介護のニュースについて紐解いていくべく記事の執筆を担当させていただきつつ、ブログの運営と主任介護支援専門員の二足の草鞋で活動も継続中、居宅ケアマネとして奮闘中の
【公式】ケアマネ介護福祉士(【公式】ケアマネ介護福祉士 (@BWm7LDaUhfW1TPC) / X)と申します。
ご好評いただいているため、連載2年目に突入!!
ご感想をお待ちしております。
そんな連載44回目はコチラの記事について考えていきましょう⇩⇩
今年度の補正予算が成立した。16日の参議院本会議で、自由民主党、日本維新の会、国民民主党、公明党などの賛成多数で可決された。【Joint編集部】
政府は今回の補正予算に、介護現場の窮状を踏まえた「支援パッケージ」の財源として2721億円を計上した。
これを使い、幅広い介護従事者の賃金を月1万円、介護職員の賃金を最大で月1.9万円引き上げる補助金を支給する。
事業所・施設にも補助金を出す。例えば、物価高騰の影響を受けている訪問介護・通所介護などの移動経費を補助するほか、施設には食事提供の補助として定員1人あたり1.8万円を支給する。今後、厚生労働省はこうした補助事業の実施要綱などを通知する方針で、関係者は「速やかに発出したい」と話した。
臨時国会で決定した2721億円の追加予算とその使い道
通常であれば介護保険の報酬というものは3年に1度の改正により報酬金額が決まります。
次回は令和9年度の法改正まで報酬等は変わらない予定ではありました。
ただ、介護、医療、障害分野は国からの報酬が収入になっているので、物価が上がろうが入ってくるお金は一緒。
値上げも出来ないというのが現状でした。
ただ、その中で今年は物価高騰の嵐。
食材費、消耗品費、水道光熱費、移動費。
ありとあらゆる物が上がり続けました。
そのうえで人件費も最低賃金の引き上げで採用にかかるコストも大きく上昇。
おかげで、介護報酬が前回の改定により減った訪問介護事業所は令和7年度は過去最高の100件以上が倒産の見込み。
さらに、介護事業所の倒産はほとんどが事業規模30人以下の小規模だったのに、今年は中規模の従業員数がいるところの倒産も増えてきています。
このまま令和9年度まで報酬改定を待っているのでは介護事業所の倒産が止まらない。
という流れで臨時国会で2721億円を使って介護業界を一刻も早く立て直そうという流れです。
ではその使い方を用途別に見てみましょう。
介護業界に関わる従業員全てに広く1万円の給与アップではない
まず、最低賃金も上がって、他産業に比べ介護業界の給料が相対的に低くなった影響を受け、人員確保が難しくなりました。
それに対抗するため、広く介護業界に関わる人たちへ処遇改善加算として一人1万円を
給付するという事になりました。
これは介護職員だけでなく広く分配できる方式となりましたが、職員一人に対して1万円が給付されるという所ですが、今までの処遇改善加算と違う所は必ず分配に差を付けなければいけないわけではないという所。
つまり、全員が一律1万円を受け取ることも可能ですし、事業所独自の分配ルールを作成することも問題ないという所ですね。
パート社員さん等に関しては、扶養内で働くために、年間23万円をもらうと働く時間を更に調整しなければいけない。
そんな人もいるでしょうから基本的には一律分配という事業所は少ないのかなと思う所ではあります。
ただ、一律1万円配る事業所がほとんどになるかといえば、その逆で、おそらくある程度分配に差をつける企業が増えるだろうという所ではあります。
これが今回話題になっている補助金の1階建て部分といわれる部分ですね。
介護職員の1.9万円のうち、5000円も自由分配
こちらに関しても、介護職員が1.9万円をもらえるという見出しが出回っていますが、そのうちの1万円は上記の通り、介護業界に努める人一人に対して1万円の補助を出すという事。
更に1.9万円のうち、5000円も介護職員一人に対して5000円の補助を出すというだけ。
分配に関しては自由となっているため、
①そのまま5000円を均等に介護職員へ分配する事業所
②差をつけて介護職員にのみ分配する事業所
③ケアマネ、事務、セラピスト等の他職種へも分配する事業所
に分かれるでしょう。
これが今回の補助金として2階建てといわれる部分です。
4000円は給与に必ず上乗せする必要性はない
更に4000円部分に関しては、職員の給与に必ず反映する必要はない、介護職員一人あたり4000円の補助金です。
もちろん4000円を介護職員にそのまま配るも可能ですが、他の業種に配ることも可能です。
