介護食士の仕事内容とは? 資格の取り方、活かせる職種を分かりやすく解説

この記事は、介護食士の資格を知りたい方や、食べやすい食事を作れるようになりたい方に向けたものです。読めば、資格の種類・受講要件・講習内容・取得方法・活躍の場が分かります。介護食士とは、高齢者や要介護者が食べやすく、栄養もとれる介護食を作るための知識と技術を認定する民間資格です。内閣総理大臣認定の公益社団法人全国調理職業訓練協会が認定しており、1級から3級までの区分があります。介護施設や病院の厨房だけでなく、在宅での食事づくりにも生かせます。情報は2026年7月時点の最新内容です。

この記事でわかること

  • 介護食士とはどんな資格か(認定団体と位置づけ)
  • 介護食士1級・2級・3級の違いと受講要件(一覧表で比較)
  • 各級の講習内容と72時間という講習時間の中身
  • 介護食士資格の取得方法と修了試験
  • 介護食士が活躍できる場と関連資格
  • 介護食づくりに欠かせない嚥下・栄養の知識

介護食士とは

介護食士とは、要介護者向けの食事を提供できる専門知識を学んだ人に与えられる資格です。公益社団法人全国調理職業訓練協会が認定しています。介護に携わる方たちの調理技術を向上させる目的で設けられた制度で、内閣総理大臣認定の公益事業として運営されています。

高齢になると、十分に食事をとることが難しくなる方が増えます。歯が抜けたり、義歯の調子が悪かったり、飲み込むときにむせてしまったりするためです。しかし食べることは、体に必要な栄養を満たすうえで欠かせません。要介護者にとって介護食は、生きていくためになくてはならないものです。そのため介護食の知識は、ホームヘルパーや栄養士、調理師、介護福祉士など、介護に携わる幅広い職種に役立つ知識として注目されています。

介護食士の資格には1級から3級まであります。級が上がるにつれて、より高度な医学的知識や献立作成の技術が求められます。特に3級は介護食の基礎を学べます。介護の仕事をしている方だけでなく、ご家族の食事づくりに役立てたい一般の方も多く受講しています。

介護食士の資格の種類と受講要件

介護食士は3級・2級・1級の3区分に分かれており、級ごとに受講要件が定められています。3級は受講要件がなく、どなたでも受講できます。2級・1級は、下の級を取得していることが前提です。各級の受講要件と講習内容を表で整理しました。

受講要件 講習時間(学科/実習) 主な学習内容
3級 受講要件なし(どなたでも受講可) 計72時間(学科25時間/実習47時間) 介護食士概論、高齢者の心理、医学的基礎知識、栄養学、食品学、食品衛生学、食べやすく飲み込みやすい介護食の調理
2級 介護食士3級を取得した方 計72時間(学科16時間/実習56時間) 医学的基礎知識、高齢者の心理、栄養学、食品学、食品衛生学、普通食からの展開方法、生活習慣病予防食
1級 介護食士2級を取得後、2年以上介護食調理の実務に従事した25歳以上の方 計72時間(学科32時間/実習40時間) 医学的基礎知識、高齢者にかかわる制度、栄養学、食品学、食品衛生学、栄養状態の判定、低栄養を考慮した献立作成、疾病を想定した調理

このように、3級は誰でも挑戦できる入り口の級です。2級は3級取得者、1級は2級取得後に2年以上の実務経験がある25歳以上の方が対象です。いずれの級も講習時間は72時間と充実しています。介護食の調理技術だけでなく、医学・心理・栄養・衛生といった幅広い知識を体系的に学べる点が特徴です。

3級で学ぶこと

3級では、おいしく、食べやすく、飲み込みやすい介護食の作り方を実習で身につけます。あわせて、高齢者の身体的機能の特徴や栄養素の知識、食品や調理の衛生に関する知識も学びます。介護食の基礎をひととおり押さえられるため、まずはここから始める方がほとんどです。

2級で学ぶこと

2級では、家族や施設の普通食を介護食へと展開する方法を学びます。あわせて、医学的基礎知識や食材の衛生管理を深め、生活習慣病の予防を意識した食事づくりも身につけます。日々の献立に応用しやすい実践的な内容です。

1級で学ぶこと

1級では、身体機能や疾病の異なるさまざまな方を想定した献立を作成し、調理する技術を実習します。栄養状態の判定や、低栄養に配慮した献立作成、食品と薬の関係なども学びます。介護食づくりのリーダー的な役割を担える、最も専門性の高い級です。

介護食士資格の取得方法

介護食士の資格を取る方法は、大きく2つあります。

  1. 講習会を開講している調理師専門学校などの学生となり、課程の中で受講する
  2. 一般の方を対象とした講習会を開講している施設(専門学校など)で受講する

講習会は、全国調理職業訓練協会の正会員校・賛助会員校で開講されています。調理師専門学校や短期大学などです。設備が整い、経験豊富な講師から直接学べる点が魅力です。ただし、開講している級や時期、一般向け講座の有無は施設によって異なります。最新の開講施設は協会の公式サイトで確認できます。受講を希望する場合は、お近くの施設に直接問い合わせましょう。

