LD(学習障害)とは?特性や治療方法、配慮の仕方を知ろう

この記事は、放課後等デイサービスや児童発達支援などで発達障害の支援に関わる方に向けたものです。LD(学習障害)とは何かを、定義・3つのタイプ・原因・支援の方法・相談先まで解説します。保護者への言い換えや現場での配慮にも使える内容を、2026年7月時点の最新情報でまとめました。

LDは、全般的な知的発達に遅れはないのに、特定の学習だけに著しい困難を示す発達障害のひとつです。

この記事でわかること

  • LD(学習障害)とは何か(教育と医学の定義)
  • 読み・書き・算数の3つのタイプ
  • LDの原因と特性の具体例
  • 学校・職場での支援と合理的配慮
  • 診断・相談先

LD(学習障害)とは?

LD(Learning Disabilities:学習障害)とは、特定の学習だけに著しい困難を示す状態を指します。文部科学省の定義では、「基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く・話す・読む・書く・計算する・推論する能力のうち、特定のものの習得と使用に著しい困難を示すさまざまな状態」とされます。背景には中枢神経系の何らかの機能障害があると推定されています。視覚・聴覚・知的障害や環境的な要因が直接の原因となるものではありません。

一方、医学の分野では、2013年のDSM-5以降、「限局性学習症(SLD:Specific Learning Disorder)」と呼ばれます。DSM-5-TR(米国精神医学会の診断基準。日本語版は2023年刊行)でも、訳語は「限局性学習症」です。教育上のLDが「聞く・話す・推論する」まで含むのに対し、医学のSLDは読み・書き・算数の3領域に限られるという違いがあります。

LDの3つのタイプ

医学的には、LD(限局性学習症)は次の3つのタイプに分けられます。

タイプ 主な困難
読字の困難(ディスレクシア) 文字を正確に・なめらかに読むのが難しい。たどり読み、行の読み飛ばし、似た文字の読み間違いなど。
書字の困難(ディスグラフィア) 文字を正しく書く、筋道立てて文章を書くのが難しい。誤字脱字、書き写しの苦手さなど。
算数の困難(ディスカリキュリア) 数の概念や計算、数的な推論が難しい。数の大小がわかりにくい、繰り上がり計算が苦手など。

読字の困難は、書字の困難を伴うことが多いです。あわせて「発達性読み書き障害」と呼ばれることもあります。

LDの原因と特性

LDの背景には、中枢神経系の何らかの機能障害があると考えられています。大切なのは、本人の努力不足や、家庭のしつけ・育て方が原因ではないという点です。知的発達に遅れはないため、「やればできるはず」と誤解されやすい面があります。本人が「自分はだめだ」と自信を失ってしまうことも少なくありません。

特性は、知的な遅れがないのに特定の領域だけが著しく苦手という「アンバランスさ」として表れます。たとえば、話すのは流暢なのに音読が極端に苦手、図形は得意なのに計算でつまずく、といった形です。周囲が特性を正しく理解し、本人に合った方法で学べるようにすることが大切です。

子どもにどのくらいいる?(文部科学省の調査)

支援を必要とする子どもは少なくありません。文部科学省が2022年(令和4年)に公表した調査では、通常の学級に在籍する小中学生のうち、「学習面または行動面で著しい困難を示す」とされた児童生徒は8.8%でした。そのうち「学習面で著しい困難」は6.5%です。高校でも初めて調査が行われ、2.2%という結果でした。

ただし、この調査は担任の教員の回答にもとづくもので、医師の診断によるものではありません。そのため「LDのある子どもの割合」そのものではなく、「特別な教育的支援を必要とする児童生徒の割合」を示す数字です。この点には注意が必要です。