賃上げを行った分の企業が支払う社会保険料増加分に充てたり、介護休業制度の拡充、整備等にかかる費用や、研修の実施等に支払うことが可能となっている補助金。
これが3階建てといわれる部分です。
介護職員全員が1.9万円の補助金がもらえるは幻だが、それ以上もらう職員も
ここまでの説明で、一律1.9万円をもらえることはほぼ幻であることが分かったかとは思います。
ただ、均等分配をしないという事は1.9万円以上もらう介護職員も一定数出てくることは確実でしょう。
今回の補助金の性質上、介護職員比率が高く、臨時、パート職員が多い事業所ほどその可能性が高くなります。
具体的には、訪問介護事業所しかない企業で介護職員数が30人以上かつ、パートや契約社員が多いとかであれば事務職や他の業種が少ないため、正社員の介護職員は1.9万円以上をもらえる可能性が高まりますね。
逆に医療法人で介護職員として働いている方なんかは他の業種へ補助金が分配される可能性が高いため、1.9万円をもらうことがほとんどできないと予測されます。
企業側は精度設計と説明会の準備、申請の書類作成で一気に追い込まれる
今回の補助金はもちろん黙っていてもらえるものではなく、この補助金をもらうためには国に申請をしなければいけません。
今までの処遇改善加算と同様、複雑な申請書の作成、場合によっては行政書士への補助金獲得のための書類作成依頼が必要なものとなります。
また、補助金を均等分配する事業所はほとんどないでしょうから、処遇改善加算と同様の分配するランク設計をしなければならない。
実際に給付するためには職員一人一人へ説明をするか、説明会を開き、職員全員に周知するかの必要が出てきます。
企業側はその準備に追われることでしょう。
そもそも申請しない事業所や補助金をもらえない事業所もある
ここで大きな支障となる部分は、企業側はこの補助金を得るための申請について大きな負担がかかるという事。
処遇改善加算という似たような制度はあるものの、今回の補助金は性質上異なるもののため、申請方法や申請に必要な書類の準備も変わるでしょう。
行政書士に依頼するにしても多額の費用と、丸投げではいけないので行政書士に言われた書類を準備する必要があるでしょう。
また、ここで大きな問題となるのは2階建て部分の介護職員5000円分と3階建て部分の4000円。
これに関しては、申請書を出してももらえない可能性がありますね。
もらえない事業所はどのような所か?
分かりやすく説明していきましょう。
2~3階建て部分はケアプランデータ連携システムがほぼ必須
企業側にとって、この補助金を申請するにあたり大きなハードルとなるものは2つ。
膨大になるであろう初めての補助金申請に関わる事務コスト。
そしてもう一つは2~3階建て部分の補助金申請に必要条件となっているケアプランデータ連携システムの導入及び運用ですね。
そもそもケアプランデータ連携システムという単語自体を聞いたことがないかもしれない事業所さんも多いかもしれません。
ケアプランデータ連携システムの導入率は2025年8月末で9%…。
現状、話にならないくらいの状況です。
他にも業務効率化を行っている事業所という事で介護ソフトの利用や、現場でのICT機器導入という事ではありますが、すでに導入している事業所がほとんど。
いくつか事例はあるものの、導入しても補助金の申請要件に引っかかるかどうかが今のところは微妙な形。
しっかりと1.9万円の補助金を取りに行くならケアプランデータ連携システムの導入が必須となっている形ですね。
ケアプランデータ連携システムの導入に関しては、厚労省への届け出を電子データで送る、許可を受けた後のシステムを運用するために必要なセットアップ。
そして定期的な運用までに必要なフローを決めていくという所でしょう。
こちらは、補助金申請のように行政書士へ丸投げできるような企業がないものの、行政からの補助金を使って、ケアプランデータ連携システムの導入を支援している所がいくつかあり地域によってはタダカヨ等の力を借りて丸投げできるようですが、多くは自力で導入する必要性があります。
訪問介護事業所で働く正社員は1.9万円以上の補助金が支給されると語った一方で、このような補助金申請や新たなシステムの導入や運用に関しては小規模事業所であること、ICT化を進められる人材がいないという状況が多い訪問介護事業所などはケアプランデータ連携システムの導入を断念し、補助金申請自体を行わないところが出てくでしょう。
