介護の声かけ、話し方の基本とは

投稿日:2015-04-08

介護の声かけ、話し方の基本とは

介護をする際の声のかけ方や話し方は、対象となる方に応じて注意しなくてはならない点や、障害などによって対応を変える必要があります。ここでは、介護の声かけ、話し方の基本を紹介します。

介護における声かけ

認知症、視覚障害など、障害の特性によって対応方法は異なります。まず声をかける前に相手の特性を考えてみましょう。

・認知症の方への声かけ

認知症の方は、軽度であれば数分前のことが思い出せない、物の名前が出てこない、中等度であれば、人を疑う、妄想やせん妄がおこる、重度であれば介護を拒否する、言葉を完全に話さなくなるなどの特徴があります。

いずれも脳の委縮などによる記憶障害が原因と考えられています。自分がどこにいるのか、話しかけている者が誰なのか分からない不安感に常に包まれているため、以下のような安心を与えるための声かけが必要となります。

  1. ゆっくりとした口調と笑顔で問いかける。
  2. ここはどこで、自分は誰なのか。何のために話しかけているのかを伝える。
  3. 相手が何を不安に思っているのかを聞き、不安な気持ちに寄り添う。
  4. 言葉を発しなくても感情は伝わると考え、笑顔でゆっくりと話しかける。
  5. 安心感を与えるために、手を握る、さするなどの言葉以外のスキンシップを取り入れる。

・視覚障害の方への声かけ

視覚障害の方の情報の受け取りは言葉が頼りとなりますので、いくつか注意しなければならないことがあります。

まず、いきなり話しかけてはいけません。通常、私たちは目で相手の存在を確認し、そのあとに声を聞くことでスムーズに情報を受け取ることができますが、視覚的な情報がない障害者に突然声をかけることは、私たちが後ろから驚かされたようなショックに匹敵します。まずは正面を向いて気配を感じとってもらってから、ゆっくりと話しかけましょう。

次に話す内容ですが、「あれ」「それ」などの指示語は使用してはいけません。必要なことを具体的な言葉で説明することが大切です。一度に発する情報量が多すぎたり、回りくどすぎても理解できません。ラジオ放送などを参考に、視覚障害がある人に向けた話し方を研究してみるとよいでしょう。

介護における話し方の基本

「電話は会社の顔」と言われるくらい、電話対応によって会社の印象が変わってきます。話す内容だけではなく、話し手の雰囲気がダイレクトに伝わるからです。同じ内容を話していても、Aさんの対応は評判がよく、Bさんの対応は評判が悪いと言うことがあります。

実はこの差は、音の強弱や短長、抑揚によるところが大きいのです。対面式の会話ではさらに表情や態度などの「非言語的メッセージ」も含まれます。これらをいくつかの例をあげて説明します。

・抑揚に留意する

言葉のトーンを意識して「それはお辛いですね」と言った場合と、フラットな感じで「それはお辛いですね」と言った場合、どちらに共感の姿勢を感じるか。

・表情に留意する

大きな声で笑顔で「ありがとう」と言った場合と、小さな声で無表情で「ありがとう」と言った場合、どちらが誠意が伝わるか。

「抑揚に留意する」では、言葉は発すればいいものではなく、音の強弱・短長・高揚が伴っていないと気持ちが通じないと言うことが、「表情に留意する」では、言葉の内容と表情や声の強さが一致しないと、正しく感情が伝わらないことが理解いただけたと思います。

介護であろうが、友達との会話であろうが、基本は会話です。一方的に話しても、一方的に聞いてもいけません。

会話をするには、まず相手のことを知る必要があります。そして相手のことを知るには、まず自分のことを伝える必要があります。どこで生まれたのか、これまで何をしてきたのか。それを受け止めた相手が、自分のことを語り出せば、お互いのことを知ることができます。介護における会話には、このような相互理解が不可欠なのです。

「優しい人ならいいな」「自分のことを理解してくれる人ならいいな」と、介護を受ける人は、いつも不安を抱えています。信頼のおける介護とは、介護技術だけではなく、そのような不安を解消してくれる人間性が求められています。

これから人手不足の解消のために介護用ロボットも導入されてくると思いますが、心のこもった言葉をかけられるのは、人間だけであることを忘れないで下さい。