LDの支援と合理的配慮

LDのある人には、特性に合わせた支援や配慮が有効です。

  • 学校での支援:通級による指導や特別支援教育、個別の教育支援計画の作成など。タブレットの読み上げ機能や音声入力といったICTの活用、文字を読むのが難しい子への音声教材の提供も進んでいます。
  • 合理的配慮:2024年4月から、改正障害者差別解消法により民間事業者にも合理的配慮の提供が義務化されました(合理的配慮とは、障害のある人の困りごとを取り除くため、一人ひとりに応じて行う調整のこと)。試験での時間延長やツールの使用許可などが求められます。
  • 大人のLDへの工夫:職場では、手順を図や絵で示す、表計算ソフトで計算を自動化する、電卓や録音機などのツールを使う、といった工夫が役立ちます。

LDは発達障害者支援法(2005年施行、2016年改正)で、自閉症やADHDと並ぶ発達障害として位置づけられています。状況によっては精神障害者保健福祉手帳の対象となり、障害者就労支援を利用できる場合もあります。ADHDなど他の発達障害については、ADHDとは?の記事もあわせてご覧ください。

LDの診断・相談先

LDかもしれないと感じたときの相談先には、次のようなところがあります。

  • 医療機関:児童精神科・小児神経科など。
  • 発達障害者支援センター:各都道府県・指定都市に設置され、相談・発達支援・就労支援などを行う。
  • その他:保健センター、精神保健福祉センター、教育センターなど。

早めに相談し、特性を理解したうえで適切な支援につなげることが、本人の力を伸ばす近道です。

保護者への伝え方と家庭・現場での声かけ例

結論として、LDの支援では「特性をどう伝えるか」「どう声をかけるか」が支援の質を左右します。放課後等デイサービスや児童発達支援の現場では、保護者に専門用語をそのまま使うと不安を与えがちです。やさしい言葉に置き換えて伝えましょう。

専門的な説明 保護者へのやさしい言い換え
読字の困難(ディスレクシア)があります 頭の良さとは別に、文字を読む部分だけが苦手なお子さんです
努力不足やしつけが原因ではありません 本人のがんばりやご家庭の育て方のせいではありません
合理的配慮として時間延長やICTを使います 苦手をうめる道具や工夫を、その子に合わせて用意します

子ども本人への声かけは、できないことを責めず、特性に合った方法を一緒に探す姿勢が大切です。たとえば次のような言葉が役立ちます。

  • 音読でつまずく子に「ゆっくりでいいよ。指で押さえながら読んでみよう」
  • 書くのが苦手な子に「字の形より、言いたいことが伝わればまる。タブレットで書いてもいいよ」
  • 計算が苦手な子に「電卓を使うのはずるくないよ。答えが合うことが大事だね」

家庭でできる工夫もあわせて伝えると、保護者は安心します。読み上げ機能の活用、宿題の量の調整、できたことを具体的にほめる、などです。支援者と家庭が同じ方向を向くことが、子どもの自信を守る近道です。発達支援の制度や相談先はこども家庭庁のサイトもあわせて確認してください。

よくある質問(FAQ)

Q. LDと知的障害は違うのですか?

A. 違います。LDは全般的な知的発達に遅れがないのに、読み・書き・計算など特定の学習だけに著しい困難がある状態です。知的障害とは区別されます。

Q. LDは大人になってから気づくこともありますか?

A. あります。子どものころは見過ごされ、就職後に書類作成や計算などの困難で気づくケースもあります。職場での工夫や合理的配慮が助けになります。

Q. LDは治りますか?

A. LDは「治す」ものというより、特性を理解し、合った学び方や道具で困難を補っていくものです。適切な支援で、能力を十分に発揮できます。

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まとめ

LD(学習障害/限局性学習症)とは、知的発達に遅れはないのに、読み・書き・計算など特定の学習に著しい困難を示す発達障害です。読字・書字・算数の3つのタイプがあります。原因は中枢神経系の機能障害と考えられ、本人の努力不足やしつけの問題ではありません。学校や職場での合理的配慮(2024年4月から民間も義務化)やICT活用が支援の鍵です。特性を正しく理解し、早めに相談・支援につなげることが大切です。

「発達障害の支援に関わる仕事がしたい」「福祉・教育の分野で働きたい」という方は、お気軽にご相談ください。

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※本記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。制度・調査などの最新情報は公式情報をご確認ください。