテンやアイマスクで部屋を暗くして眠った
- 明けの食事は消化の良いものを軽めにした
- 寝る前のカフェインやアルコールに頼らなかった
- 夜はいつもと近い時間に布団に入った
- 予定を詰め込みすぎず、体の回復を優先した
アルコールは寝つきを良くするようで、眠りを浅くします。「明けの一杯」が習慣になっている人は、回数を減らすことから始めましょう。
夜勤専従という働き方|収入と健康管理
夜勤専従は、夜勤だけに絞って働くスタイルです。回数がまとまるぶん手当が積み上がり、収入を伸ばしやすくなります。日中の時間を自由に使いたい人にも向いています。
夜勤専従のメリットと収入イメージ
- 夜勤手当×回数で月収が上がりやすい(例:6,000円×10回で60,000円)
- 22時~5時の勤務には深夜割増(25%以上)が必ず付く
- 出勤回数が少なく、日中を通院・育児・学業・副業に使える
- 日勤との行き来がなく、生活リズムを夜型に固定しやすい
回数は月8~12回程度の求人が多く見られます。法律上の明確な回数上限はないため、契約内容と体調に合わせて調整する形になります。
健康管理と続けるための注意点
深夜業を含む業務に常時就く人には、6か月以内ごとに1回の健康診断が義務付けられています(労働安全衛生法に基づく特定業務従事者の健康診断)。年1回ではない点が日勤との違いです。必ず受けて、体重や血圧などの変化を確認しましょう。
収入を優先して回数を増やしすぎるのは危険です。眠れない・食欲がないといったサインが続くなら、回数を減らす相談をしてください。健康を削る働き方は、長い目で見れば収入も安定しません。無理のない回数で続けることが、結果的にいちばん稼げる働き方です。
まとめ|夜勤を正しく知って、自分に合う働き方を選ぶ
介護の夜勤は2交代制(1回16時間前後)が主流です。休憩は労働基準法34条により、労働8時間超で60分以上が最低ラインです。夜勤手当は1回4,000円~8,000円程度が目安で、施設によって差があります。
今日からできるアクションは次の3つです。
- 気になる求人の夜勤形態(2交代/3交代/宿直)と手当の内訳を確認する
- 休憩・仮眠の取り方と、1人夜勤かどうかを面接で質問する
- 夜勤明けチェックリストを試して、自分の回復パターンをつかむ
夜勤には負担もありますが、収入と時間の自由度を高められる働き方です。正しい知識と休み方をセットにして、無理なく続けられる職場を選びましょう。
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