また、補助金の金額から比べればそれほど大きくないものにはなりますが、ケアプランデータ連携システムの導入後はシステムのランニングコストが年間2万円ほどとなりますので、従業員数が少なければ少ないほど、このコストを敬遠し、システム導入を見送る事業所も出てくるでしょう。
また、今までは介護職員を中心とした人件費の高騰に対する補助金の説明を行いましたが、もう一つ。
物価高騰に合わせた運営事業所への補助金を紐解いていきましょう。
物価高騰に合わせた移動費の補助が決定
こちらは物価高騰に対して、事業所側への補助金となっています。
人件費に関しての補助金は国が運営するため詳細な金額が決まりましたが、こちらの移動費に関しては市町村が委託を受けて補助金を分配する形をとるようで詳細な金額はまだ決定していません。
ただ、今までの流れで分配方法自体は
①定額スライド方式
事業所の規模や訪問回数に応じて、「1事業所あたり月○万円」と定額支給。
②実費・走行距離連動方式
「1km走行につき○円」や「ガソリン代高騰分(1リットルあたり○円)」を算出。
③車両台数合算方式
登録している車両1台あたり月○千円で算定。
のいずれかかと思われますね。
働く職員側として注意すべきところは、②の実費計算になる場合。
この場合は今まで以上に運行記録等が重要になってきますし、場合によっては新たに運行記録用のGPS管理デバイスが社用車に取り付けなければならない、アプリでの走行記録アプリの導入等、何らかの負荷がかかる可能性があり得ます。
食事代の補助は定員×1.8万円
これが今回の補助金の中で大きな目玉になるのかなという所。
分かりやすくデイや入居の定員×定額というわかりやすい補助金ですね。
昨今は食事費用の赤字を減らすべく、明らかに冷凍食材を使っている所がほとんどになり、地域の野菜を使って、炊き立て作り立てを提供するところがガクッと減りました。
場所によっては立派な厨房設備があるにもかかわらず、セントラルキッチンで製造されたゼロクックのお弁当を出すところもすごく増えましたね。
食事の質は確実に低下していた所で、この補助金はわかりやすいうえにすごくありがたい補助金となっております。
ただ、このあたりの申請においての注意点を確認しましょう。
事業所への補助は市町村への申請方式がゆえスピードが重要
最大の注意点は事業所へのガソリン代、食事代などは市町村への申請方式となる可能性が非常に高いという所。
国への申請であれば、ネットニュースになったりSNSを眺めたりとで経営者も補助金自体を確認しやすい。
これが市町村への補助金となれば申請方式や期間、必要な書類が自治体ごとに異なることが確定します。
また、市町村の受け付け期間は一般的に短く設定されていることが多く、気づいたら申請期間が終わっていたなんてことになりかねない。
もちろん、行政側から申請の促すをするような文章や連絡が来ることもない。
短い期間に合わせ書類の作成を行う必要があり、申請に必要な書類やデータを用意することも併せて行わなければいけません。
経営者の手腕と判断が試される補助金
今回の補助金に関しては、処遇改善とは異なる新しい補助金。
また、令和9年には報酬改正によりまた新たな補助金申請やルール変更に合わせる必要が出てきます。
法改正までの1年間しかもらえない補助金のために膨大な事務作業やコストを支払ってまで申請するのか?
申請したところで、通るのか?
通った後に、従業員の多くが納得できる分配金と説明を設定できるか?
処遇改善加算同様に職員の多くが不満を抱えるような分配方法を設定するくらいなら、コストをかけて申請しない方が得か?
他の近隣事業所が補助金を獲得した場合、大きく採用面で劣り、大きな弊害がでてこないか?
この辺りを考えたうえでどう動くのかはその経営判断となるでしょう。
どういった判断を下すのかはその地域の動向や経営者の判断次第です。
この記事を見て、自身の会社がどのパターンで動くのか?
どういった経営状況なのかを考えるのも大きな成長のきっかけになるかもしれませんね。
この記事を書いた【公式】ケアマネ介護福祉士のプロフィール
大規模法人にて、グループホーム、老人保健施設、通所リハビリテーションにて介護職員として従事。
経験を活かしながら介護支援専門員(ケアマネジャー)を取得し8年ほど従事。
その後自身の転居をきっかけに、相談員、介護職員を兼務しながら施設ケアマネとして5年間勤務。中間管理職を経て居宅ケアマネへ転身。
現在は主任介護支援専門員として日々子育てと仕事に全力で奮闘中。同時にブログも運営中。
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