介護食士の仕事内容とは? 資格の取り方、活かせる職種を分かりやすく解説

  • 介護食士の資格取得方法、得られる知識とは?
  • 資格を活用して働ける職場とは?

介護に携わる仕事は、身体介護のように直接利用者の身体に触れて行う仕事ばかりではありません。
介護が必要な方の食生活を支えるためには、食に関する知識や技術を備えた人材も必要です。高齢者に食事を提供する仕事をしていると、「介護が必要な方が食べやすい、そして美味しい食事を作りたい」と考える人も多いのではないでしょうか。

介護食士は、介護食が必要な方に適切な食事を提供するスキルがあると証明できる資格です。今回は、介護食士の役割や仕事内容、資格の取得方法について分かりやすくご紹介します。

介護食士とは?

介護食士は、公益社団法人全国調理職業訓練協会が認定する民間資格です。高齢者の食事について学び、適切な食事形態について習得したことが証明できます。

年を重ねると、段々と食べることに難しさが出てきます。例えば、歯が抜けたり入れ歯が合わなくなったりして、咀嚼が十分に行えず固いものが食べにくくなることがあります。他にも、飲み込む力が低下して、頻繁にむせるなど、十分に栄養がとれなくなる可能性も高まってきます。

しかし、体力を維持し健康的な生活を送るには、食事は欠かせません。毎日の食事こそ楽しみだという高齢者も多く、食事は心身ともに影響を与えるとも考えられます。

介護食士は高齢者の心身の健康を食事からサポートする

ひと昔前までは、一般的に介護食に対する認識が今とは違っていました。食事形態もさほどバリエーション豊かではなく、少し食べることが難しくなったらすぐにミキサー食になる、というケースもありました。

自分で食べることが難しい要介護者には、おかずを全て混ぜてミキサーにかけて口に運ぶなど、決して楽しく美味しい食事とは言えないような提供方法も珍しくありませんでした。

しかし、昨今の介護食は、高齢者の心身の健康に大きな影響を及ぼすと認識されており、五感を使って楽しみながら安全に美味しく食べられることも重要視されています。

できるだけ自分で食事を口に運び、五感を使って味わいながら食べるという、食事本来の楽しさを要介護者も感じられるように、介護食士はその知識を使って日々の食事作りに活かします。

介護食士取得後の仕事内容とは

介護食士は食に関する資格の1つですが、職種としての位置付けは今のところありません。そのため、調理師や栄養士、管理栄養士、介護士の方がより介護食への知識を深めるために取得するケースが多いです。

調理師や栄養士として勤務する場合は、厨房で毎日の食事作りを行うことが主な仕事となります。もちろん、利用者それぞれの噛む力や飲み込む力によって、適切な食事形態にして提供したり、アレルギーや病気の治療によって制限がある方には代替メニューで対応するなど、全てが同じ状態で出せるわけではないため、注意しながら提供します。

グループホームや小規模多機能型居宅介護、訪問介護員などの介護士として勤務する場合は、その時にある食材を使って調理し、利用者個々に適切な食事形態にアレンジします。

近年では、介護施設が外食産業の食品を利用するケースも多いため、これらの会社で食事づくりに携わることも可能です。

介護食士になるためには

介護食士の資格を取得するには、下記の2通りの方法があります。

  1. 介護食士講座講習会を開講している学校に入学し受験する
  2. 一般の方を対象にした講習会を開講している学校で受講し受験する

講習会を開講している学校に入学する

調理師を養成する学校や、医療・福祉に関する学校の中には、介護食士講座講習会を開講しているところもあります。ただし、全ての学校で講習会が開催されているわけではないため、注意が必要です。

介護食士を目指すというよりは、その学校に通学する学生が調理師や医療・福祉専門職の資格取得に加えて介護食士も取得するケースがほとんどです。

講習会を受講する

調理師や医療・福祉に関する学校に入学しなくても、介護食士講座講習会に参加して資格取得を目指すこともできます。こちらは、一般の方でも受講可能です。

まずは、介護食士講座講習会を開講しているスクールを見つけることから始めましょう。介護食士には1級から3級までありますが、どの級を受講できるかはスクールにより異なります。また、日程もそれぞれ異なるため、スケジュールの調整が必要です。

スクールをお探しの方は全国調理職業訓練協会のHPより確認頂けます。

介護食士資格取得方法とは

先程も少し触れましたが、介護食士は1級から3級まであり、1級が最も高い等級となります。どの級にも共通しているのは、介護食士講座講習会を受講することと、筆記試験・実技試験において60点以上をクリアすることの2点です。

介護食士3級の取得方法

受講条件は特になく、誰でも受講可能です。学科25時間、実習47時間の講習を受けた後、試験をクリアすれば取得できます。

介護食士2級の取得方法

介護食士3級の保有者のみ受講できます。学科16時間、実習56時間の講習を受けた後、試験をクリアして取得できます。

介護食士1級の取得方法

介護食士2級の取得後、2年以上介護食調理業務に関わり、25歳以上であることが受講条件となります。学科32時間、実習40時間のカリキュラムで、他と同様に試験をクリアする必要があります。

受験資格
  • 介護食士2級の保有
  • 2年以上の介護食調理業務の経験
  • 25歳以上

介護食士資格を活かせる職種

介護食士は、主に高齢者に食を提供する人が取得を目指す資格です。介護施設等の厨房で働く調理師や管理栄養士、グループホーム等で働く介護士、介護食を扱う企業に就職したいと考える人など、幅広い方が資格取得に向いています。

まとめ

今回は、介護食士の役割や仕事内容、資格取得方法についてご紹介しました。
食事は、生活や健康と密接に関わり、心身に影響を及ぼします。毎日の食事を楽しく、そして安全に摂取できることはとても大事なことです。

「いつまでも美味しく食事をとりたい」そう願う人は多いでしょう。介護食士は、そう願う人々のために知識や技術が活かせる資格ではないでしょうか。