資格は、講習会を修了したあとの修了試験に合格すると取得できます。修了試験には筆記試験と実技試験があります。受験には、講習会への80パーセント以上の出席が必要です。筆記・実技ともに60点以上で合格となります。なお、受講料や教材費は施設ごとに設定されています。申し込み前に費用も確認しておくと安心です。

介護食士が活躍できる場

介護食士の知識と技術は、食事を提供するさまざまな現場で生かせます。主な活躍の場は次のとおりです。

  • 介護施設の厨房:特別養護老人ホームや介護老人保健施設、デイサービスなどで、利用者一人ひとりの状態に合わせた介護食を提供します。
  • 病院の給食部門:療養中の患者さんに、嚥下機能や疾病に配慮した食事を用意します。
  • 在宅介護の現場:ご家族の介護をしている方が、自宅で食べやすく栄養バランスのとれた食事を作る際に役立ちます。
  • 食品・宅配サービス:介護食や高齢者向け宅配食の開発・調理に関わる仕事でも、専門知識を生かせます。

介護食士は業務独占資格ではありません。この資格がないと働けないわけではないのです。しかし、介護食に関する体系的な知識と技術を証明できます。調理の現場での信頼につながり、キャリアの幅を広げる助けになります。介護や福祉の資格全体を見渡したい方は、福祉の資格一覧もあわせてご覧ください。

介護食づくりに欠かせない嚥下・栄養の知識

介護食を作るうえで重要になるのが、飲み込む力(嚥下機能)と栄養への配慮です。加齢や病気によって噛む力や飲み込む力が弱まると、リスクが高まります。食べ物がのどに詰まったり、誤って気管に入る誤嚥を起こしたりするためです。誤嚥は肺炎の原因にもなります。一人ひとりの状態に合わせて、食材の固さや大きさ、とろみを調整することが大切です。

介護食には、刻み食やミキサー食、なめらかなソフト食など、嚥下の状態に応じたさまざまな形態があります。介護食士の講習では、こうした形態ごとの調理技術を学びます。あわせて、限られた食事量でも必要な栄養を確保するための栄養学も学びます。低栄養は体力や免疫力の低下につながります。食べやすさと栄養バランスを両立させる工夫が欠かせません。

栄養面の専門職としては栄養士・管理栄養士があり、介護食士とは役割が異なります。両者の違いが気になる方は、管理栄養士と栄養士の違いの記事も参考になります。また、在宅で介護をしながら食事づくりにも携わりたい方は、ホームヘルパーの資格とあわせて知識を身につけると、より実践的なサポートができます。

取得後の働き方とキャリアの現実

介護食士は民間資格で、業務独占ではありません。そのため「取れば資格手当がつく」「給料が上がる」とは限りません。取得を考える前に、自分の目的と取得後の現実を結びつけておくと、後悔のない選択ができます。

こんな人に向いている/向いていない

  • 向いている:すでに調理師や栄養士として働き、介護食の専門性を高めたい方。施設や病院の厨房でキャリアを広げたい方。在宅で家族の食事づくりに生かしたい方
  • 慎重に検討したい:資格だけで転職や昇給を期待する方。介護食士は知識の証明にはなりますが、それ単独で待遇が大きく変わる資格ではありません

資格を生かす現実的な道

介護食士の知識は、ほかの資格や職務と組み合わせると生きます。たとえば調理師+介護食士で施設厨房の中心的な役割を担う、ホームヘルパー+介護食士で在宅の食事支援に強みを持つ、といった形です。年収や手当は職種や施設の規定で決まるため、求人票で資格手当の有無を確認しましょう。資格選びに迷うときは、福祉の資格一覧で全体像を見比べると、自分の目的に合う資格を選びやすくなります。介護・福祉の制度の最新情報は厚生労働省 介護・高齢者福祉でも確認できます。

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まとめ

介護食士とは、高齢者や要介護者向けの介護食を作る知識と技術を認定する民間資格です。内閣総理大臣認定の公益社団法人全国調理職業訓練協会が認定しています。資格は3級・2級・1級に分かれます。3級は受講要件なしで誰でも受講でき、2級は3級取得者、1級は2級取得後に2年以上の実務経験がある25歳以上の方が対象です。各級とも講習時間は72時間で、介護食の調理技術に加え、医学・心理・栄養・衛生の知識を体系的に学びます。資格は協会の認定施設で講習を受け、80パーセント以上の出席率と、筆記・実技それぞれ60点以上の修了試験合格で取得できます。介護施設や病院の厨房、在宅介護など活躍の場は幅広く、嚥下や栄養に配慮した食事づくりに役立ちます。介護食に興味のある方は、まず3級から学んでみてはいかがでしょうか。

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